破 産 手 続 の あ ら ま し
大
阪 地 方 裁 判 所
大阪地方裁判所堺支部
大阪地方裁判所岸和田支部
1 はじめに
自己破産(じこはさん)の申立てをお考えの方は,以下の説明を最後までよく読んでください。裁判所では,申立てをしたほうがよいかどうかについての相談には応じられません。申し立てるかどうか決めかねる場合や,この説明の内容が十分に理解できない場合には,弁護士会(TEL06-6364-1236)や法律扶助(ふじょ)協会(TEL06-6364-1239)などで相談するのも一つの方法です。
2 自己破産について
A 自己破産とは
自己破産は,債務の支払をすることができなくなった債務者自身が破産の申立てをし,裁判所が破産宣告をすることにより開始される手続です。
自己破産の申立てがあると,裁判所は,まず,債務者が支払のできない状態なのかどうかを調べ,さらに,財産の状態も詳しく調べます。そのために,債務者からいろいろな資料を提出してもらい,裁判所へ出頭していただき,裁判官から事情を尋ねます。その上で,法律の定める要件に合っていれば,破産宣告をすることになります。
破産宣告がされると,債務者に財産がある場合には,原則として,裁判所が選任する破産管財人(はさんかんざいにん)が財産を管理し(債務者は,宣告当時の財産を自由に使用・処分できなくなります。),債務者の財産を強制的に金銭に換え(これを「換価(かんか)」といいます。),その金銭を平等に債権者に配当(はいとう)します。このように,破産管財人が選任される事件を「管財(かんざい)事件」といいます。なお,ここでいう財産には,不動産,保険の解約返戻金(かいやくへんれいきん),退職金,賃借保証金,相続財産なども含まれます。
しかし,債務者の財産が少なく,これを換価しても破産手続の費用にも足りないことが明らかな場合には,破産管財人を選任せずに,破産宣告と同時に破産手続を終了させること(これを「同時廃止(どうじはいし)」といいます。)があります。このような事件を「同時廃止(どうじはいし)事件」といいます。
ところで,破産手続は,破産状態であることを宣告する手続ですから,破産宣告を受けただけでは,残債務を支払わなくてもよくなるわけではありませんので注意して下さい。支払を免(まぬが)れるためには,免責の申立てをして,免責許可決定を受ける必要があります。
B 破産宣告を受けた場合の不利益
破産宣告を受けると,社会生活上,一定の制約を受けます。例えば,株式会社や有限会社の取締役,その他一定の職業(生命保険外務員,警備員等)につけないという資格制限を受けます。この状態は,免責を受けない限り,原則として,10年間続きます。
管財事件では,破産者のすべての財産は,原則として,裁判所が選任する破産管財人が管理し,強制的に換価して,債権者に金銭を配当しますから,破産者は,財産を自由に使用したり,処分したりすることができなくなります。例えば,破産者が加入している保険は全部解約しますし,お勤めの方については,将来の退職金も換価・配当の対象になります。また,居住家屋についても,それが破産者の所有物件であれば,破産管財人が売却しますから,明け渡してもらうことになりますし,賃借物件であれば,賃借保証金が返戻される場合には,管財人が賃貸借契約を解除して,破産者に立ち退いてもらうことがあります。さらに,形式的には他人名義の財産であっても,実質的に破産者自身の財産であれば,換価・配当の対象になりますし,一方,実質的には他人の財産であっても,形式的に破産者名義の財産であれば,換価・配当の対象になることもあります。
また,破産者は,破産手続が終わるまで,裁判所の許可を受けずに転居することができませんし,破産者あての郵便物は,すべて破産管財人が中身を検査することになります。破産管財人の仕事に協力しない破産者は,刑罰を受けたり,身柄を拘束されたり,免責が許可されなかったりすることがあります。
C 「同時廃止」について
同時廃止をすることができるのは,債務者の財産が少なく,これを換価しても破産手続の費用にも足りないことが明らかな場合です。この財産が少ないということについては,債務者自身に書面などで明らかにしていただく必要があります。 同時廃止をすることができるのは,財産中の各資産の価値が,いずれもおおむね20万円未満の場合です。これ以上の財産がある場合には,債務者がその財産を自分で換価して配当するのであれば,同時廃止にすることができます。全財産の価値が100万円程度までの事件では,この方法により同時廃止が認められると考えてよいでしょう。債務者がその財産を自分で換価して債権者に配当する場合には,裁判所から,財産の換価・配当の方法を具体的に指示しますから,それに従って適正に実行していただくことになります。もし,換価・配当すべき財産を自分のために消費するようなことがあると,刑罰の対象になりますし,免責が許可されないこともありますから注意が必要です。
なお,原則として,会社などの法人の破産事件については,同時廃止は認めていません。また,不動産を所有している場合にも,不動産の時価よりも多額の担保権が設定されている場合を除き,同時廃止は認められません。
3 免責の申立てについて
A 免責手続
破産者が法律上支払の責任を免れるための制度として,「免責(めんせき)」の手続があります。
免責を得るためには,破産宣告後,破産手続が終了するまでに(同時廃止の場合には,同時廃止決定確定後1か月以内に),破産者が免責の申立てをする必要があります。大阪地方裁判所(支部を含む。)に対し,同時廃止事件として破産申立てをする場合には,免責の申立てを同時にしてください。
免責の申立てがされた場合,裁判所は,債権者の意見を聴くなどして事情を調べた上で,免責を認めるべきかどうかを審理します。
裁判所が免責を許可し,免責決定が確定すると,破産者が破産宣告前に負っていた債務は,税金などの例外を除いて法律上弁済する責任がなくなります。また,破産宣告によって制限を受けた権利や資格を回復します(これを「復権(ふっけん)」といいます。)。
B 免責不許可事由
ところで,だれでも免責が許可されるわけではありません。例えば,破産の主な原因が浪費やギャンブルである場合,破産申立ての直前に破産状態にあることを隠して借金をしたり,クレジットで商品を購入したりした場合,財産を隠そうとした場合,過去10年以内に破産宣告を受け,免責を許可されたことがある場合などには,免責不許可事由があることになります。
免責不許可事由があり,免責を認めるのが相当でないと裁判所が判断し,免責が許可されなかった場合には,その後も破産者としての制約を受け続けることになるばかりか,破産の原因となった債務の支払は続けなければなりません。
4 「予納金」について
自己破産申立てに際して,破産手続の費用として,あらかじめ裁判所に現金を納めていただく必要があります。これを「予納金」といいます。管財事件の場合には50万円以上,同時廃止事件の場合には1万4170円の予納金が必要です(このほか,郵便切手もあらかじめ納めていただきます。)。
5 おわりに
破産手続は,返済が困難になった債務を清算するための最後の手段です。定期的な収入があり,少しずつでも支払っていくことができる状態であれば,簡易裁判所の特定調停により,経済的な立ち直りを図るという方法も考えられます。この手続についての詳細は,最寄りの簡易裁判所にお問い合わせください。
以上の説明を理解していただき,破産の申立てをすると決められた方は,裁判所に備え置いている申立書類一式をお持ち帰りください。最初にも書いてありますが,
申立書の作成については,ご自分で「破産申立書類の作成について」をよく読んで記載してください。また,添付書類の不足のないように準備してください。
なお,自己破産の申立てをしようとしている方に近づき,資格がないのに,申立書類を作成してあげると称して,法外な報酬を要求する者がいるという情報があります。裁判所に提出する書類の作成を業務とすることのできる者は,弁護士か司法書士に限られますので,ご注意ください。
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以上、大阪地裁・破産部で配布されているリーフレットをそのまま転載しております。 |
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