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査察結果を左右するクリティカルな項目
 
WELCOME!システム査察
システム査察に関する知識と各システムのGMP遵守に関するページです。


システム査察
システム査察は、GMP遵守状況の評価の焦点を特定の製品から工場全体にシフトしたアプローチです。工場全体を評価することで、定期的かつ継続的な査察の低減や、承認前査察の回数と調査の深さを削減することを目的とした手法です。

工場全体をGMPの領域を6つに分類し、その領域の複数のプロファイルクラスを調査することにより、各システムの管理状態を評価するアプローチです。その評価は、FDA FACTS(Field Accomplishments & Compliance Tracking System)と呼ばれるシステムに登録され、会社のGMP遵守状態がアップデートされます。いわゆる、企業のアカウントプロファイルが作成されるわけです。

この査察が大きな話題を呼んだ背景は、これまでの査察と異なり、どれか一つのシステムにおいて重大な欠陥が観察された場合でも、工場の全行為が不適切であるとみなされるからです。いわゆる「Fatal flaw」シナリオ(致命的な欠陥シナリオ)であり、その場で査察が中止されることもあり得ます。

企業の遵守状態がよい場合には、システム査察時に品質システムと他の最低1システムを調査する簡易オプションが採用されます。遵守状態が好ましくない場合や今まで企業の情報が不十分な場合には、品質システムと他の最低3システムを調査するフルオプションが採用されます。


6システム

プロファイルクラス

                                                       (2008年2月現在)




システムの概要
各システムは、以下の査察対象項目に関する承認済み手順書と手順の実施結果の記録を有することが求められます。手順の実施は、査察中の観察によって確認されます。査察の対象は、最終製品、原料、中間製品に及び、観察された欠陥は、他のシステムへの拡大調査につながる可能性もあります。原則として、システムの全領域を対象とします。 また、人員への教育訓練も共通の要件となっています。
品質システム
GMP、手順、規格などの全体の遵守を保証するシステムです。このシステムは、品質部門(品質保証と品質管理試験室)とその部門が実施するレビューと承認の全てを含みます(たとえば、変更管理、再加工、バッチの出荷判定、年次照査、バリデーションプロトコルや報告書など)。
原材料システム
このシステムは、最終製品、製品に組み込まれる水、ガスを含む原料、容器/栓を管理する方法と活動を含む。これには、コンピュータ化した在庫管理プロセスのバリデーション、医薬の保管、物流管理および記録が含まれる。
包装表示システム
医薬品の包装と表示を管理するシステムです。手順書、ラベルの検査と使用、ラベルの保管と発行、包装と表示の作業管理、およびこれらの作業のバリデーションが含まれます。
設備装置システム
製造に用いる建物、設備、装置や、製品への組み込みを意図しないHVAC、圧縮ガス、スチーム、水システム等のユーティリティのシステムです。建物や設備はメンテナンスを、装置は適格性の確認(IQ,OQ)、装置の校正とメンテナンス、クリーニングとクリーニング・プロセスのバリデーションを含みます。

製造システム
バッチの調合、製剤化、工程内サンプリングと試験、およびプロセス・バリデーションを含めた医薬および医薬品の製造を管理すシステムです。また、承認された製造手順の確立、順守、記録の作成も含まれます。


試験室システム
試験検査室の手順、試験、分析方法の開発とバリデーションまたは検証(verification)安定性プログラムに関連する活動のシステムです。


*品質システムは、2段階の評価となります。
 第1段階は、品質部門の責任を全うしていることを評価します。その責任は、製造、品質管理、品質保証に関する全ての手順をレビューして、承認し、手順が意図したとおり用いられていることを保証することです。
 第2段階は、データを調査して、品質の問題を確認します。査察の対象は、他の5システムとリンクする可能性があります。




各システムの査察対象項目(手順書と記録)
品質システム
a) 製品の照査:少なくとも毎年1回実施する。b)以下の情報を含む。各製品の代表バッチをレビューする。傾向を把握する。21 CFR 211.180(e)の参照。[J 211.180]

b) 苦情のレビュー(品質面と医療面):文書化する。評価する。適時調査する。適切な場合には是正措置を含む。[J 211.198]

c) 製造と試験に関連する不一致および不適の原因調査:文書化する。評価する。適時調査する。適切な場合には是正処置を含む。[J 211.192]

d) 変更管理:文書化する。評価する。承認する。再バリデーションの必要性を評価する。[F 211.100]

e) 製品改善プロジェクト:市販製品に対して行う。[J 211.198]

f) 再処理/再加工:評価、レビューおよび承認する。バリデーションおよび安定性への影響を検討する。[F 211.115]

g) 返品/救済:評価する。正当な拡大調査をする。処分する。[K211.204, K211.208]

h) 不適判定(rejects):正当な拡大調査をする。適切な場合には是正措置を含む。[J 211.192]

i) 安定性の不適:正当な拡大調査をする。市場への警告の必要性を評価する。処分する。[I 211.166]

j) 製品の隔離保管[H 211.142]

k) バリデーション:求められるバリデーション/再バリデーションの状況(たとえば、コンピュータ、製造プロセス、試験方法)。[F 211.100]

l) 品質管理ユニットの職務についての要員の訓練と適格性評価。[B 211.25]


原材料システム
a) 要員の訓練/適格性評価。[B 211.25]

b) 原料、容器、栓の識別表示。[E 211.80]

c) 原料、容器、栓の在庫管理。[E 211.82]

d) 保管条件。[E 211.80]

e) 試験や検査をして出荷承認されるまでの隔離保管。[E 211.82]

f) 適切な方法による代表サンプルの採取、試験または検査。[E 211.84]

g) 原料の各ロットについて少なくとも1回の確認試験の実施。[E 211.84]

h) 容器および栓の各ロットについて目視による確認の実施。[E 211.84]

i) 原料、容器、栓に対する試験または供給業者の試験結果のバリデーション。[E 211.84]

j) 受入要件に適合しない原料、容器、栓の廃棄。原料の由来を実証するための、その会社の手順の十分な調査。[E 211.84]

k) 原料、容器、栓の適切な再試験/再検査。[E211.84]

l) 原料、容器、栓の先入れ先出しの採用。[E 211.86]

m) 不適判定物質の隔離保管。[E 211.89]

n) 水とプロセス・ガスの供給、設計、メンテナンス、バリデーションおよび運転。[D 211.67]

o) 医薬品製剤に対して反応性、混和性、または吸収性のない容器と栓。[E 211.94]

p) 材料取り扱い作業の変更を行うための管理システム。[NA]

q) コンピュータ化または自動データ処理システムの適格性評価/バリデーションおよび機密保護。[D 211.68]

r) ロット毎の最終製品の出荷配送記録。[J 211.196]

s) 説明のつかない食い違いに対する調査文書。[J 211.192]


包装表示システム
a) 要員の訓練/適格性評価。[B 211.25]

b) 包装および表示材料の受入作業。[G 211.122]

c) 包装および表示作業の変更を行うための管理システム。[NA]

d) 承認済みおよび発行後返却されたラベルと表示材料の適切な保管。[G 211.125]

e) 異なる製品用の、大きさ、形および色が類似しているラベルの管理。[G 211.122]

f) 電子的または目視による全数確認システムをとらず、また専用ラインも使用していない場合の、見た目が類似している直接容器用の最終製品のカットラベル。[G 211.122, G211.125]

g) 大きさ、形または色ではっきり差別化しない場合の、ラベルの混合組版印刷の禁止。[G 211.122]

h) 複数のプライベート・ラベルを後で貼付するために表示のない充てん済み容器の管理。[G 211.130]

i) 使用されたすべてのラベルの見本を含む、適切な包装記録。[G 211.122]

j) 表示材料の発行管理、発行されたラベルの検査、および使用されたラベルとの出納調査。[G 211.125]

k) 表示済み最終製品の検査。[G 211.134]

l) 入荷ラベルの適切な検品(試験検査)。[G 211.122]

m) ロット番号の使用、ロット番号/管理番号を打った余剰ラベルの廃棄。[G 211.125]

n) 異なる表示および包装作業ライン間の物理的/空間的分離。[G 211.130]

o) 製造ラインと一体の印刷装置のモニタリング。[G 211.122]

p) ラインの片づけ、検査および文書化。[G 211.130]

q) ラベルに表示された適切な有効期限。[G 211.137]

r) 不正開封防止機能包装 の要件への適合。[G 211.132]

s) バリデーションおよびコンピュータ化または自動データ処理システムの機密保護を含む、包装および表示作業のバリデーション。[G 211.68]

t) 説明のつかない食い違いに対する調査文書。[J 211.192]




設備装置システム
A)  設備
a) クリーニングとメンテナンス(清浄化と保守)。[C 211.42, C 211.58]

b) 設備の配置と交叉汚染を防ぐための空気処理システム。(たとえば、ペニシリン、β-ラクタム、ステロイド、ホルモン、細胞毒等)。[C 211.46]

c) 汚染または混同を防止するため、製造作業用に特別に設計された区域。[C 211.42]

d) 一般空気処理システム。[C 211.46]

e) 建物における変更実施のための管理システム。[NA]

f) 照明、飲料水、手洗いとトイレ設備、廃水と廃棄物処理。[C 211.44, C211.48, C 211.50, C211.52]

g) 建物の衛生管理、殺鼠剤、防カビ剤、殺虫剤、清浄化剤と消毒剤の使用。[C 211.56]

B) 装置
a) 必要に応じた装置の据付時適格性評価と稼動性能適格性評価。[D 211.63,68]

b) 装置の設計、寸法、配置の妥当性。[D 211.63]

c) 反応性、混和性、吸収性 のない装置表面。[D 211.65]

d) 製品/容器等に接触する装置運転用物質(潤滑剤、冷却水、冷媒等)の適切な使用。[D 211.65]

e) クリーニング手順とクリーニング・バリデーション。[D 211.67]

f) 汚染防止の管理、特に殺虫剤または他の有毒物質、または他の医薬または非医薬化学薬品。[D 211.67]

g) 標準品、原料、試薬等が適切な温度で保管されることを保証する冷蔵庫や冷凍庫のような保管装置の適格性評価、キャリブレーションおよびメンテナンス。[D 211.67]

h) コンピュータの適格性評価/バリデーションと機密保護を含む装置の適格性評価、キャリブレーションおよびメンテナンス。[D 211.68]

i) 装置の変更実施のための管理システム。[NA]

j) 装置識別の実施(それが適切な場合には)。[F 211.105]

k) 説明のつかない食い違いの調査文書。[J 211.192]


製造システム
a) 要員の訓練/適格性評価。[B 211.25]

b) プロセスの変更を行うための管理システム。[F 211.100]

c) 原料調合のための適切な手順と実施。[F 211.101]

d) 100%未満にならない製剤/製造量。[F 211.101]

e) 装置とその内容物の識別確認と、それが適切な場合、製造の段階および/または状況 の識別確認。[F 211.105]

f) 容器と栓のクリーニング/滅菌/脱パイロジェンのバリデーションおよびベリフィケーション。[E 211.94]

g) 実際収量と理論的収率の計算と文書化。[F 211.103]

h) 実施と同時に作成した完全なバッチ製造の文書化 。[F 211.100]

i) 製造段階ごとに設定する終了までの時間制限。[F 211.111]

j) 工程内の管理、試験、検査(たとえば、pH、混合の適切性、重量変動、清澄度)の実施と文書化。[F 211.110]

k) 中間工程の規格と医薬品の最終規格の正当性と一貫性。[F 211.110]

l) 非無菌製剤中の有害微生物汚染の防止。[F 211.113]

m) 作業前の手順 の厳守(たとえば、組み立て、ラインの掃除等)。[D 211.67]

n) 設備機器のクリーニングと使用記録。[F 211.105, J 211.182]

o) 製造指図書(マスターバッチ製造記録)。[F 211.100, J 211.186]

p) バッチ製造管理記録。[F 211.100, J 211.188]

q) コンピュータ化または自動データ処理システムのバリデーションと機密保護を含む、プロセス・バリデーション。[D 211.68]

r) 変更管理;再バリデーションの評価の必要性。[F 211.100]

s) 説明のつかない食い違いに対する調査文書。[J 211.192]

試験室システム
a) 要員の訓練/適格性評価。[B 211.25]

b) 試験室作業の人員配置の妥当性。[B 211.25]

c) 使用目的に対する装置および設備の妥当性。[C 211.42, D 211.63]

d) 分析機器および装置のキャリブレーションとメンテナンス計画。[I 211.160]

e) コンピュータ化または自動データ処理システムのバリデーションと機密保護。[D 211.68]

f) 標準品;由来、純度と含有量、および必要に応じて現行の公式標準品との等価を確定する試験。[I 211.160]

g) クロマトグラフィー・システム(たとえば、GCまたはHPLC)の適切性のチェック。[I 211.160]

h) 規格、標準、および代表サンプルのサンプリング計画。[I 211.160]

i) 文書化された分析方法の遵守。[I 211.160]

j) 分析方法のバリデーション/ベリフィケーション。[J 211.194]

k) 試験室作業の変更を行うための管理システム。[I 211.160]

l) 正しいサンプルでの試験の実施。[I 211.160]

m) 説明のつかない食い違いに対する調査文書。[J 211.192]

n) 全ての試験と試験結果の要約からなる完全な分析記録。[J 211.194]

o) 生データの品質と保存(たとえば、クロマトグラムとスペクトラ)。[J 211.194]

p) 結果の要約と生データとの関連;使用されないデータの存在 。[J 211.194]

q) 原因調査の適時完了を含む、適切な規格外 (OOS) 手順の遵守。[I 211.160]

r) 適切な保存サンプル;保存サンプルの検査の文書化。[I 211.170]

s) 試験方法の安定性評価能力の証明を含む、安定性試験計画。[I 211.166]



CGMPセクションとシステム対応表



査察結果を左右するクリティカルなポイント
怠るとクリティカルとなる領域です。システム査察対応で最も重要な項目と位置づけ、まずはこの領域のSOPや記録の整備を行いましょう。各領域に関連するSOPは一つとは限りません。どこまでを範囲とするか、その選択はQAの腕の見せ所ですね。
品質システム
1) レビュー/承認手順
2) 実施した作業の記録
3) 文書化のレビュー
4) 不一致/失敗/逸脱/苦情の調査と解決
5) GMPとSOPの順守を保証するための他の5システムの評価


原材料システム
1) 規格不適合の原料の使用または出庫。
2) 原料の特異的な同一性確認試験の実施。
3) 不一致の調査の文書化。
4) 原料の取り扱い作業の変更のための変更管理システムの構築/順守。
5) 水の用途に応じた水システムのバリデーション。
6) コンピュータ化工程のバリデーション。

包装表示システム
1) 包装表示作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) コンピュータ化工程のバリデーション。
4) 不正表示につながる包装表示作業。
5) 包装のバリデーション。

設備装置システム
1) 汚物、好ましくない微生物、毒物、他の医薬の汚染または、空中や非清浄な装置など汚染経路が明らかな確かな汚染の可能性
2) 非専用装置のクリーニングバリデーション。専用装置のクリーニングの効果の証明。
3) 不一致の調査の文書化。
4) 装置の変更のための変更管理システムの構築/実行。
5) 装置(コンピュータも含む)の適格性の確認。


製造システム
1) 製造システムの作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) プロセスバリデーション。
4) コンピュータ化工程のバリデーション。
5) バッチ製造記録の不十分や欠落(完全性)。
6) 工程管理、試験、規格の不適合。

試験室システム
1) 試験作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) コンピュータ化または自動工程のバリデーション。
4) 不適切なサンプリング。
5) 分析法のバリデーション。.
6) 分析手順の順守。
7) 適切なOOS手順の順守。
8) 生データの保管。
9) 安定性試験。
10) 安定性計画の順守。


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