2008年1月27日
左欄の絵は、ザクロです。私のお師匠さんの家に遊びに行った時、飾ってあったのをいただいてきました。はじめは、何かわかりませんでした。ザクロを乾燥させたやつだと聞いて、初めてなるほどと思いました。ザクロとわかると、どこか風情があって、景色がよい。残念なことに引っ越した時失くしてしまい、今は絵が残っているだけです。
何かわからない時には識別をしておくとよいですね。(ザクロと書いておいてよかった)
容器の中に何が入っているかわからない時は、「A製品lot123最終混合顆粒」と識別しておけば、なるほど打錠前の中間製品が入っていることがわかります。配管がありました。「←精製水」と書いておけば、精製水がこの中を通っているのだとわかります。機械の中に何が入っているのか?「乾燥工程A製品lot1234」と書いてあれば、今この製品を乾燥中なのだということがわかります。これらの識別は、状態識別といいます。
その他に、容器や機械そのものの識別もあります。その機械の名前のようなものですね。同じメーカーの同じ型式の機械が複数あったら、記録を見ただけではどの機械を使って、製造したのか、試験したのかわかりません。そこで、識別コードなどを使って、固有の名前を付けるわけです。家庭でも子供が三人いれば、花子、太郎、次郎と名前をつけます。それと一緒です。記録に、この機械をつかったと明確に識別しておくわけです。GMPは、この二つの識別を求めています。
ザクロと書いておいてよかった。
缶コーヒーのコマーシャルで、工場の人が坂口憲二さんに「朋子にさわるな」というのがありました。「呼び捨てにするな」と怒っているのです。このコマーシャルを見て、「同じことしてる」と思いました。私も機械に名前を付けているのです。そうすると、愛着がわくでしょう。「今日も一日ありがとう」という気持ちになって、クリアランスにも心がこもるのではないかと考えたのです。こんなことやると、怒られるかな。仮想製薬工場では、機械に名前がついてるんですよ。
2008年1月20日
「鍵をかける」…そのようなGMPのダイレクトの要件はありませんよ。何かの間違いじゃないですか?…いいや、鍵かけなきゃだめだってことでしたよ…そっ、そうですか(^^;)
こんな場面にはよく出会います。GMPの要求事項かというと、直接要件にはありません。GMPの条文に「鍵をかけろ」という言葉はでてこないということです。ですから、GMPが「鍵をかけなきゃだめだ」という選択肢のない意思決定を求めることはないでしょう。
そういう意味で、この人はGMPのダイレクトの要件ではないと言ったのでしょう。しかし、もう一人の人、というかもう一人の人に「鍵をかけなきゃだめ」と言った人は、GMPのコンプライアンスの側面からではなく、GMPの実践のハウツウの側面から提案したのでしょう。多分「絶対だめ」という言葉は使わないはずです。
それでは、どんな場面でこのような提案をしたのでしょうか?残念ながら、現場にいたわけではないので、分かりません。私の知り合いからの又聞きなのです。しかし、想像はできます。
たとえば、ラベル管理室、中間製品保管室、医薬品が入った未表示の容器(ホワイトストックってどこかで言ったかな)、危険物倉庫、ラベリングを入れるロットキャビネット、コンピュータのソフトやバックアップの保管庫、隔離保管や不合格品保管区域、校正不良機器、印鑑やIDカードの保管箱など、鍵をかけることで混同防止やアクセス制限の対策となるようなところです。しかも、鍵は目に見えますので、その対策を取っていることが無言のうちにわかります。「ああ、アクセス制限しているな」…誰が見てもそのように思います。ですから、提案した人の気持ちはよく分かるわけです。
しかし、他の方法で混同防止やアクセス制限の対策をとれないことはありませんので、「鍵かけなきゃだめ」と言うことはないですね。
西山さんが以前働いていた会社では、試験結果待ちの製品の隔離保管室に鍵がかかっていたそうです。勝手に想像しているのですが、過去に隔離保管中の製品を出荷したことがあるのかもしれませんね。それで、管理のグレードを上げるために鍵をかけたのかも…?たんなる想像です。
要は、このような議論をするときに、GMPをレギュレーションとして、すなわちコンプライアンスの側面から話しているのか、GMPの実践のノウハウとして話しているのか、お互い確認しあうと良いと思います。そして、ノウハウを話すときには、その組織のシステムやそれを守る規律がどのレベルなのか、正しく判断して提案(議論)したいですね。
2008年1月13日
[1]:FDAの規制措置または非承認に結びつくクリティカルなGMP欠陥。
[2]:それ自体はクリティカルではないが、関連する欠陥と併せて「システム」の問題となり、FDAの規制措置または非承認に結びつくGMP欠陥。
[3]:それ自体ではGMP遵守への影響はわずかだが、関連する欠陥と併せて「システム」の大きな問題を示す可能性のある軽微なGMP欠陥。
このような評価をつけておけば、何から手を打つべきかの意思決定がしやすくなります。GMP内部監査を実施したときは、指摘事項の記載にとどまらず、各指摘事項にこのような評価をつけたいものです。
当然、人間が判断するわけなので、個人差の出ることが考えられます。それをゼロにすることはできないまでも、できるだけ個人差を解消ために、監査担当者の適格性にある程度の基準を設けるべきでしょう。GMPの知識は勿論ですが、GMPの欠陥(Deficiency)の軽重を判断する能力が問われます。
では、どのようにしてその能力を付けるのか?それは多くの指摘事例に接しながら、感覚というか、判断力を磨いていくことでしょう。そして、ちょっぴりセンスも必要でしょう。
クリティカルではないが、ある条件ではクリティカルになりえたり、マイナーでも多く集まることでメジャーやクリティカルになりえます。GMPの条文では求めていないが、業界標準になっているものもあります。(ちょうどGMP情報ダイジェスト389号で紹介した警告状の指摘事項)GMPの直接要件ではなくても、それ自体で、または関連する事項と併せてクリティカルになる恐れもあるわけです。
全ての事例が微妙に異なり、ケースバイケースの判断が求められます。ですから、多くの事例に接して、欠陥の軽重の判断力をつけるようにしたいものです。
2008年1月4日
今年も1年が始まった。FDAのプロポーザルが出てきたが、またまたファイナルのプロポーザルだ。Ph.Ⅰの時のような結果にならなければよいが…。あの時は、素早く対応して文章の書き換えや資料の再編集を行った。万全の準備で施行を待っていたら、直前になって撤回されてしまった。ずいぶん時間を浪費したものだ。…しかし、FDAの方針に変わりはないので、全てがムダと言うことではなかったが。
一昨年の暮れには、OOSのガイダンスが出た。ここでもFDAの方針はBarr Lab.との裁判で争った主張をそのままそっくり取り込んでいる。裁判ではFDAの主張は敗れたのだが、敗者復活戦だな。再試験と再サンプリングの方針を、FDAよりに修正する必要がある。
さて、昨年末のcGMP改正プロポーザルだが、FDAの基本方針が変わったわけではない。cGMPは業界の実践よりもかなり遅れて規則となるものだから、今まで通りにcGMPを遵守していれば、問題ないものが多い。今回の改正のハイライトは、機械と人のダブルチェックだろう。それから、バイオバーデン試験…その他もあるが、特に目新しいものはない。
コンピュータがマニュアルのダブルチェックを代替することは、以前に議論されている。今一度振り返ってみると、コンピュータが人の確認と同等のことができれば、第二者の代替可能であるというものだ。今回主体が逆転したものの、この方針をプロポーザルに明確に取り込んできた。
注意しなければならないのは、マニュアルと同等であるということだ。今のところ、コンピュータが人に代替できないことがある。それは、「判断」だ。そのため、今回のプロポーザルでも、一人の「人間」が、「機械」が指図通り実施したことを確認することになっている。この人間の判断をはずすことができない限り、無人化はできないだろう。我々が選択できるのは、その場にいる必要があるか、後で確認しても良いかという、時間的な問題だけのように思われる。この判断も含めて、以下のことに注意しておこう。
1)要求仕様:確認は何をするのか(特に判断に注意!)
2)コンピュータバリデーション(後で確認する場合のパラメータの管理)
3)記録(電子またはプリントアウト)
全てコンピュータバリデーションの重要項目だ。
それから、昨年はグリセリンの試験に関するガイダンスが出ていた。グリセリンは、全ロットを分析しジエチレングリコールの汚染を確認することになる。そして、試験の代表サンプルは各ロットの各容器から採ることを提案している。ジエチレングリコール混入の大きな被害を受けてのガイダンス発行である。
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