痩せ過ぎへの警鐘(週刊やさしいダイエット第98号より)
■はじめに
先日ふとテレビをつけたところ、ちょうど「年齢より若く見えるお母さん」の特集をやっていました。そこには身長158cm・体重39kgと言うお母さんが出ていたのですが、出演していたタレントさん達は、しきりに「細いですね〜」「スタイルいいな〜」とそのお母さんを褒めていました。
しかし「身長158cm・体重39kg」と言う体型は、本当に褒めるべきものなのでしょうか?身長158cmの人の標準体重は54.9kg、よく「拒食症の基準は標準体重より20%以上の痩せ」と言われますが、先ほどの人の場合、標準より約30%の痩せ・BMIは15.6で明らかに痩せすぎです。
この番組はゴールデンタイムに放映されていましたから、当然子供達も見るでしょう。しかし番組を作るスタッフの人たちは、果たして子供達に与える影響まで考えたのでしょうか?行き過ぎた痩せ志向は、女性や生まれてくる子供の健康に既に影を落としています。今日は痩せすぎに関する最近のニュースについてご紹介します。
■都会の女性ほど「太っている」と言う思い込みが強い
国立健康・栄養研究所のグループの調査によると、都会の女性ほど「太っていないのに太っていると思い込む」傾向が強いそうです。この調査は、1998年の国民栄養調査で行われた体型に関する意識調査のうち、15〜39歳の女性約1800人のデータを居住地に基づいて分析したもの。(ちなみに国民栄養調査とは、栄養改善法に基づき国民の食品摂取量や栄養摂取量の実態を把握するために国が毎年行っている調査で、これで日本人の食生活などがわかります)
それによれば、居住地を「政令市・特別区」「人口15万人以上の都市」「その他の市」「町村」の4種類に分けたところ、太っていないのに太っていると思い込む傾向は、「町村」に比べ、「政令市・特別区」で1.56倍、「人口15万人以上の都市」で1.64倍だったそうです。また年齢別に見ると、15〜24歳の女性でその傾向が顕著だったとか。
調査を担当した研究者は、「メディアからの情報が、体型についての意識に影響しているのではないか?」と指摘しています。
■痩せ願望が喫煙率をアップさせる
さて、そうやって痩せ志向が強くなると、女性の健康にどんな影響が出るでしょうか?アメリカの研究所の調査によれば、痩せ願望の強い女の子ほど十代からタバコを吸い始める傾向があるそうです。これは「どのような要素が女の子の喫煙率をアップさせるか?」と言う調査でわかったもので、アフリカ系アメリカ人女児では「痩せ願望」、白人女児では「痩せ願望」のほかに「品行の問題」「ストレス」「片親」などが喫煙率をアップさせる主要な要素でした。
アメリカは禁煙運動が盛んな国というイメージがありますが、実は十代の喫煙率が増えており、どうやったら若者の喫煙をストップさせられるかが大きな問題になっています。今回の調査によって、研究者達は「女の子に健康的な体重管理について教育することが、喫煙率を抑える鍵になるだろう」と結論付けています。
■小さい赤ちゃんが増えている
このようなお話をしても、「でも、もう私は子供じゃないし。健康への害と言ったって、タバコを吸うくらいなら良いじゃない。」と考える人はいるかもしれません。しかし、痩せ過ぎの問題はご本人のみならず、生まれてくる赤ちゃんにも影響するのです。
厚生労働省の発表によれば、2002年の人口動態統計で2500g未満の低出生体重児(未熟児)の割合が、過去最高を記録したそうです。それによれば、2002年に生まれた赤ちゃん約115万人のうち低出生体重児は約10万人で、10年前(1992年)に比べ1.3倍になりました。これは医療技術の進歩により、今までだったら助からなかった小さな赤ちゃんの命が救われるようになった・・・と言う喜ばしい結果でもあるのですが、それと同時に出産適齢期である20〜30歳代の女性の、喫煙率の高さや痩せ過ぎが影響していると言われます。
小さな赤ちゃんは体の機能が十分に働かないので、さまざまな病気を起こしやすくなります。自分の不適切な健康管理のために生まれたての赤ちゃんが低血糖や黄疸で苦しむかもしれない・・・と考えたら、とても「痩せるのは私の勝手」なんて言えないのではないでしょうか。
■おわりに
前述のお母さんの話に戻りますが、158cm39kgのお母さんは確かにテレビ映りは良いですし、今時の基準に照らし合わせれば「細くて美しい」のでしょう。
しかし、美しさや格好良さの基準は時代と共に移り変わります。実際タバコも一昔前までは「格好良い」とされていましたが、今では「わざわざ体に悪いことをするなんて」と格好悪いモノ扱いされています。これは禁煙キャンペーンのような大きいムーブメントの影響もあるでしょうが、やはり一人一人が自分の健康を大事にするようになった結果でもあると思います。
それと同じように「痩せ過ぎ=美しい」と言う風潮も、一人一人の心がけによって変えていくことが出来るのではないでしょうか?「ダイエット?そうね、もう少し痩せたら格好は良くなるかもね。でも私は、体のためにこれ以上体重は落とさないわ。」と、勇気を持って言いたいものです。
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