競馬

 これまで述べたさいころやルーレットのような単純に確率に依存するギャンブルは、のめりこめばそれだけ損をするようになっており、予知能力のある人か、よほど運のある人にしかお勧めできない。
 しかし、これから述べる競馬(競輪、競艇、そしておそらくパチンコも)などは少し事情が異なる。
 3頭立ての単勝レースを考えてみよう。この場合、これまで述べたさいころやルーレットとは異なり、各馬が勝つ確率は同等ではない。そこでそれぞれの勝つ確率を求めなければ収益を予測することができない。私は競馬はやらないので、確率を算出する手法は分からないが、仮に勝つ確率とオッズを下のように決める。オッズは一応、中央競馬会の取り分を全売上の15%で計算している。
A 勝つ確率:50% オッズ:1.4倍
B 勝つ確率:30% オッズ:2.8倍
C 勝つ確率:20% オッズ:8.0倍
 こういう場合、私の周りの競馬好きな人々は、自分が最も勝つ確率が高いと判断したAの馬に賭けることが多いように思える。これは本当に正しい判断なのだろうか。
 これまで同様に期待収益を計算してみる。Aに100円賭けたとすると、50%の確率で140円になり、50%の確率で0円になる。つまり期待収益は、
(+40円×50%)+(−100円×50%)=−30円
と、なんとマイナスになってしまうのだ。つまり1回の試行では、50%の確率で投資金額の40%の収益を得られることが出来るが、これを10回、100回と繰り返していくと期待される収益はマイナスに収斂していくのである。以下にB,Cについても同様の計算を行なう。
B:(+180円×30%)+(−100円×70%)=−16円
C:(+700円×20%)+(−100円×80%)=+60円
となり、穴馬と思われるCに賭けるのが正しい判断であったことが分かる。どうしてこのようなことになるのだろうか?
 勝つ確率は馬の実力や体調、騎手の実力などによって決まるが、オッズは人々の投資行動によって決まる。競馬の場合、自分が本命と判断した馬に投資する傾向が強いから、本命馬のオッズが下がりすぎるため、このような一見、矛盾したような結果になることが多いのである。
 参考に付け加えておくが、あなたが100万円持っている場合、Cに100万円全てを賭けなさいということではない。そんなことをすればあなたは80%の確率で一文無しになってしまう。上記のようなレースが10レースあれば、資金を小分けにしてCに10回賭けなさいということだ。試行回数を増やせば増やすほど、結果は期待収益に近づいていくのである。
 最後に競輪で生活していた尊敬すべき友人の競馬に対する言葉で印象的なものがあるので紹介したい。ここまで極めれば、何をやっても立派な投資家になるだろう。
「競馬は馬と騎手の両方をチェックしなくてはならない。競輪は人間だけだから、遥かに簡単だ。」

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