作業班の仕事
         Work

T.列状間伐と鋸谷式間伐
U.枝打ち
V.森林災害復旧事業
W.その他

列状間伐


列状間伐(れつじょうかんばつ)
平成12年度から16年度にかけて津山市加茂町森林で実施された5ヵ年間伐では、間伐材を丸太にして出荷する「収入間伐」と、間伐材は山に切り置き、残した木の生育を図る「切り捨て間伐」とが行われた。前者については津山市森林組合加茂支所(旧・加茂森林組合)に委託、後者を前田林業作業班が行った。
※平成13年度までは前田林業作業班と合同で、平成14年度から森林組合伐採班単独での作業になる。

収入間伐では、従来の定性間伐ではなく、列状間伐という手法が用いられた。それは植栽列などに沿って列状に伐倒木を選ぶやり方であり、当社山林の場合、2残1伐(2列残して1列伐倒)を基本とした列状間伐であったが、立木の状況、地形、残存木の生育等を検討して適宜3残1伐としたり、伐採列も魚骨状や放射状に切り替えるなど、柔軟な対応がとられた。

次回以降の間伐では、伐倒して空いた列に向けて倒すことが想定されており、最終的には列状間伐の姿は跡形もなくなると考えられている。間伐とは、理想とする森林に至るまでの中途の技術であり、列状間伐というものも主伐に向けた過程としてとらえることができる。

また、素材運搬用のトラックを現場に入れることやスイングヤーダの集材作業が安全に行えることを考慮して、可能な限り幅員3m+αの作業道を開設した。搬出・造材にあたっては、津山市森林組合加茂支所が所有する高性能林業機械を利用することで、作業のより一層の効率化が図られた。




ウィンチ付グラップル
日立GS95LSAEX100


◆津山市森林組合加茂支所の高性能林業機械作業システム
@伐木(チェーンソー)⇒集材(スイングヤーダ)⇒造材・運搬・積込(プロセッサー)⇒運搬(トラック)
A伐木(チェーンソー)⇒集材(ウィンチ付グラップル)⇒造材(プロセッサー)⇒運搬・積込(フォワーダ)⇒運搬(トラック)

プロセッサー
コマツPC128US-1

枝払い・長さの計測・玉切りをこなす高性能林業機械

全幹集材したヒノキの枝を払っては、次々と丸太にしていく




鋸谷式間伐(おがやしきかんばつ)
30年生以下の若齢林や作業道から離れているために搬出できない林分の個体の成長を目的とする切り捨て間伐は、「鋸谷式間伐」を参考にして行った。

鋸谷式間伐とは、福井県の職員である鋸谷茂さんが提唱した間伐法のことで、3つのポイントを挙げることができる。
@形状比(樹高÷胸高直径)に注目し、形状比70の風雪害に強い木を残す。
A残す木が形状比80を越える林分は風雪害に弱く、巻き枯らし間伐を行う。
B植栽木が優位を保ちながら健全に成長できる限度で密度管理を行う。

現在、日本の森林面積2500万ha(国土の67%)のうち人工林面積は1000万ha、その2割にあたる200万haが不成績造林地といわれる。間伐のなされない針葉樹若齢人工林の林内は非常に薄暗くて、林床の植生は極めて乏しく、そのことは土壌構造にマイナスを及ぼしている。ひょろ長い木の集団は、風害や冠雪害を受けやすい。現在の日本の森林・林業の最大の問題は、間伐のもっとも必要な若齢林の放置と、主伐後の林地の放置にある。
鋸谷式間伐はこのような現状を打開する方策のひとつとして、近年注目されている。








U.枝打ち


京都の北山では400年以上の枝打ちの歴史を持ち、その他の地域でも17世紀ころから枝打ちは行われていたというが、その技術レベルはまちまちで、木材生産のためというよりも燃料採取のための枝打ちであったところが多いようである。「枝打ち」という用語自体が「枝を打ち落とす」または「たたき落とす」という粗さのニュアンスを含んだものであることからも、そのことが理解できる。
木材生産のための枝打ちが全国各地で積極的に実施されるようになったのは1970年代の後半からで、背景には外材に国産材が押されて質的向上への関心が高まったことがあった。

前田林業鰍ノおける枝打ちは、昭和40年代半ばに津山市加茂町知和から来た三人組が行ったのが最初である。枝下高は4〜8mを基準とし、その目的は無節材生産であると同時に枯れ枝から入る害虫の防除も兼ねている。実施時期は、冬の生育休止期をはさんで秋期から早春にかけてである。
枝打ち用具は長い間ナタを使用していたが、間伐材にシミが見られたことからあらためて施業技術を見直し、現在は枝打ちノコにより実施、枝の切断位置にも注意を払っている。

※木材のシミ・変色というのは、幹を傷つけられた樹木が菌の侵入に対して出すポリフェノール物質(渋茶のようなもの)の黒い色であり、材の変色自体が木材を劣化させることはない。磨き丸太のように丸太のまま利用する場合は、材の中に変色が起きても問題はないので、残枝長がゼロとなるような枝打ちをする。

枝の付け根部分のふくらみ(枝隆または枝座と呼ぶ)は、残して切断する。ここを切り落とすと幹に傷をつけたことになり、材にシミが入る。









V.台風災害復旧事業


平成16年には過去最高の10個の台風が日本に上陸した。津山市加茂町森林においては、8月末から10月中旬にかけて襲った台風16号、18号、23号による被害が大きかった。台風18号までの台風と秋雨前線により山地の土壌が飽和状態になり緩められたうえに、強風による立木の根の攪乱によって、より一層倒木しやすい状況が生まれていた中で、最後に大型の台風23号が上陸したことが被害を拡大した。

台風23号では岡山県北部で観測史上例がない最大瞬間風速50m/sを超える「広戸風」の吹き返しに遭い、岡山県内でスギやヒノキの人工林5500haが風倒木の被害に遭った。広戸風は岡山県勝田郡那岐山麓で起きる局地風であるが、これほどまでに大規模な広戸風は室戸台風(1934)以来、70年ぶりの出来事といわれる。

岡山県北部では台風23号による山林被害が国の激甚災害指定を受け、県も市町村と協力して上乗せ助成措置を講じ、5年間で4500haを復旧させる目標を掲げた。
これを踏まえ、平成17年度の事業からは森林災害復旧を中心に作業が進められている。大規模な被害地は、高性能林業機械を所有する津山市森林組合加茂支所に風倒木の伐採・搬出作業を委託し、倒木処理が済んだ林地への植栽を前田林業作業班が行っている。








W.その他


  • 山林の現況確認
  • 林道作業道の管理
  • 広葉樹用材林施業(クリ・ケヤキ林)
  • きのこ栽培(しいたけ・なめこ・くりたけ・ひらたけ)
  • 薪割り機の試験利用
  • 造林補助事業に伴う現地調査および申請書類等の作成
  • 支援交付金事業に伴う現地調査および書類等の作成
  • 森林施業計画の立案と作成
  • ホームページの作成と管理・運営







  参考文献/引用文献

  • 鋸谷茂監修、大内正伸著・イラスト 『鋸谷式 新・間伐マニュアル』 全国林業改良普及協会
  • 鋸谷茂・大内正伸共著 『図解 これならできる山づくり〜人工林再生の新しいやり方』 農文協
  • 兵庫県農林水産部農林水産局林務課 「兵庫県森林災害復旧対策委員会報告書〜台風16、18、20、23号被害」
  • 藤森隆郎著 「20世紀におけるわが国の間伐・枝打ちの流れ」 『林業技術 2000.6』所収
  • 藤森隆郎著 『新たな森林管理〜持続可能な社会に向けて』 全国林業改良普及協会
  • 溝口司著 「1セット3〜4名で20〜30立方メートル/日を可能とする列状間伐、津山市森林組合加茂支所の取り組み」 『現代林業2006.1』所収




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