内臓脂肪(1)(週刊やさしいダイエット第96号より)
■はじめに
最近健康番組などで、さかんに「内臓脂肪」という言葉が使われるようになりました。一昔前までダイエットといえば「体重」を落とすことでしたが、正しいダイエットの知識が広まるにつれ、落とすべきは体重ではなく「体脂肪」であることがわかってきました。そして更に、体脂肪の中でも「内臓脂肪」を落とすことが健康のために重要だと、テレビは言っているのです。
しかし内臓脂肪について正しく知っている人は、一体どれくらいいるでしょう?名前に「内臓」と付いていることから内臓に付く脂肪であることは想像できるのですが、ダイエット相談を行っていると「脂肪肝と言われたのですが、これは内臓脂肪が多いということですか?」「私は体脂肪率が標準範囲内なので、内臓脂肪は心配ないですよね?」と言った基本的な質問も多く、まだまだ知られてないなぁと感じることがあります。
そこで今回は、内臓脂肪についてお話したいと思います。
■内臓脂肪はどこに付く?
まず最初に、内臓脂肪はどこに付くでしょう?それは腸間膜(ちょうかんまく)や大網(たいもう)と言った「腹膜(ふくまく)」の表面です。
ちょっと解剖学の話になるのですが、人間の内臓というのはお腹の中にぐちゃっと詰め込まれているのでなく、腹膜に包まれてハンモックの様に吊るされています。そのため胃が上下逆さまになったり、腸があちこち移動したりせず、きちっと正しい向き・正しい位置に固定されているのです。
内臓脂肪はそのハンモック=腹膜にべったりくっ付きます。よく脂肪肝と間違われる方がおられますが、脂肪肝は肝臓の1個1個の細胞の中に脂肪がたまった状態なので、内臓脂肪とは違います。
■内臓脂肪が悪者扱いされるワケ
週刊やさしいダイエットでは第3号「かくれ肥満について勉強しよう!」の中で、内臓脂肪が悪者扱いされる理由を次のようにお話しました。
『「内臓脂肪」は燃えやすい性質を持っているのですが、この時大量に「遊離(ゆうり)脂肪酸」と言う物質が出てきます。「遊離脂肪酸」は空腹時の大切なエネルギー源なのですが、余り多すぎると体に悪影響を及ぼします。例えば高脂血症、糖尿病、高血圧など、いわゆる「生活習慣病」の原因になります。』
その後研究が進むにつれ、内臓脂肪の悪い点は遊離脂肪酸だけではないことが解ってきました。それは内臓脂肪が、生活習慣病を引き起こす物質を分泌していると言う点です。
体脂肪は今や単なる脂肪の貯蔵庫ではなく、レプチン、TNF-α、PAI1、アディポネクチン等(これらの物質については別の号で詳しくお話しする予定です)生活習慣病の原因になる色々な物質を分泌することがわかっています。そして内臓脂肪は、皮下脂肪より分泌活動が活発です。このため内臓脂肪は悪者扱いされるのです。
■内臓脂肪症候群と内臓脂肪型肥満
それでは内臓脂肪は、どの程度たまると体に良くないのでしょうか?一般にお腹のCTを撮った時、内臓脂肪の面積が100平方センチメートル以上だと高脂血症、糖尿病、高血圧などのリスクが上がると言われています。このため内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上のとき「内臓脂肪症候群」、更にBMI25以上の肥満であったとき「内臓脂肪型肥満」と定義されます。
それでは、肥満の人が「自分は内臓脂肪型肥満かどうか」知るにはどうしたら良いでしょうか?全ての肥満の人にCT検査を受けてもらったら、時間もお金もかかる上、放射線の被曝なども問題になります。
そこで簡単な方法として、ウエストを測る方法があります。ウエストと言うと、ズボンやスカートを買う時にはお腹の最もくびれたところを測りますが、この場合は「裸で」「手を気をつけにして」「立って」「息を吐いた」状態で、「おへその周り」を測ります。そして男性で85cm・女性で90cm以上のとき、「内臓脂肪型肥満の可能性有り」として精密検査(つまりCT)を行います。そうして調べた結果、一般中高年男性の22%・同じく女性の8%が内臓脂肪型肥満であることが判り、これは年齢とともに増加するそうです。
また去年の3月、「内臓脂肪量がわかる」と言う体脂肪計が発売されましたが、これはあくまで「体脂肪率がこれ位の人は、統計上内臓脂肪量がこれ位のことが多い」と言う値であって、内臓脂肪量を測定している訳ではありません。よって内臓脂肪量がわかる体脂肪計、若しくは普通の体脂肪計で体脂肪率が高くなかったからと言って、必ずしも内臓脂肪(症候群/型肥満)の危険が無いわけではありません。従来使われてきた体脂肪率測定法は「生体インピーダンス法」と言うのですが、現在これを応用した「腹部生体インピーダンス法」が開発中であり、それが実用化されればもっと正確に内臓脂肪量を推定できるようになるそうです。
ちなみに先ごろ虎の門病院と独協医大の研究チームは「ウエスト÷身長=0.5以上は隠れ肥満」と言う指標を提案しました。これは人間ドック受診者のウエストサイズを1人ひとり測りデータを分析したところ、「ウエスト÷身長=0.5」を境に血糖値や中性脂肪の値に異常を示す人が多くなっていたことを根拠にしています。そこで「やさしいダイエット」では、以下のページに各身長ごとのウエストの目安をアップしました。是非一度ご覧下さい。(次号に続きます)
[隠れ肥満の指標]
http://homepage2.nifty.com/luke_apostle/kakure.html
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