こんな時代になるのでしょうか?

トップSS(2)>ブランドパソコン

作品No.【040】

ブランドパソコン

「ミカ。これ見て」

 そう言って、リカがバッグからパソコンを取り出した。

「あっ。それ、ベルフィスのパソコンじゃない」

「彼氏に貰ったんだ」

 ベルフィスは、イタリアの高級ブランドパソコンメーカーで、細部にこだわる丁寧な作りこみと斬新なデザインが人気である。リカのパソコンは、そのベルフィスの新作で、色も今年流行のライトブルーだった。

「すごいじゃない。まだ、日本じゃあまり持ってる人いないわよ」

「うふふ。あっ、ミカのパソコンも見せてよ」

「いいわよ」

 そう言って、私も自分のパソコンを取り出した。

「え? ユニバルン?」

 以外だったようだ。ユニバルンは、日本のメーカー。信頼できるメーカーではあるが、決して高級ではない。いつもブランド品を持ち歩く私が、ユニバルンを持っていることが信じられない様子。

「たまには、こういうのもいいかと思って…。あっ、そうそう、面白いサイト見つけたんだ」

 そう言いながら、パソコンの電源を入れ、ネットに接続した。

「ここ、ここよ。見て。可愛いでしょう」

「え? このブラウザー。シャミロン?」

 気が付いたようだ。そう、面白いサイトというのは口実で、本当はこのシャミロンのブラウザーソフトを見せたかったのだ。シャミロンのブラウザーソフトは、最高級のブランド。今は、ハードではなくて、ソフトでおしゃれする時代。ユニバルンのパソコンにシャミロンのブラウザー、これが最高のおしゃれ。

「あっ、メールが着たみたい」

 ナイスタイミング。これで、リカにメールソフトも見せることができる。

「それって…。フィッチのメーラーじゃない? すごい…」

 高級ブランドフィッチのメールソフト。シャミロンのブラウザーとの組み合わせのセンスも抜群だと思う。自慢できて最高に気分がいい。
 そのとき、モニターに”ウィルスの侵入を阻止しました”の文字が。

「セキュリティーソフト、スタルスなの?」

 スタルスのセキュリティーソフト。これも自慢の一品。またまた、ナイスタイミング。

「あら、お二人で何なさってるの?」

 いやなやつが来た。ユカだ。絵に描いたような嫌味なお嬢様。

「あら、ミカさん。それシャミロンのブラウザーじゃなくって? わたくしと一緒ですね。ほら」

 ユカはそう言って自分のパソコンを見せた。ゲミソンのパソコンらしいが、知らない形。多分、オーダーメードだ。一応、モニターに目をやる。

「これって…」

 確かにシャミロンのブラウザー。でも…。シャミロンはシャミロンでも、私のとは格が違う。幻と言われる限定モデルだ。本物を目にすることがあるなんて…。

「そうそう。このサイトご覧になったことありまして?」

 と言って、サイトを開く仕草。それってもしや?

「お気づきになりました?」

「その拡張機能は…。世界限定十人だけの。手に入れるためには、小国の国家予算並の金額が必要という…」

 こいつだけには、敵わない。本当、いやな時代になったものだ。



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