ミクロの世界
(microcosum)
量子論
量子論はとびとびの思想であると言われる。
原子のような粒子(particle)は連続した大きさを持つ物質ではなく、無限に分割することはできない。時間・空間さえとびとびの値を持つとプランクは考えた。量子論の始まりである。
プランクの黒体放射理論、アインシュタインの光粒子仮説、シュレ―デインガ―とデイラックの波動力学、ハイゼルベルグの不確定性原理などによって量子力学が完成された。これらに場の量子論を含めた理論体系を量子論と言う。
日常的な世界では当然と考えられる物理法則もミクロのな領域では通用しない。たとえば電子(electron)が運動するとき位置はわからない。
出発点から到着点のすべての場所にあり波のような広がりを持つ。その位置は不確定性原理により確率的にしかわからない。
宇宙のミクロ領域では量子は波であり粒子でもある。ミクロとマクロの領域をつなぐ理論が量子力学である。
マックス・プランク(Max Planck 1858-1947)
古代エジプトでは田畑を測量するために幾何学が発達し、大航海時代には膨大な計算は対数によって可能になった、対数の発明は数学者の寿命を2倍に延ばしたという。
ニュ―トンやライプニッツは速さを命題にして微積分学を作った。
1900年にプランクが、黒体から出る放射の強度と波長の関係を説明するために導入した作用量子仮説から量子論が始まったと言っても良い。
現実の必要性から定理や法則が発見されることが多い。
マックス・プランクの「黒体放射の理論」もドイツの近代鉄鋼業の発達の過程で発見された。
反射スト―ブは空気の対流でなく、熱放射によってエネルギ―を送る。高温の物体ほど短い波長の電磁波を放射し、強いエネルギ―を出している。
溶鉱炉はドロドロに融けた鉄鉱石が入った高温の閉じた空間で、空洞といわれる。またあらゆる波長の電磁波を完全に吸収・放射する空洞を黒体という。
溶鉱炉のように熱的平衡状態にある黒体の壁から放出される電磁波が黒体放射である。空洞から出てくる電磁波を測定すると光の強度は波長によって大きく違う。
黒体放射の式に含まれるプランクの定数は理論的に導き出されたものではないが、溶鉱炉から出る電磁波のエネルギ―の実験結果とよく一致した。
ミクロ・マクロの世界で物質・時間・空間について述べる時、プランクの定数はしばしば引用される。
プランク以前、広く支持されていたニュ―トンの絶対時間・絶対空間という考えを否定して、プランクの時間・プランクの長さという革命をもたらした。
われわれが究極的な存在を考える時、常にプランクに出会う。黒体放射の理論は人間の思想そのものを変革した。これはアインシュタインの相対性原理にも匹敵する大発見であつた。
注1
プランク定数(Planck constant) h=6.6260755(40)×10-34Jジュール・秒(J・ s-1)
デイラックのエイチh/2π、h=1.045457Jジュール・秒(J・ s-1)
1J=6.242×1018eVであり、1J=107ergであるから、h=6.620775×10-27erg・sである
プランクの単位は次の式で求められる。
プランク定数・ニュ―トンの重力定数・光速を組み合わせると最小の質量・エネルギ―・長さ・時間が求められる。質量をエネルギ―に換算したのがプランクエネルギ―である。プランク長さを光速で横切る時間がプランク時間である。
(h=デイラックのエイチ、c=光速度、G=重力定数、m=質量、p=運動量、l=波長の長さ)
1 プランク質量
mp1=√ch/2πG 、斬近的に等しい→10-5グラム
2 プランクエネルギ―
mp1c2、斬近的に等しい→1019ギガ電子ボルト
3 プランク長さ
lp1≡h/mp1=Gmp1/c2、斬近的に等しい→10-33センチメートル
4 プランク7時間
lp1/c、斬近的に等しい→10-44秒
または lp=ctp ≒10-35 (ctp≒3×108×10-43)、 tp=√hG/2πc5×10-43
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ア―ウイン・シュレ―ディンガ―(E・Schrodinger1887-1961)
彼はオ―ストリアの物理学者で、量子の世界を波動によって説明する方程式を確立した。すなわち電子の波の形に関する波動関数と波の動きを表す波動方程式である。
これによって従来粒子と考えられていた電子が、波動のように回析する波であることが証明された。
ウイ―ン大学の中庭にあるシュ―レデインガ―の胸像には、彼の波動方程式が書き込まれている。1927年に発表されたこの式は20世紀で最も重要な式の一つであるといわれる。
ih∂/∂tΨ=HΨ
(プスィ―Ψ=波動関数、i=虚数単位 i2=-1、h=デイラックのエイチ、H=ハミルトン演算子)
ポ―ル・デイラック(Paul ・A・M・Dirac1902-1984)
イギリスの物理学者デイラックは、相対性理論を考慮に入れてシュレ―デインガ―の波動方程式を解いた。
4つの解のうち2つは電子の正負のスピンを、後の2つは正負のエネルギーの状態を意味している。この方程式を解くことで、電子と陽電子、陽子と反陽子などあらゆる粒子に反粒子がある事が判った。
デイラックは負のエネルギ―を持った電子、すなわちプラスの電子をもつ陽電子の存在を予言したが、年アメリカのアンダ―ソンが宇宙線の中に陽電子を発見した。
アルバ―ト・アインシュタイン(Albert Einstein1879-1955)
光電効果(こうでんこうか)というものがある。光電効果とは金属や半導体に光を放射すると電子が飛び出す現象をいう。
紫外線・可視光線・赤外線などを金属板に当てると電子が飛び出す現象はカメラの自動露出計や太陽電池などに応用される。
光電効果によって光量子仮説が説明され、アインシュタインはノ―ベル賞を受けた。当時相対性理論はすでに発表されていたが、理解が困難で実用性がよく分からなかったらしい、ノ―ベル賞の対象にならなかった。
光量子仮説
彼は振動数(ν)の光が、(νh)のエネルギ―をもつ粒子の集団であると主張した。光が振動数に比例する光量子と言うエネルギ―単位に分割されることになった。
光子の運動量
p=hν/c(運動量=プランク定数×振動数/光速度) λ=ν/cであるから p=h/λとなる。質量mの粒子がpで運動すると、エネルギ―Eは相対性理論によると次のようになる。
E=√m2c4+c2p2
光子は質量がゼロと考えられるので、E=cpとなる。 p=E/c、E=hνから p=hν/c、すなわちp=h/λとなる。
(粒子像と波動像)
ミクロの世界では、物質は粒子と波動の二つの性質を持つ。
事物が存在するという場合、事物とは事件・現象・物体の総称を意味する。存在には客観性・局在性が問題になる、客観的にある場所に存在することがが要求される。
物理学で粒子とは小さい空間に実在するもので、分割不可能という性質があると考えられる。
粒子とは反対の対極に波動というモデルがある。
例えば津波は海面付近で、水分子の粒子が上下に運動するので起る現象である。海水そのものではなく現象の伝播である。
台風は大気の渦巻き現象で、音波や電磁波も波動現象である。
要するに粒子は局在する物体で、波動とは広い領域にわたって起きる現象である。
電磁波は波動であるから波長と振動数をもつ。
波長ラムダ(λ)とは高低が一巡するまでの距離で、山や谷から次の山や谷までの距離である。
また一点で波の通過を見れば、波の上下運動が観察できる。その上下運動が一巡する時間が周期で習慣上(T)と書く。
秒など単位時間内の上下運動の回数が振動数(1/T)が振動数で習慣上ギリシャ文字のニュ―(ν)と書く。
波動の状態、波の進行速度は波長と振動数で表わす。
波を表すのには振動数よりも波長が扱い易い、しかし理論を構築するには振動数で表すほうが簡潔になる。
c=νλ
(進行速度=c、振動数=ν、波長=λ)
λ=c/ν(波長=波の進行速度×周期)、またν=c/λ(振動数=波の進行速度÷波長)と書くこともできる。
(p=mν)の運動量を持つ物質粒子では、粒子の波長=プランク定数/運動量(λ=h/p) 、またはp=h/λと書ける。
光子の運動量では、光子の波長=光速度/振動数(λ=c/ν) 、またはp=hν/cと書ける。
振動数(ν)の光は、エネルギ―(E=hν)の光子が光速度(c)で走るものである。その波長は(λ=c/ν)と書ける。
光子・電子はともにエネルギ―・運動量という粒子性と、振動数・波長という波動性を持っている。
E= hν、E=h/p
という関係が成立している。これは粒子性と波動性を結ぶ最も基本的な式である。
(素粒子の分類)
インドの代表的学僧、世親(ヴァスバンドウ)の阿毘達磨倶舎論(あびだるまくしゃろん)によると、すべての物質(色)を分解してゆくと物質の最小単位の極微(ごくみ)に到達する。極限の微粒子、すなわちアトモスである。
彼はまた時間についても極小な単位の刹那(せつな)を考えている。一瞬の意味である。
現代の物理学で素粒子とは、原子レベル以下の粒子に対して使われる総称である。文字どおりそれ以上分割できない究極の粒子で物質を構成する基本的な単位である。
1960年代までは、素粒子とは陽子・中性子・電子であると考えられていた。その後いろいろな粒子が発見されて仲間に加えられた。
現在は、クオ―クとレプトンそれに糊の粒子(グ―ルオン)が物質をつくる基本的な素粒子であると考えられている。
人間が性別・年齢・人種・国籍・言語その他の条件によって分類されるように、素粒子もその性質でいろいろに分類される。
素粒子には質量・寿命・スピン・パリテイなど量子数(りょうしすう)とよばれる属性がある。量子数とは素粒子に固有の性質や状態を指定する時に使われる物理量や値のことである。
しかしどんな物理量でも観測できるとは限らない。例えば粒子の位置をしめす属性は不確定性原理により正確に決められないので量子数としては使えない。
自然界のあらゆる物質は原子からできている。原子を構成する素粒子の属性で、大は銀河などの天体から小は細菌などの生命現象まで決定される。
星の生成消滅を決めているのも素粒子の属性である。
生命を作る蛋白質は、アミノ酸がペプチド結合したものである。ペプチドの立体構造、酵素の活性などは素粒子→原子→分子の持つ属性で決まる。
実際コンピュータ―と同様に人間の脳の働きも、電子が持つ電荷という属性に依存している。
素粒子の分類に使用される属性には、いろいろの種類がある。
A 外部的属性
素粒子を記述するための時間と空間座標のえらびかた、すなわち素粒子の外部と関連付けられ使用される属性を外部自由度の属性という。次のようなものがある。
1 質量
質量とはアインシュタインの質量とエネルギーの関係式E=mc2の通り、素粒子が内部にもっているエネルギーの総量である。
2 寿命
不安定な素粒子が、生まれてから崩壊するまでの平均時間。
共鳴粒子と呼ばれる素粒子は10-23秒で崩壊する、また中性子の崩壊時間は15分である。素粒子によって生成・崩壊時間の長短がある、崩壊しない粒子を安定粒子という。
3 スピン(回転)
粒子は自転(spin)している。それは原子レベルの磁石がもつ性質と考えられる、実際電子は小さな磁石である。
スピンはミクロの世界を記述する物理量で、電子のもつスピンの値はデイラックの相対論的量子力学から求められる。
スピンは素粒子の自転の大きさを表わす量で、その特徴は角運動である。正確には自転角運動量という。コマの回転、フイギュアスケ―ト選手の回転、地球の自転運動もスピンである。
電子1個のスピンの角運動量の大きさは一定で、プランク定数を4πで割った値である。
スピンはポ―ズ粒子のように、0・1・2・3などの整数か、フエルミ粒子のように1/2・3/2・5/2など半整数の値をとる。
ボ―ズ粒子とは力を伝達する光子・グルオン・ウイ―クポゾン・グラビトンであり、フエルミ粒子とは原子を構成する電子・陽子・中性子・クオ―クなどである。
素粒子は回転の強さと、回転軸の方向と言う二つの属性を持っている。
回転の強さは光のもつ強さを一単位として、その整数倍の値をとる。回転軸の方向は、粒子の運動方向に向いている時はプラス(右巻き)、逆方向に向いている時はマイナス(左巻き)と定義されている。
4 パリティ―(偶奇性)
空間の一点を表わす場合には通常右手の親指・人差し指・中指によって示すように、x.y.zの方向を示す3次元直交座標系を使用する。
同様にして左手で3次元直交座標をあらわすとき、左右の対称性が保てるかどうかによってパリティ―が決まる。
B 内部的属性
外部自由度と無関係な素粒子自身の性質である、内部自由度に関する属性を言う。
ストレンジネスとかバリオン数はわれわれが住む時間・空間に関係がなく、素粒子自体の性質によって決まる属性をもつもので、内部量子数という。
2つの高エネルギ―光子の衝突によって粒子と反粒子が生まれる時に、電荷の保存則が成立していても電子と陽子がペアで作り出されることはない。
このことは自然界には電荷以外にも保存則があり、かかる反応を禁止していることを示している。
バリオン数の保存・レプトン数の保存という法則があって、陽子・中性子がより軽いパイ中間子・電子などに崩壊しない事実を証明するために導入された属性である。
1 バリオン数(重粒子数)
ハドロンのうちでバリオンとメソンを区別するためにバリオンに対しバリオン数1を割り当てる。
例えば陽子・中性子には +1、それらの反粒子の反陽子・反中性子には -1、他のバリオンではない電子や光子には 0をあてる。バリオン数の総和は反応の前後で変わらない。
2 レプトン数(軽粒子数)
電子やミユ―オンなどのレプトンに +1、陽電子などの反レプトンに -1、他の陽子・中性子・光子などの粒子に0を当てる。レプトン数の総和も保存される。
3 電荷
光との相互作用の強さを表わす量で、陽子の電荷を基準にして0または正負の整数倍の値をとる。
陽子は+1、電子は-1、クオークは1/3を単位としている。
素粒子の反応では電荷の総和は保存される。対発生・対消滅では必ずプラスとマイナスの電荷をもつ粒子と反粒子が一緒に出来たり消えたりする。これを電荷の保存則という。
4 色
陽子や電子は電荷を持つのに対し、クオ―クはカラ―(色)という荷量を持つ。クオ―クがつくる陽子・中性子などのハドロンやその集合体の原子核に色が着いているわけではない。
実際色がついているわけではないが、カラ―荷は可視光線の3原色と同じ性質をしめすのでこのように名づけられた。
カラ―荷はクオ―クとグル―オン(糊の粒子)の間にできる、相互作用の強さと性質を表わす量である。
強い力の原因となる色荷も空間に場を作り出す。陽子・中性子の10兆分の1という狭い領域にしか作用しない。
5 弱い電荷
グル―オンはクオ―クのカラ―荷と結合して強い力を与える。カラ―荷はクオ―クのみにありレプトンには無いので、レプトンはグル―オンとの交換で強い力を出すことはできない。
弱い相互作用のウィ―クボソンとの反応を示す量として考えられる。
6 香り
素粒子の属性を示すのに、物理学者の遊び心から命名された。香りの中で最も知られているのがストレンジネスで、中間子のストレンジネスを基準にして正負の正数倍の値をとる。
以上素粒子の分類基準をのべたが、よく理解できない点が多い。しかし時間・空間を含めてこの宇宙が物質と無関係に存在することはない。
したがって物質の量子数という属性を知ることはすべてを知ることになる。
(素粒子の種類)
何が基本的な粒子であるかはっきり決まっているわけではない。
あらゆる物質は原子からできている。そして原子は原子核と廻りをまわる電子からできている。今のところ少なくとも電子と光は内部構造を持たない基本的な粒子と考えられている。
一方原子核の内部で陽子と中性子を結び付けているパイ(π)中間子や、ケイ(K)中間子・ラムダ(Λ)粒子・シグマ()粒子などが次々に発見された。
その相互作用から基本的な素粒子としてクォ―クモデルが提唱された。現在では陽子や中性子などはクォ―クという素粒子からできているというのが定説である。
素粒子の結合は粒子の交換によって生ずる。
強い力を媒介するのは、グル―オンと呼ばれる 8種類の粒子である。弱い力はW+、W-、Z0 と呼ばれる3種類の粒子によって媒介されている。
荷電粒子の間の電磁的な力を媒介するのは光子である。重力を伝達する粒子は未だ発見されていないが、重力子(グラビトン)と呼ばれている。
これらはいずれも整数値のスピンをもつポゾンという粒子で、すべての相互作用を統一的に記述する流れの中で、ゲ―ジ粒子またはゲ―ジボゾンと総称されている。
現在の素粒子論では、6個のクオ―クと6個のレプトンが基本的粒子である。
メソン(中間子-pion)やバリオン(陽子-proton、中性子-neutro)などのハドロン族はクオ―クで作られる。またクオ―クの下のサブクオ―クによってクオ―クとレプトンが作られるという推測もある。
| クォ―ク |
クォ―クは6種類ある。物理学者の遊び心から名前が付けられた。
クオ―クの名前と質量(単位は MeV=100万電子ボルト)、
()内に電子の電荷単位eを基準としたクオ―クの電荷をあげておく。
1 アップ(u-up) 約 5 MeV(2/3)
2 ダウン(d-down) 約 10 MeV(-1/3)
3 チヤーム(c-charm) 1.5×103 MeV(2/3)
4 ストレンジ(s-strange) 2×102 MeV(-1/3)
5 トップ(t-top) 不明(2/3)
6 ボトム(b-bottom) 4.8×103 MeV(-1/3)
参考 陽子の質量は 9億3千8百万電子ボルト(9.38×102MeV)
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レプトン族
(軽粒子) |
強い相互作用を行わない素粒子で、6種類が知られている。
これらは大きさの無い点状の粒子と考えられている。
電子(e-)、ミュ―オン(μ-)、タウ粒子(τ-) 3種類
それに対応する 3種類のニュ―トリノがある。
電子ニュ―トリノ(電子の仲間)、ve=7.3eV
ミュ―ニュ―トリノ(ミュ―粒子の仲間)、vμ=0.27MeV
タウニュ―トリノ(タウ粒子の仲間)、vτ=35MeV
ニュ―トリノは他の素粒子との相互作用はほとんど行わない。
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| ハドロン族 |
ハドロンとは強い相互作用を含めて、全種類の相互作用を行う
素粒子で2つのタイプに分類できる。
1 メソン(中間子) 2個のクオ―クで出来ている
原子核の中で陽子・中性子などの核子の結合を媒介する粒子。
1934年湯川博士が存在を予言し後に発見された粒子で、質量が
電子と陽子の中間であるのでケイ(K)中間子と名付られた。
その後パイ(π)中間子、オメガ(ω)中間子が発見された。
2 バリオン 3個のクオ―クで出来ている。
陽子や中性子などの重い粒子で、現在100個以上発見されている。
その中でもっとも重い粒子が陽子である。
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講談社サイエンテフィク 物理化学で用いられる量・単位・記号
イアン・ミルズ、トミスラフ・ツビタシュ、クラウス・ホ―マン、ニコラ・カライ、朽津耕三著、朽津耕三訳
原子のベ―タ―崩壊
原子核がベ―タ粒子(電子)を放出して、電荷の一つ大きい原子核にかわる過程をいう。
原子核の中の中性子が陽子に変わり、同時に電子と反電子ニュ―トリノが飛び出す。その時に働くのは大変弱い力である。
ニュ―トリノはまわりの粒子と反応して他の粒子に変ったり、そのエネルギ―が変化するようなことは起こらない。
その為にニュ―トリノは地球をも通過する。
カミオカンデについて
カミオカンデ(Kamiokande)は岐阜県の神岡鉱山の地下1000メートルの地下にあるニュ―トリノ(newtrino)を観測する装置である。
高さ16m・直径15.5mの円筒形の装置で、壁面には直径が約50cmある電子増幅管が1000個取り付けられ、中に3000トンの純水が入っている。
陽子(proton)が崩壊する時やニュ―トリノが水の分子に衝突するとき発生する淡い閃光を捕らえる仕組みになっている。
死んでゆく星が大爆発を起こして中性子星になるとき、多大の物質・エネルギーが放出される。これが超新星である。
地球から17万光年離れたところにある超新星爆発からでたニュ―トリノが19個も日米で観測された。
カミオカンデは1987年マゼラン星雲の超新星1987Aからのニュ―トリノを11例も観測して世界的に有名になった。現在はさらに巨大なス―パ―カミオカンデが稼動している。
ニュ―トリノの観測で地球や星の内部の研究が盛んになる。
大統一理論によると、水素の原子核の陽子は1032年以上の長い時間をかけ他の素粒子に崩壊してニュ―トリノを出すと考えられている。しかし現在まで陽子崩壊は観測されていない。
ニュ―トリノは質量があるかどうか議論されている、質量があっても電子の質量の一万分の一以下であろう。
電子の軌道について
物体の間に働く力はニユ―トンによって発見された。万有引力である。
物体間に働く力の強さ=G×(m1×m2/r2)
(G=万有引力定数、m1m2=2つの物体の質量、r2=物体間の距離)
天体の星は万有引力と遠心力でバランスをとりながら回転しているように、原子も電子と陽子の間に働く電気力と遠心力で形を保持している。
陽子と電子の間に働く電気力は、クーロンの法則によってe2/r2 であり、その力のもとは電荷である。
電気力=e2/r2 、遠心力=mv2/r
(e=電荷、r=電子・陽子の距離、m=電子の質量、v=速度)
e2/r2 =mv2/rとしてボ―アの量子条件(2πr=nh/mv、 n=1.2.・・)によってvを消去すると、電子の軌道半径(ボ―ア半径)は1/me2に比例する。すなわち質量と電荷の大きさに依存する。
ヒグス粒子の発見か
(2000年11月4日北陸中日新聞より)
ニユ―トン力学から量子力学まで自然科学の理論では、質量は時間や空間と同じく前提として与えられていた。
質量はなぜあるのかという疑問は提示されなかったが、理論的には質量の起源を説明するヒグス機構が仮定されていた。
それによると、クオ―クやレプトンは凝縮したヒグス粒子と相互作用をして質量を持つようになる。しかしニュ―トリノはヒグス粒子とは反応せず質量はゼロである。
次のような新聞記事がある。
物質の基本粒子であるクオ―クや電子などに質量を与える素粒子として、ヒグス粒子が粒子理論物理学者のピ―タ―・ヒグス英国エデンバラ大学名誉教授によって存在が予言されていた。
その存在を示唆するデ―タが、欧州合同原子核研究所の大型円形加速器によって発見されたという。
これが追確認されれば、電子の発見に匹敵するといわれる。
欧州合同原子核研究所には、日本から東大素粒子物理国際研究センターも参加している。
宇宙に充満する目に見えないヒグス粒子は、かなりの質量を持ち他の粒子と衝突することでそれに質量をあたえるものである
ヒグマ粒子の質量はエネルギー換算で1,140億電子ボルトであると言われている。
(反物質と暗黒物質)
A 反物質
アインシュタインの質量とエネルギ―の関係式(E=mc2)がしめす通り、質量はエネルギ―に転換することができる。第2次世界大戦末期に広島、長崎に落とされた原子爆弾はこのことを証明した。
科学者は物質とエネルギ―の境界を訪ね究極の素粒子に辿りついた。それが反粒子からなる反物質の世界である。
電子と陽電子、陽子に反陽子、クォ―クに反クォ―クなどどんな粒子にも反粒子がある。
反粒子は1931年にイギリスの物理学者デイラックが存在を予言し、電子の反粒子の陽電子、陽子の反粒子の反陽子が1955年に発見された。
反粒子は高エネルギー加速器で簡単につくりだせる。
反物質は反粒子からできた物質である。反粒子とは通常の粒子と電荷などの性質が逆になっている粒子である。
もし宇宙に反物質で出来た世界があって、現実の世界と遭遇すると無数の光を出して一瞬で消滅する。
対生成(ついせいせい)
宇宙初期のような超高温の状態で、高エネルギ―の光子どうしが衝突し質量をもった物質が生成された。
粒子どうしを超高速で衝突させる。すなわち粒子の静止エネルギ―の2倍以上までエネルギ―を高めると、粒子と反粒子がペアでつくりだせる、これを対生成と言う。
対消滅(ついしょうめつ)
高エネルギ―状態のビックバン期には粒子と反粒子が同時に存在していただろう。しかも理論上は粒子と反粒子は対等だから同じ数だけ粒子と反粒子が存在した。
宇宙の温度が下がってくると、粒子と反粒子がぶつかつて光などにかわる。これが対消滅である。
B 暗黒物質
宇宙にはどのくらいの物質があるか。
質量の大部分は銀河のなかの恒星、すなわち光っている物質が担っている。恒星の大きさと数がわかれば銀河全体の質量が推定できる。
観測されたデータから典型的な銀河である渦巻き銀河の質量を計算すると、太陽の質量(2×1030kg)の約1000億倍という結果が得られる。
これは銀河の明るく見えている部分に相当する質量である。
恒星が銀河の周りを回転していることから、恒星の速度と回転半径を使って銀河の質量を求めても同様の結果が得られた。
M=v2×r/G
(M=質量、v=恒星の回転速度、r=回転半径、G=万有引力定数)
ここで求められた恒星の数は光学望遠鏡の観測で見えるものである。しかし電波望遠鏡で見ると光を出さない「暗黒物質」が銀河の外にも大量にあることがわかった。
電波望遠鏡の観測では、宇宙には目に見えない暗黒物質(dark matter)が満ちていて目に見える物質の10倍もあると言う。
見える物質はすべてバリオンという陽子や中性子からできている。
陽子や中性子など100種類以上のバリオンは、質量の大部分を担っているからダ―クマタ―の有力候補である。
しかし宇宙に存在するバリオンと光子の数を比較すると、バリオンは宇宙に400個/cm3ある光子の1億分の1に過ぎない。
これでは光っている物質の量を説明するのがやっとで、10倍もある暗黒物質を説明できない。
だから暗黒物質はなにか未知のものからできている。
このダ―クマタ―はニュ―トリノか、または未知の素粒子であるかわからない。ニュ―トリノに質量があればダ―クマタ―の有力な候補ではある。
(不確定性原理)
ウエルナ―・ハイゼンベルグ(1901-1976)の不確定性原理はミクロの根底にある原理で、人間の認識について影響を及ぼし哲学的にも大きな課題を提供した。
素粒子のようなミクロの世界では、位置と速度、エネルギーと時間という対をなす2つの物理量は同時に正確に決定することはできないという。
たとえば電子の位地を正確に知るためには、顕微鏡で物を見るように電子に電磁波を当てて反射を観測すれば良い。
電磁波はエネルギ―の固まりであるから電子のような極微なものに影響を与える。
物を見るには、電磁波の波長が観測対象より小さいことが必要である。もし波長が大きければ対象物の正確な情報を手に入れることはできない。
電子の大きさは10-13cm程度だから波長が10-5cmの可視光線では役に立たない。大きなエネルギ―をもつ波長の短いガンマ―線領域の電磁波が必要になる。
電子にガンマ―線を当てると、電子が跳ね飛ばされてその速度や方向はまったく予想できない。
あまりインパクトを与えない電磁波では波長が大きすぎて電子を見ることが出来ないし、短い波長の電磁波ではエネルギ―が大きすぎて電子の位置が測定できない。
このジレンマを原理にしたのが、ハイゼルベルグの不確定性原理である。
運動量の不確定性を(冪)、位地の不確定性を(凅)と表わすと、
(冪)×(凅)≧h/4π
(h=プランクの定数で6.6260755x10-34ジュール・秒)
観測する二つの物理量の不確実さの積はプランクの定数に等しいか、それより大きいというのが不確定性原理である。
ミクロ系では一方を正確にすれば、他方の不正確さが増大する。観測行為による対象の撹乱は無視できず、両者を正確に記述する事は量子力学の範囲をこえる。
例をあげてみる。
電子の位置を1ミクロンの精度で測定すると、速度の不確定さは700m/秒になる。すなわち電子は秒速700m以上の速さで運動をしている。
また電子のサイズは10-13であるから、この精度で位置を知ろうとすれば、電子は秒速1011m(秒速1億キロメートル)で動いていることになる。
これでは電子の位地を測定することが無意味になる。
不確定性原理は位置と運動量のほかに、エネルギ―と時間の間にも成り立つ。
冲×僞=h
(冲=時間の幅、僞=エネルギ―の幅、h=プランク定数)
プランク定数は最も重要な自然定数の一つで、宇宙の4つの基本的な力のを決定している。
もしこの数値が異なっていたら宇宙は今と異なっていただろう。原子や分子は出来なかったし生命も発生しなかったかも知れない。
ハイゼルベルグの不確定性原理とほぼ同時期にシュレ―ディンガ―の波動力学が世に問われた。
波動力学の方程式は、波動的性質と粒子的性質を同時に含む波動関数をもっている。そこで得られるミクロ系の情報は統計的、確率的であつて確定しない。
ハイゼルベルグの不確定性原理の行列方程式とシュレ―ディンガーの波動方程式の二つはまったく同じ性格をもっている。
ラプラスの悪魔
自然界の最小の粒子が不確定であれば、それから構成されるすべての物質は根底に不確実な要素を持っていることになる。
ハイゼンベルグ以前の物理学では、原因と結果の因果関係がはっきりしていた。つまり現在の状態が与えられれば、将来の予測が可能であると信ぜられていた。
地震や気候の予知が困難であるとしても、それは情報が不足か不正確なためで、将来を知る事は原理的には可能であると信じられてきた。
フランスの数学者ラプラス(1749-1827)は原因結果について全知全能の神の存在を考えた。人々はそのような超越的な存在をラプラスの悪魔と呼んだ。
この悪魔は全宇宙の素粒子の動きを知り、将来の動きを見通す事が出来る。
玉突き台での玉の動きは予想できるとしても、予想困難な例として南アフリカで一羽の蝶が羽ばたいたとしてロンドンに台風ができるか、一滴の水がナイガヤラの滝壷のどの位置に落ちるかなどがあげられる。
ラプラスの悪魔は簡単にその答えを出す事ができるだろう。
また将棋や囲碁のようなゲ―ムも対戦したとたんに勝つ事ができるし、自分の体を形成する細胞・分子・原子・素粒子の動きがわかり寿命さえもたちまち分かる。
このような悪魔は存在しないと、待ったをかけたのが不確定性原理である。
光
光は昔から文学、芸術、哲学、宗教の重要なテ―マになっている。地上の明るい世界と地下の暗い冥界が対比され、光りと闇が比喩的に用いられてきた。
光は生命・清浄・自由・希望・喜び・至福などを表わし、しばしば神の顕現、臨在とも考えられる。
平安初期の僧、弘法大師空海(774-835)は真言密教の開祖で多彩な才能のためにその生涯は神秘的な伝説に包まれている。
彼は「声宇実相義」の中で物質(色)を3つに分類している。
1 顕色(けんじき) カラ―のことで一般の色
2 形色(ぎょうしき) ものの形
3 表色(ひょうじき) ものの運動
弘法大師は物質には色と形と運動と言う3つの面があることを指摘し、それらが相互に関連しながら宇宙的規模の真の実在に繋がっているとする。
光の本体である大日如来と結縁して華麗な曼荼羅世界を構築した。現代の宇宙論・量子論の考えと相通ずる所がある。
(密教の世界)
密教の曼荼羅には現代科学が持つ排除・選別の否定的原理がない。それを超え世界にある総ての思想を平等に受け入れる崇高な東洋的な宇宙観を現しているる。
胎蔵界曼荼羅
(たいぞうかいまんだら)
|
胎蔵界曼荼羅は大日経を基本とし、宇宙の根源的存在である光を象徴する大日如来の
真実を現わす。この曼荼羅で大きな数の諸尊を院で整理し、森羅万象を表現している。
中心の中台八葉院の8枚の花びらに4仏・4菩薩が座し、中台を囲む7院には409の仏・
菩薩や明王がそれぞれの意味を持って配置されている。
一番外側の外金剛部院にはバラモン教、ヒンドゥ―教、9曜、28宿、12宮の神々、竜、
夜叉が外敵から仏教を守る |
金剛界曼荼羅
(こんごうかいまんだら)
|
|
金剛界曼荼羅は大日如来の真実にいたる智恵と実戦を現し、金剛頂教を基本と
している。金剛石のように永遠に壊れることのない悟りを本体としこの名前が
つけられた。
曼荼羅は四角に区切られた諸尊の集りである9個の会から構成されている。
その核になるのは中央の成身会(じょうしんえ)で、個々の小宇宙にまた一つの
宇宙がある。
大日如来を囲み東西南北に4如来を、その周囲に36尊が配置されるが胎蔵曼荼羅
の400余の諸尊を体系化している。
5仏はそれぞれ違った意味を持つ5色で現されているが、白色の大日如来はすべて
の色を統合した無色透明で現される |
エジプト、ギリシャ、シュメ―ル、バビロニア、旧約・新約聖書の時代から自然科学の発達した現代まで、光りがいろいろな形で探求されている。
しかし多くの天才の努力にもかかわらず、現在でも光の神秘さが解明されたとは言い難い。
光とは昔からマクロと人間とミクロの架け橋である。われわれも、想像力豊かな古代の宗教家達と同じように光を神と呼ばざるを得ないだろう。
ここで光の物理的な側面を検討する。
17世紀後半から光りは粒か波かの論争があった。ニュ―トンは光りは粒であると考えたし、ホイヘンスは光りの正体は波であると考えた。
光が波であれば障害物を回り込むので影ができるはずが無いとか、粒であれば衝突すると真っ直ぐに進めないはずとかいろいろ論争があった。
19世紀になるとマクスウエルによって光は波であるとされ、電場の振動と磁場の振動が空間を伝わる電磁波であることが証明された。
現在では、光は波で同時に粒子でもあり宇宙の基本的な存在の一つであると考えられている。
光速度・電荷・プランク定数・重力定数などの自然定数が明らかになって、物質の粒子性と波動性、質量とエネルギ―、対生成と対消滅、物質と反物質などが光と関連づけ説明されている。
光とは狭義では目に見える電磁波で、可視光線(かしこうせん)を意味することが多い。
電磁波は波長や振動数によって分類される。可視光線は波長の範囲が約810-380ナノメ―トルで、振動数では4×1014から8×1014ヘルツ(Hz)程度の電磁波である。
光は波長が短くなるにつれて赤外線・可視光線・紫外線と変わるが、これらをふくめて波長が1mmから1nmくらいまでの電磁波を広義の光と言う。
光は真空中を1秒間に300,000km走る。正確には、
c0(光速)=2.99792458(1.2)×108m/sである。
光速はレ―ザ―の発する光の波長と振動数を測定し、c0=λ0×ν(光速=波長×振動数)の関係式から求めたものである。
電磁波の進行速度は光の速度に等しい。
光は波動であるが、光子というエネルギ―と運動量を持った粒子でもある。物質と相互作用をする時のエネルギ―は次の通り
である。
E=h×ν(エネルギ―=プランク定数×振動数)
また進行方向への光子の運動量は次の通りである。
p=h/λ0(運動量=プランク定数/波長)
(電磁波)
マイナスの電荷をもつ電子が、プラスの電荷を持つ陽子の方向に引き付けられる。この電子の流れが電流である。
また磁石には南の方を指すN極と北の方を指すS極がある。
磁石をいくら小さくしてもN極とS極が現われ、二つの極を単独に取り出すことはできない。磁石を分割してゆくと磁区(ドメイン)という小さな単位になる。
不思議なことに、さらに分割し最終的に原子になってもN極とS極がある。
電子はスピンと呼ぶ自転運動をしながら原子核の周囲を廻っている。この自転運動と回転運動が永久磁石を作り出している。
電流が流れるときには電流の進行方向に右回りの磁界ができる。逆にコイルの中に磁石を入れて動かすと、磁界から電流が発生する。
こうして電流がでるのを電磁誘導という。
電界が動くと磁界が生れ、磁界が動くと電界が生れる。電界→磁界→電界→磁界と、光が波になって連鎖的に連なって行く現象が電磁波である。
電磁波には長波・中波・短波・超短波などの電波、可視光線、赤外線、紫外線、エックス線、高エネルギ―のガンマ―線も含まれる。
電磁気の力は光子と密接な関係があり、原子の中の電子の軌道を変えることで光が発生する。
1秒間に振動する回数を周波数と言う。
電磁波は波動であるから波長と振動数をもつ。振動数の大小に応じて直流電流からガンマ―線までさまざまな形態を取る。
波長(wave length)
波の山から山まで、または谷から谷までの距離を波長と言う。進行する波の場合、波の面は1周期の間に1波長進む。
したがって
v(速度)=λ(波長)×ν(振動数) =λ(波長)/T(周期)である。
振動数(frequency)
振動や波動で単位時間内に同じ状態が繰り返される回数のことで、周波数ともいう。
振動数は周期の逆数でもあらわされ、単位はヘルツ(Hz)である。1秒間にn回の繰り返しがある場合、振動数はn(Hz)である。
波の運動を円で考える際、振動数に2πを乗じたものを角振動数(angular frequency)という。
電磁波の分類
直流電流とは電池から出る振動しない電流で振動数はゼロで、波長は無限大である。交流電流は家庭用に使われる電流で、振動数は50-60ヘルツ(Hz)程度である。
波長が短くなり周波数(振動数)が大きくなるにつれて、電磁波は長波から短波、赤外線・可視光線・紫外線、さらにエックス線・ガンマ―線になり、エネルギ―は大きくなる。
振動数と波長の関係は、νλ=c (振動数×波長=光速度)によって換算できる。
電気の振動から空中に電波が走ることを発見したのはドイツのヘルツ(1857-1894)である。
電磁波で発信機が決まった周波数の音をだし、受信機がその音をキャッチするので、通信では周波数は極めで重要である。
発信受信用の通信装置を発明したのはイタリ―のマルコニ―(1874-1937)である。
| 名称 | 記号 |
波長(m)
周波数(Hz) | 備考 |
| 1 | 長 波 | LF |
(数km) 104〜103
30-300(KHz) |
VLF(標準周波数)と同様に
航法援助に利用 |
| 2 | 中 波 | MF |
(数100m) 103〜102
300-3000(KHz) |
標準ラジオ放送に利用
535-1605(KHz) |
| 3 |
中短波
短 波 | HF |
1500-6000(KHz)
(数10m) 102〜101
3-30(MHz) |
移動・短波通信、FM放送
アマチュア無線、
宇宙科学に利用
1〜3はラジオ波という |
| 4 | 超短波 | VHF |
( 数m) 101〜1
30-300(MHz) |
固定・移動用通信
航法支援、TV放送 |
| 5 | 極超短波 | UHF |
(数10cm) 1〜10-1
300-3000(MHz) |
VHF以外に
惑星探査機 |
| 6 | センチ波 | SHF |
(数cm) 10-1〜10-2
3-30(GHz) |
固定無線、衛星
通信、レ―ダ―
4〜6を無線波という |
| 7 | ミ リ 波 | EHF |
(数mm) 10-2〜10-3
30-300(GHz) |
ミリ波〜可視光線
を熱放射線という |
| 8 | 赤外線 |
infrared
rays | 10-3〜10-7 | 赤外線写真 |
| 9 | 可視光線 |
|
(400-800nm)
4〜8×10-7 |
|
| 10 | 紫外線 |
ultraviolet
rays | 10-7〜10-8 | 殺菌灯、蛍光灯 |
| 11 | エツクス線 | X-rays |
(1-0.1Å)
10-9〜10-10 |
診断・透視
物質構造研究 |
| 12 | ガンマ―線 | γ-rays |
(0.1-0.001Å)
10-11〜10-13 | 治療・品種改良 |
(周波数は国際電気通信条約の表1による電波の周波数帯分類)
注 1
周波数が大きくなると波長が短くなる。次のULF・ELF・VLFは、 長波より長い波長をもつ電磁波である。
ULF(ultra low frequency) 周波数は30-300Hz
ELF(extremely low frequency) 周波数は300-3000Hz
VLF(very low frequency) 周波数は3-30KHz
注 2
電磁波の記号
LF=low frequency ・MF=middle frequency ・HF=high frequency ・VHF=very high frequency・
UH=ultra high frequency ・SHF=supper high frequency ・EHF=exstream high frequency
注 3
波長・振動数の単位
km(キロメ―トル・103m)、 m(メ―トル・100m)、 cm(センチメ―トル・10-2m)、 mm(ミリメ―トル・10-3m)、
μm(マイクロメ―トル・10-6m)、nm(ナノメ―トル・10-9m)、Å(オングストロ―ム・10-10m)
1000Hz=1KHz(キロヘルツ)・ 1000KHz=1MHz(メガヘルツ)・ 1000MHz=1GHz(ギガヘルツ)
単色光
単一の週波数からなる電磁波で、可視光についてのみ単色光(monochromatic light)という場合がある。現実には完全な単色光は存在せず、単色光の周波数はある程度幅がある。
波長400から800ナノメ―トル位までの目に見える光線は可視光線という。この七色の光は人間に密接に関連して、生活についていろいろの連想を生む。
可視光線と、それ以外の電磁波についても波長と特徴を説明する。
A 赤外線
波長約700nmから約1mmまでの電磁波を言う。光のスペクトルでは、赤色の部分の外側にあるので赤外線という。波長25-50ミクロンを境にして、近赤外線、中間赤外線、遠赤外線に区分される。
電波天文学、X線天文学とならんで赤外線で宇宙を調べる赤外線天文学も注目されている。
最近は遠景を撮影する赤外線写真、暗視装置、接触しないで温度を測る温度計、ミサイル追尾装置、レ―ザ―通信、サ―モグラフィ―などに利用されている。
B 赤
波長約600から650nm(ナノメ―トル)程度まで。
燃える火・命の通う血・悪魔の色・南方・戦火・災害・挑発・青と一緒で陰陽、古代エジプトでは災いの色。
C 緑
波長約480から510nm 程度まで。
生え伸びる草木の色・育つの意味・古代エジプトのオシリス神・豊饒の神。
イスラムのモスクで緑色のタイルがよく使用されるのは、砂漠の民としてはオアシスの緑は生命の色で楽園を意味するからである。
D 黄
波長約570から575nm程度まで。
大地の色・中央を支配する天子の色・宮城の門は黄門、カ―スト制度ではクシャトリア武士階級、支配する異民族の肌の色。
私の好きな碁盤の色。
E 紫
波長約420から425nm程度まで。
青と赤を重ねた色。青赤が同量のものは菫色(ラテン語からきたビオラviola)
赤の強いものはプルプラ(purpura)、深紅色の染料が取れる貝purpurasに由来する。プルプラの染料は高価でこの色の絹布は皇帝の専用であった。
青みの強いものはヒュアキントス、青い花を咲かせる植物hyacinthusに由来している。
F 紫外線
可視光線の約400nmからX線の10nm程度までの範囲の波長を持つ電磁波の総称で、便宜的にいくつかの区分が利用される。
この光のスペクトルは、紫色の外側に現れるのでこの名前がつけられた。
酸素からオゾンの生成、殺菌作用、生体でのビタミンDの生成、皮膚の黒化などは紫外線の作用によるものである。
G エックス線
はっきりした境界はないが、10-6〜10-10くらいの領域の電磁波を指す。
W.Cレントゲンが発見したのでレントゲン線といわれる、彼は一時オランダに移住していたので、オランダ風にレンチエン線ともいう。
X線の特徴は、透過する力が大きく物質に吸収されにくい。
X線の重要な応用技術は、X線回折を利用して原子・分子の構造解析、アモルファス物質の構造解析、タンパク質分子の3次元構造解析にも利用などである。
例えばヘモグロビンの鉄原子の位地が酸素分子の出入りで動く現象などもエックス線で観察される。
他にもX線が正常な組織よりも細胞分裂の盛んな悪性腫瘍の組織をより多く破壊するので、ガンの放射線治療に用いられる。
H ガンマ―線
γ線も透過能力が大きく物質に吸収されにくい。波長の非常に短い電磁波で、境界はっきり決まっていないが0.1Å(オングストロ―ム)くらいまで含まれる。
ガンの治療などの医療目的、金属内部の傷の検査など工業用にも用いられる。
X線回折(X-ray diffraction)
物質にX線が入射する時、X線の入射角と異なる特定方向に強いX線が進む現象をいう。
一般に波が障害物に衝突した時には障害物の陰の部分に波が回り込む。X線も電磁波であるから物質に衝突した時、回折現象が生ずる。
回折の強さと進行方向は、物質を構成する原子の種類と配列で決まる。回折するX線を調べればミクロの構造について、基本的な情報を手に入れることができる。
例えば、同じ炭素原子でも黒鉛とダイヤモンドが違うのは、原子配列の違いによることがX線回折でわかった。
固体化学、物性物理学、生物学、宇宙地球科学などのほか、金属工業、半導体工業などにもこの技術は広く利用されている。
単色光の組み合わせによって、いろいろのスペクトル色が得られる。これらすべての変化がどツプラー効果の公式で表わされる。
波長(ミクロン=10-6m) | 色 |
|
0.780〜0.620
0.620〜0.598
0.598〜0.587
0.587〜0.580
0.580〜0.576
0.576〜0.570
0.570〜0.560
0.560〜0.530
0.530〜0.498
0.498〜0.493
0.493〜0.487
0.487〜0.483
0.483〜0.455
0.455〜0.430
0.430〜0.380 |
赤
黄を帯びた赤
黄赤
赤を帯びた黄
黄
緑を帯びた黄
黄緑
黄を帯びた緑
緑
青を帯びた緑
青緑
緑を帯びた青
青
青紫
紫 |
スペクトル色(平凡社百科事典より)
(色の3法則)
人間は物を見る時、形と同時に色も知覚する。色とは目が光に感ずる知覚の一つである。
光が目に入ると、網膜の視細胞が電磁波を吸収する。すると電気的反応が生じて情報が大脳に送られる。色を知覚する大脳の細胞が興奮して色を認識する。
当然のことながら目を閉じると色は見えない。しかし目を開けていても、色を見るシステムが組み込まれていなければ見ることはできない。
人間の色を識別する能力は驚くべきもので、わずか2nm(10億分の1メ―トル)の波長の違いで色を見分けることができる。
色の知覚に関する法則は3つある、3属性・3色性・反対色性である。我々が目で物を見たり、日常生活で利用している色はこの法則に従っている。
A 3属性
色には三つの属性があり、色相(hue)・明度(value)・彩度(chroma)である。
色相とは青・赤・緑など色の種類のことである。また同じ色でも明るい色と暗い色がある、これを明度という。色によって鮮やかな色とくすんだ色がある、これが彩度である。
色を正確に表現するためには、3属性を使えばよい。この原理によって色の特徴を表わす方法をマンセル表色系という。
マンセル表色系では物体の色を、hue・value・chromeの3属性の組み合わせでで表わすので、HVC表示ともいわれる。
表示方法の詳細な説明は省略するが、例えば女性の唇の色は(7.6R 5.5/4.3)と表わされる。
すなわち色相の値は(7.6)で赤色(R)、明度の値は(5.5)、ついで区切り(/)が入る。そして彩度の値は(4.3)である。
B 3色性
どんな色でも3種類の色を混ぜ合わせて作れると言う性質がある、これが3色性である。2つだけではあらゆる色はできないしどんな色をだすにも4種類の色は必要ない。
この性質も目の知覚についての重要な法側で、グラスマンの第1法則と呼ばれる。
互いに独立した3つの色、例えば赤(red)・緑(green)・青(blue)を使って、3色性の式を次のように書くことができる。
C(C)≡R(R)+G(G)+B(B)
左辺のC(C)はいま問題にしている色である。( )内は色の種類を、左側のCはその色の量を示す。したがってC(C)は、Cという色がC単位だけあることを意味する。
同様にR(R)、G(G)、B(B)も赤・緑・青の種類と量を示し、上式は三つの色を重ね合わせていろいろの色が作れる。この方法を加法混色と言う。またある色から、構成する色を減らして別の色を作るのは減法混色と言う。
ここでカラ―テレビやコンピュ―タ―の色について調べてみる。
私はホ―ムペ―ジ作成ソフト、画像処理ソフトなどを使って囲碁のホ―ムペ―ジをつくり公開している。
囲碁の世界を表現するのに、白・黒・黄の長方形や楕円形の背景、白黒の文字を使用してロゴを作ってみた。
碁盤を示す黄色い長方形の背景に黒い楕円形の背景を重ねる、その上に白の文字を書く、白と黒の碁石である。
これらの色を指定する方法は二つある。
一つはyellow(黄)black(黒)white(白)などcolor name(色の名前)で色を直接指定する方法である、手元にあるアンク著のホ―ムペ―ジ辞典には16種の標準色の英語名が載っている。パソコンで色の名前を入力すれば、その色の絵や文字が出てくる。
もう1つは、ここで問題にしている3色性のC(C)≡R(R)+G(G)+B(B)を利用する方法である。
yellowは (#ffff00)、blackは (#000000)、whiteは (#ffffff)と指定すれば、その色がでてくる。
これはRGBの値をそれぞれ16段階で指定するもので、先頭にナンバー(#)を書き、つぎにred(赤)、green(緑)、blue(青)の数量を二つずつ決める。
rr・gg・bbと各々16段階の数量を二つずつ書く。
いろいろの数量の組み合わせで表示できる色の種類を多くするために、r・g・bを各2個ずつ合計6個を使う。
コンピュ―タ―等のデジタル記号では2進法の2n(22=4、23=8、24=16、25=32)が使用される。
色の種類を決める16段階の値は、0から9までの10個と11から16までの代わりにAからFまで6個の合計16個で表わせる。
| 数量 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
表示
記号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | A | B | C | D | E | F |
0123456789ABCDEFでゼロから最大Fまで、または1から100パ―セントまで16種類を使い表わせる色の種類は、(16×16)×
(16×16)×1(6×16)=166で16,777,216通りになる。
3種類の色の数量がすべてゼロ、すなわち(#000000)のとき黒色になる。白は(#ffffff)で最も明るい、すなわちrrは最大の16が二つ、ggもbbもそれぞれ最大の16ずつである。
黄色は(#ffff00)で、赤(rr)が256、緑(gg)が256、青(bb)が0で作られる。色の数量は、rrでは16×16=256、ggでも16×16=256、bbは0×0=0である。黄色は赤と緑が100パ―セントで、青は入っていない。
C 反対色性
赤と緑、黄と青がある場合、一方の色が見える所では他の色は見えない。つまりこれらの色は相反する色である。
我々の知覚には赤対緑、黄対青の反対色性がある。
赤と黄は共存してオレンジになる、赤と青では紫、緑と黄では黄緑、緑と青ではシアンになる。しかし赤と緑、黄と青ではいかなる色もできない。
フアションデザイナ―が反対色を利用して鮮やかなコントラストを見せてくれる。
美術と色について
色彩表現は建築、工芸、彫刻でも重要であるが、色彩がもっとも多く利用されるのは絵画である。
絵画の色は物理学で究められない。天才達の色彩感覚は、コンピュ―タ―の1677万色以上かもしれない。
同じ色でも絵具、支持体、制作方法で結果は異なる。顔料の性質、溶かす媒剤が水・油・膠のどれであるか、また支持体が紙・キヤンバス・木・漆喰壁かでも異なる。
色の点・線・面がどのような位地にあり、全体の構成とどう関係するかも重要な条件である。
マチスは言っている「1cm2と1m2のスペースに書かれた緑は、同じ緑でも全く別のものだ」と。
(電子顕微鏡)
光と光学レンズを用いて小さいものを見る装置を光学顕微鏡という。光の代わりに電子と電子レンズを用いて物質の拡大像を作るのが電子顕微鏡(electron microscope)である。
1932年、ベルリン工科大学のルスカ(E.Ruska)によって世界最初の電子顕微鏡が作られた。
電子顕微鏡は金属学、化学、生物学の分野で広く応用され、光学顕微鏡では見られない微細な物体の構造や機能の研究に不可欠な道具になっている。
一般に電子顕微鏡は、透過(とうか)型と走査(そうさ)型に分けられる。
A 透過型電子顕微鏡
これには普及型・超高圧電子・超高真空・分析などいくつかのタイプがある。
透過型電子顕微鏡は、顕微鏡鏡筒・真空系・電気系・操作系の4つで構成されている。例えば分析型電子顕微鏡は上から下へ電子銃、照射系、試料室、結像系、カメラ室がある。
B 走査電子顕微鏡
普及型・電界放射形などいくつかののタイプがあるが、筒の上部に電子銃がありその下に集束レンズや対物レンズがある。
試料室はかなり大きい。
|
|
解像力と電磁波の波長
二つの点を別々に識別できる最小の距離を解像力という。
肉眼の解像力は100μ光学顕微鏡の解像力はは0.2μである。
1μの物体は光学顕微鏡で見ることはできるが、点としか
みえない。
走査型電子顕微鏡の解像力は3-1nmで、透過型電子顕微鏡
では0.25nm-0.16nmである。
最小の水素原子の大きさは直径0.8Å(Å=0.1nm)であるが、
やや大きいナトリウム原子なら理論的には識別できる。
北アメリカで最初に実用化された電子顕微鏡、1938年に
トロント大学物理学部で製作された。
高解像度の構造分析や化学解析に使用されている。 |
透過型電子顕微鏡の分解能力は次式で示される。
d=0.65(Csλ3)1/4
(d=解像力、Cs=対物レンズの球面収差係数、λ=電子線の波長であり150/V1/4で示される。Vは加速電圧)
したがって分解能力を上げるためには、対物レンズの球面収差をよくするか加速電圧を高くする必要がある。
例えば透過型電子顕微鏡の普及タイプの分解能力では、加速電圧100KV(λ=0.037Å)Cs=0.8mmとして点分解能 d=0.25nm
となる。
また走査型電子顕微鏡の分解能力は、試料面上を走る電子線の束の大きさで決まる。
一部重複するが、電磁波の波長と見える領域をあげておく。
電磁波の波長(m) | 見える範囲(m) | 物体の大きさ |
|
ラジオ・TV・FM
放送波 | (103-100) |
肉眼
(103-10-3)
虫眼鏡
(10-2-10-4)
光学顕微鏡
(10-3-10-6)
紫外線顕微鏡
(10-5-10-7)
走査型電子顕微鏡
(10-3-10-9)
透過型電子顕微鏡
(10-5-10-10)
走査型トンネル顕微鏡
(10-8-10-11) |
富士山
人 体
鶏 卵
ゾウリムシ
花 粉
ヒト赤血球
大腸菌
染色体
狂犬病ウイルス
DNA
ヘモグロビン分子
水素分子
原 子
原子核
電 子 |
レ―ダ波 | (10-1-10-3) |
|
赤 外 線
可視光線
紫 外 線 | (10-3-10-8) |
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エツクス線
ガンマ―線 | (10-9-10-13) |
マイクロマシン 講談社現代新書 那須比子古著
音
ついでに音について考察すると、音では大きさと高さが問題になる。目には見えないが光と同じように音も波である。
物理学で波の性質を研究するのが波動力学である。
量子論・相対性理論で物質の究極的な存在が粒子か波かが大きな問題で光・電子などの波動的性質が研究される。というわけでここではまず波の性質について調査する。
(波の性質)
音と波の性質についていくつか問題点を考察する。
A 媒質(媒体)
空間に媒質が広がっており、それが振動するのが波である。典型的な媒質が海水で、静止した状態からいくら上がっているか下がっているかによって波の形が変わる。
音波の場合は媒質は空気で、その粗密の変化を音という。地震波は大地の震動である。
B 速度
波は媒質の特殊な状態で、変化という意味では速度をもっている。波は速度と方向をもっており正確に測定できる。
C 媒質の変化量
波は反復性を持っているが、水平時の高さに比してどれだけ高いか低いかを数値で示すほうが妥当であろう。うねっている海面の高さを表わすのが古典的な波動関数である。
D 波長と振動数
波の山から山、または谷から谷の間を波長といいλ(ラムダ)で表わす。同じ形の波がやってくる距離(時間)を周期といい、
Tで表わされる。
振動数はν(ニュ―)で表わし周期の逆数である。振動数は単位時間中に何回波が来るかを示す。
原子の運動では振動数を使い、音波と電磁波の場合は周波数を使う。周波数は1秒間に何回波が来るかを示すヘルツ(Hz)を使用する。
波は高低の繰り返し運動だから円運動で考えるとわかりやすい。
円周はで2πrである、(r)は場合に応じて(m)(mm)(μm)(Å)などを使い分け一般には記載を省略する。
κ=2π/λ (波数=2π/波長)
波数は円周の長さに入っている波の数を意味する。
また振動数にπをかけて円に関する振動数、角振動数を表わす。但しν=1/T (振動数=1/周期)である。
ω=2πν (角振動数=2π×振動数)
E 縦波と横波
振動方向が横の波を横波といい速度と垂直の方向に移動する。振動方向が縦の波を縦波といい速度に沿って繰り返し動く。
縦波と横波の区分はむつかしいが音波は縦波、海の波浪は風による移動を別にして横波、地震波は縦波も横波も存在する。
F 重ね合わせの原理
二つ以上の波が同時に来た場合、高さは足し算か引き算で計算される。
ある地点のA波の高さが2mで、B波の高さが1mである場合2つが合わさった波の高さは3mになる。その地点でB波が谷の部分でマイナス1mである場合は、波の高さは差し引き1mになる。
この性質は物理・数学で光や音を考える時極めて重要な原理になる。
私は寝る時に、睡眠薬代わりに推理小説を読む。
推理小説ではアリバイが大変重要なテ―マである。アリバイの基本的な考えは1人の人間が同一時刻に異なる場所に存在することはできないと言うことである。
人間の変わりに物体としてもよい。光・電子・原子など素粒子の世界ではこのような考え方が通用しなくなってくる。
1個の光粒子が同時に2つの穴を通り抜けて干渉縞を作る。水素原子同士が1オングストロ―ム(1Å=10-8cm)以下に近づくと2つの原子がもつ電子が中間の位置を共有する。これらの現象は物質の持つ粒子性と波動性の結果であるが、極微の世界では粒と波を並行的に調べることが要求される。
人間も素粒子でできているから、物理学者との議論ではアリバイも怪しくなるかも知れない。
(音波の三大要素)
音の三要素とは、振幅・周期・波型である。
音の大きさは振幅の大きさによって決まる。
単振動の場合はゆれの中央から最大値、また中央から最小までの絶対値を振幅という。そして振幅が大きいほど音が大きくなる。
音の高低は周波数の多少によって決まる。また波型の複雑性は音の多様性を生む。
音は複雑で多様である。横軸に時間・縦軸に音圧としてグラフ化することができる。音は目に見えないが、音を薄い膜に当てわずかな振動を電流に変えてブラウン管に移すことでグラフ化する。
人間の言葉、動物の鳴き声、風の音、川のせせらぎなど無数で、音の種類は何千億・何兆にもなる。
例えば人の声にしても、地球上の何十億人の声に同じものはない。よく似ている音でも聴覚の鋭い人は違いを聞き分けるし機械に頼れば識別できる。
音は同じ波型が繰り返されるから周期は判る。周期の逆数の周波数によって調べると、可聴音は20Hz〜20,000Hzである。
これより低い低周波の音は長く聞くと、気分が悪くなる。また20,000Hz以上の超音波は、水中では音波のエネルギ―の減退が少ないために魚群探知機に使用される。また体の中を探ることにも使用されている。
(音の速度)
空中の音の速度は次のように表すことができる、暑い日ほど音は早く伝わる。
v=331.5+0.6t
(v=音速、単位=m/s、t=摂氏温度)
常温での音の波長(λ)は、周波数を(f)とするとλ=340/f (50m〜10cm)程度であるが、ひとの話し声など普通の音の波長は
(1m〜3m)前後である。
気体の分子が空中で飛び交っているとき、各分子の平均の速さ(v2)の平方根は種類ごとに次のとおりである。
H2=1838、N2=494、02=461、air=485 (単位=m/s)
音は分子の平均速度よりやや遅い、これによると音速340m/s (1気圧・15℃)は妥当な数であろう。
液体中の音速は温度にもよるが、常温で1秒当たりメ―トル(m/s)で表わしてみる。
気体でも液体でも音波は分子の衝突でつたわるが、分子は衝突から次の衝突まで6×10-6cmほど走る (1気圧・零℃)、つまり分子の直径の100倍程度の距離である。
液体は気体より分子が密で隙間が小さいので、気体より4〜5倍早く伝わる。
液体の分子は集団になって粗密波をつくるが、液体の密度である比重・分子1個の重さである分子量や分子の形状も音速に関係するとも考えられる。
しかし比重と音速の間に必ずしも比例的関係が認められない。現実にはいろいろの要素が複雑に絡み合っているらしい。
物質名 | 分子式 | 比重 | 音速(m/s) |
| 蒸留水 | H2O | 1.000 | 1500 |
| 海 水 | 塩分3% | 1.021 | 1513 |
| エタノール | C2H5OH | 0.786 | 1207 |
| クロロホルム | CHCL3 | 1.490 | 995 |
| グリセリン | C3H5(OH)3 | 1.260 | 1986 |
| 四塩化炭素 | CCI4 | 1.590 | 930 |
| 水 銀 | Hg | 13.600 | 1450 |
| 二硫化水素 | CS2 | 1.260 | 1149 |
| ベンゼン | C6H6 | 0.870 | 1296 |
| ジエチルエ―テル | C(C2H5)2 | 0.710 | 985 |
無茶な話だが、子供の頃横たわって線路に耳をつけて遠くから近づく電車の音を聞いたことがある。振幅は極めて小さいが音が鉄という固体の中から伝わってくる。
鉄も非常に小さい振幅ながら、縦方向・横方向に高振動で動くことができる。固体振動の例が地震波である。
固体の中の波動を地震に関連して調べる。
震度 | 名称 | 内容 |
加速度
(cm/s2) |
| 0 | 無感 | 人体に感じないが地震計で把握する | 0.8以下 |
| 1 | 激震 | 特に注意深い人だけが感ずる | 0.8〜2.5 |
| 2 | 軽震 | 戸・障子などがわずかに動く | 2.5〜8.0 |
| 3 | 弱震 | 戸・障子などがガタガタ動き電灯が揺れる | 8〜25 |
| 4 | 中震 | 家屋が揺れ歩いている人にも感じられる | 25〜80 |
| 5 | 強震 | 壁に割れ目が入り墓石石灯篭が倒れる | 80〜250 |
| 6 | 烈震 | 家屋の倒壊は以下立っておれない | 250〜400 |
| 7 | 激震 | 家屋の倒壊は以上山崩れや地割れが生ずる | 400以上 |
震度は1996年までは0から7までの8階級に分類されていた。数値的には加速度のCGS単位であるガル(cm/s2)で定義される。
1996年10月1日に震度は改正された。
地震の規模の大きさは瞬間的に発生するエネルギ―の量で決めるが、マグネチュ―ド(Magnitude)という言葉で示される。
大きな地震だと1026エルグのエネルギ―が発生する。これは1辺が70kmの立方体の岩石を1m持ち上げるエネルギ―に等しい。
音・光・電磁波 都筑卓司著 講談社
(音の認識)
温度について20℃は必ずしも10℃の2倍を意味しない、「暑さ」とか音の「やかましさ」などの量をどのように表現すればよいのか。
音は波動であり波の移動はエネルギーの伝播であるから、単位時間に単位面積を通るエネルギーを音の大きさとすればよいという意見もある。
しかし周波数の大小の幅が大き過ぎて、量を図表に書いたり通常の数値で表すのは不適当である。
一般に音圧が人間の感覚に与える影響は、対数値に比例することが多い。
これを対数比例の法則というが、観測する量が4倍になると感覚としては2倍、8倍になって3倍と感じ、16倍になって始めて4倍と感ずるようになる。
この意識の面から物理的な量を表現する方法は、1,000倍、10,000倍と量が大きくなると体が受ける感覚は大きくなるが、伸び率は小さくなる。
y=logx/x0
(y=感覚として受ける数値、x=実際の数値、x0=xと同じ元を持つ定数)
聞こえる音は感覚によるのでその数値はy=10logI/I0 である。 すなわちy=10(logI−logI0)とすれば、Iは音波のエネルギ―、対数の底は10つまり常用対数、I0はIとおなじ元を持ち測定の基礎になる量である。
すべての音のエネルギ―は(I/I0)で測る。デシ・ベル(dB)のベルアレキサンダ―・グラハム・ベルからきており、ベルは常用対数のlogI/I0として使われる。
測定したI/I0の値が10であれば、その10分の1の数値として100dBという。
物理的なエネルギ―がdBであり、感覚的に定義されたフォン(phon)とは異なるが、同じように使用されることが多い。
音のフォンと感覚度を比較してみる。
フォン数
(phon) | 聞こえる音の種類 |
| 130前後 | 飛行機のエンジン音 |
| 120以下 | けたたましい警笛の音 |
| 100程度 | 高架線ガ―ド下、地下鉄車内 |
| 80程度 | 昼の繁華街、防音電車の車内 |
| 60程度 | 普通会話(距離)、平均的事務所内 |
| 40程度 | 静かな公園住宅地、振り子時計の音(距離) |
| 20程度 | 蛍光灯のうなり(距離) |
| 0 | やっと聞こえる音 |
夜の静かな室内の様子を柱時計の振り子の音と鉄瓶から出る湯気の音と形容することがあるが、上表の感度指数で言えば20〜30phonくらいか。
音は空気の振動で、音の認識のメカニズムは鼓膜の振動が大脳前頭葉に伝えられ、その音が識別される。周波数の小さい音は低く大きい音は高く聞こえる。
人間の耳は、20または30〜20000Hzの範囲しか認識できない。
パルスの強さを積分公式で計算できる。
αn=2∫10 q(t)sin(πnt)dt βn=2∫10 q(t)cos(πnt)dt
A0=∫10 q(t)dt
(A=0は全く振動しない音)
音を識別するとは、数学的には音の波を表わす関数 q(t)と係数 A0α1β1がわかると言うことである。(α1・β1は周波数)
人間はこの計算を、音波→外耳道→鼓膜→うずまき器官→聴神経→大脳のプロセスで行っている。