「天狗」

奥多摩からバスで少し入った辺りに、川沿いの小さなキャンプ場があります。

その川沿いには、かつて(10年ほど前)、いくつかのキャンプ場が並び、鍾乳洞もあって、
2回目のドラマキャンプにも行ったことがあるのですが、今は、そのキャンプ場だけになっていました。

今回使うことにしたキャンプ場は、当初、一定人数に達したら、デイキャンパーも含めて貸切にしてくれる
という話だったので、良かったと思っていたら、結局、泊まり客だけに限っての貸切になってしまい、
2週間前の下見で、あまりの人数の多さに、少々不安になったりもしました。

キャンプ場のすぐ脇に、小さな橋があり、その橋を渡ると、ずっと細い山道が続き、
その上に、もと、山荘のあった空き地があります。

最近、温泉が出たとかで、そこに大型のトラクターが入っていました。
それでも、この空き地が、ドラマの舞台としてはとても面白いので、この場所を使うことにし、
当日、工事が進んでいないことを祈るというなんとも他力本願な企画でした。

といっても、ここが自然や無料の場所を使う時のポイントで、ある程度、見通しを持ったら
後は、臨機応変に、ということなのです。

そうして、様々な可能性を考えつつも、当日を迎えようとしていたのですが、なんと、直前に台風。
当日は、川の水が増えていて、安全の方が心配になり、今回は、せっかく川のいい所を選んだのに、
川遊びは中止になりました。

そんな中で、当日のキャンプを迎えました。

パパも一緒に参加する世帯は、車での参加になります。

ママと子ども達の世帯は、電車で行きました。

小天狗の予定の高校3年生Aちゃん。奥多摩の駅まで一緒に来ると、「友達と会ってから、合流するから」と、
一緒のバスには乗りません。ホントは、近くの店でアリバイ作りの予定です。

現地では、前の夜の宿泊客が、橋に近い炊事場を占拠していて、これは困ったゾ、という状況になっていました。

それでも、とりあえず、広場での開国式。

全体会で子ども達が作った旗を掲げ、みんなで名付けた「ハートの国」の開国式です。

国王様は、MちゃんのパパのSさんです。王冠を被って、ママが作った原稿を読み上げます。
(と言っても、予想に反して、ちゃんと自分の語り口調で読んでくれました)

Kさんが作ってくれた国家を歌います。ノリのいい可愛い歌です。

引き続き、各大臣から、生活についてのインフォメーション。

それから、みんなでお弁当。続いて川遊びの予定でしたが、川が増水しているので、自由遊びに変更。

この遊びの後半で、橋の上から、小天狗の声がする、という予定だったのですが、先客は帰る気配もありません。

さすがに、心配になって、「これから、ちょっと変わったことをしますけど、気にしないでくださいね」と
お願いしておきます。

さて、子ども達に気づかれないようにそっとキャンプ場までやってきたAちゃん、パパと虫取りをして、
駐車場の方まで上がってきていたMちゃんに気づかれないように、橋の端までやって来ました。

小天狗の衣装と面を用意して、橋の上にやってきます。

その間に、Kさん達は、数人のパパとママとで、橋を渡った登山道の入り口辺りの
今回、舞台にすると決めていた辺りに、仕掛けに行きます。

下では、MさんやOさんを中心に、だるまさんがころんだが始まっていました。

そこへ、「おーい!」という小天狗の声。

ところが、増水した川の音と、間に入ってしまった前の日の宿泊団体の声が邪魔になって、
子ども達の所まで、聞こえてきません。

そこで、Oさんにちょっと耳打ちして、気がついてもらうことにしました。

「あ、ね、みんな、見て!」Oさんに言われて、それぞれが、指さす方を見に来ます。

「あ、何かいる!」
「赤い顔だ!」
女の子たち何人かは、怖がってママたちの後ろから、そっと覗いています。

「天狗だ!」
真っ先に声を上げたのは、Cちゃん。
妖怪にはまっているというCちゃんにとって、赤ら顔の天狗は、お馴染みだったようです。

橋の上の天狗は、おいでおいでと手を振っています。

走り出しそうな男の子達、引き気味の女の子達。

ほっておくと、それぞれがバラバラに動き出してしまいます。

そこで、王様の出番。
Mちゃんのパパが演じる王様は、すかさず子ども達の前に立ちました。
「みんな危ないから、王様より前に出たらだめだよ」Cちゃんのママが言います。

王様が先頭に立って、橋の袂までやってくると、橋の向こう側で、また天狗がおいでおいでと手を振っています。

「やっぱり天狗だ!」「おいでって言ってる」幼児たちはもう夢中です。

「あれって、人間だよね」と、3年生のNちゃんとYちゃん。
子ども達の集団の前で遠慮のない大きな声。

小さな子ども達も「そうなのかな?」という目を向けてきます。

言ってみたい、自分は知っている、2−3年生の子ども達には多い反応です。

そこで、ちょっと意地悪を。
「人間だと思うの?」と私。「うん、人間だよ」Nちゃん。「ふーん、じゃ、一緒に来るの、やめる?」
「えっ?なんで」「だって、見て。小さい子達、みんな、天狗だと思っているんだよ。
あなた達は人間だと思っているんだから、行ってみなくてもいいんじゃない」
「え−、行くよ!」目の色を変えて、行くと言います。

さすがに、了解したようで、その後は、大声で言うのはやめることにしたようでした。

「よし、では、行くぞ」王様に続いて、いつも元気なA君たちが橋を渡っていきます。

橋を渡ると、山へ続く道が上に向かって細く続いています。

「こっちに行った」A君が、天狗が上がっていった方向を指さします。王様と並んで歩いていきます。

ところが、この時、とても迂闊だったことに、Mkちゃんが子どもだけになっていたことに、
気が付きませんでした。

Mkちゃんのママは、生まれたばかりの赤ちゃんの授乳にぶつかってしまい、
パパは、本当はこの時間ではないはずだった後で使う仕掛けにキャンプ場に残ってしまっていたのです。

それなのに、Mkちゃんは天狗が怖くて泣いていたのです。

他のママがケアしてくれたものの、今回は、どの子も、子どもだけにはしないように段取りを作っていただけに、
何とも悔いが残った場面になりました。

幼児の場合、ママやパパが側にいてくれるのといないのとでは、雲泥の差です。
だからこその段取りだったのに、です。

それでも、なんとか山道を登り終えて、少し広い場所に出た子ども達。

心配していた工事も、なんとか邪魔にはならずにすみそうでした。

予定していた方向へ角を曲がっていきます。

すると、突然、バンバンという爆発音。ガザカサという音までします。

「え?」「なに?」と辺りを見ると、木立の上から、何かが落ちてきます。

「どうしよう」「行ってみる?」とみんな、怖々、落下点に近づいて行きます。

何かが落ちてきた辺りにそっと近づいて見ると、そこに、風呂敷の大きな包みがありました。

その風呂敷の上に乗っている巻物を見付けて、開けてみると、それは天狗からの手紙でした。

落合の天狗、と署名の入った巻物には、

「大天狗からの指令。子ども達は、次のことに挑むこと。
見事やり遂げたら、免許皆伝をつかわす。

 一つ  河原の石より、箸の置き所を作るべし。
 二つ  各自、身に纏うものを染めるべし。
 三つ  今宵、明朝、食すものを自らで作るべし。

 明日、昼前、染めし物を纏い、箸の置き所を持参し、再び、ここに参ること」

と、書かれていました。

そうして、風呂敷の中には、頭と手を出すところがついた筒のような白い衣服が置いてありました。

実は、100円均一ショップで買ったTシャツを切ったものなのですが、広げてみれば、
それは、天狗からのいただきものに見えるのです。

「どうする?」
「やる!」と、すぐに声を上げる子ども達もいれば、こっくりと首を振る子ども達もいます。
「どうしようか」と言うようにママの顔を見上げる子ども達もいます。

それでも、天狗からの命令だし、やってみようと、荷物を抱えて引き上げることにしました。

ところがここで、仕掛けをしたパパが山の上にいる姿が子ども達から見えてしまいました。

何しろ、白いシャツを着ていたので、目立ってしまったのです。

「あそこに誰かいるよ」
Mちゃんが「もらったお洋服とおんなじ白だし、きっと、天狗さんだよね」

Cちゃんは、「あの天狗は、真っ赤なお顔で、はだかんぼうで」と、次々と異様な天狗の姿を
イメージの中で膨らませ、帰り道では、その話ばかりしていました。

山から降りてきた子ども達は、まずは、天狗に言われた箸置きと染めにチャレンジすることになりました。

箸置きは、河原で拾ってきた石を水で洗って、油性ペンで自由に絵を描くことにしました。

染めは、Nさんが調べてくれた中で、一番簡単にできる方法として、葉っぱの上に布を置いて、
上から石で叩くというものでした。

どちらも、偶然知っていたことにして、やりたい方からやっていくことにしました。

キャンプ場のあちこちにある木から、葉っぱを取ってきます。

そこに、Tシャツをのせて、上から石で叩きます。白い布の上に、緑色の葉っぱの模様が映し出され、
それぞれに、オリジナルな素敵なシャツが出来上がりました。

それを頭から被り、腰を紐で縛ると、原始人の衣装のようになりました。

箸置きも、それぞれに丁寧に色をつけていったので、どれも、個性的な箸置きができあがりました。

次は、ご飯の支度です。

食事の支度をしようと炊事場に集まってくると、コック姿のママが二人、食事大臣ということで、待っていました。

すると、3年生のNちゃんが何か張り紙がしてあるのをみつけました。

「これ、見て!」そこには、「野菜はいただいた。見付けたら返してやるよ。小天狗」と書いてありました。

そういえば、食事大臣達が野菜が足りないと話していました。

「ボク、探してくる!」こういう時、男の子たちは待っていられません。
あっと言う間に、走っていきました。

それを追うように、女の子たちも走っていきます。

「あった」D君がニコニコしてニンジンを持ってきました。
次々とジャガイモ、ニンジンたまねぎ、そして、何故か目鼻のついたカボチャもありました。

子どもの数と野菜の数はおんなじです。
次々とみつけやすいものが見つかってしまうと、後から探す子ども達はどんどん大変になっていきます。

ちんぷいやぷいぷい(高校生)がさりげなく誘導して、見つからなくてべそをかきかけていた
Sちゃんも、やっと見つかりました。

この日の夕飯は、子ども達はとてもがんばって作りました。

なんといっても、天狗の指令だからです。

我が家の子ども達が小さかった頃は、1才から包丁を、というのが流行っていて、(育児にだって流行があります)
幼児でも、料理経験のある子は、結構いたのですが、今の子ども達は、あまり経験がないようです。

それでも、事前に少し家でやって来た子や、時々、お家でお手伝いしているという子もいて、
そういう子ども達が率先してやっていきます。

包丁の使い方を大臣から聞き、ママと一緒に野菜を切ります。

メニューは豚汁と焼きそばとご飯。

一般にはカレーを作るのでしょうが、カレーの具は、根菜類が多くて、幼児が初める食材には不向きです。
豚汁や焼きそばには、場合によっては、素手で扱える食材もあって、こういう時は、最適です。
しかも、同じものをたくさん切らなくてよく、何種類もの食材を少量づつ使うので、飽きる前に終わってしまいます。

かまどでは、パパたちが、火をおこしています。
こういう時、たいていパパ達に火起こしが回っていきますが、でも、初めてという方もいるのです。
小天狗役の高校生と一緒に火をおこしているのもきっと、面白い体験だったことでしょう。

そろそろ、仕事がなくなって、手が開いてくる頃、「ヤキソバ炒めてみる?」と声をかけます。
最初から最後まで、少しでも関わってみる、料理をしたという実感を持ってもらうための必要条件です。

「熱い!」菜箸を持った手を伸ばしてかきまぜても、顔まで熱くなります。

改めて、がんばっているパパはすごいなぁという顔でパパを見ています。

次は、味見。
味見も料理のうちという口実で、一口ずつヤキソバを食べてみました。
「おいしい」神妙な顔で食べてから、今度は嬉しそうににっこりします。どの子も、おんなじように表情が動きます。

そうやってできあがった夕食をお腹一杯食べました。

たっぷり用意した夕飯をおとなたちがまだ楽しんでいるとき、さっさと食べてしまった子ども達、
双子の女の子の方のSちゃんが、ママたちに声をかけては、「私のお家に遊びに来て」と言っています。

「私のお家に遊びに来てね」Sちゃんの家族は、パパと兄弟のT君とママの四人。
小振りなバンガローを一つ使っていました。

そのバンガローが、Sちゃんのお家なのでしょう。

そこで、お誘いに応えてSちゃんのバンガローを訪問すると、「さ、どうぞお上がりになって」とSちゃん。

ママがお友達を誘うときは、さぞや、という風情で、「スリッパがなくてごめんなさい」と、しなを作らんばかりです。

「はい、では、お邪魔します」そう言って、勧められるままに、窓際に座ろうとすると、
「座布団がなくてごめんなさい。お茶をいれるわね」

ままごとのノリなのでしょうが、その様子は、おとなの仕草のままなのてです。
子ども達は、こうやって模倣から、様々なことを学んでいくのでしょうけれど、Sちゃんにとって、みんなと一緒という
初めてのキャンプで、自分のバンガローがあるという条件で、大きな見立てとごっこ遊びを経験できたのでしょう。
忙しいドラマキャンプの中で、子ども達独自の遊びも、こうやって展開していたようでした。

夜は、お約束のキャンプファイヤー。Mkちゃんのパパが、火の番をしてくれました。

定番のキャンプだホイや団結踊りを踊って、最後は、ファイヤーの残り火でマシュマロを焼いて食べながら、
川岸の花火を見ました。

そうして、おやすみなさい。

夕方、泊まりたいバンガローに走っていって、自分で決めたバンガローに泊まりました。

そして、翌朝。

朝の会で国家を歌ったり、牛乳パックに入れて作ったホットドックを朝ご飯に食べたりと、朝から盛りだくさん。

ご飯の後は、昨日の続きの作業です。

A君は、貫頭着を着て、小石の箸置きを持って、「早く早く、天狗さんに起こられる」とすっかり用意万端。

みんなの準備を待って、もう一度、天狗の待つ山に入っていきます。

パパもママも子どもたちも、全員、貫頭着を着て、手には、石の箸置きをしっかりと握り、
再び、昨日の橋を渡っていきました。

昨日、天狗が怖くて泣いたMKちゃんは、今日も、べそをかいています。
でも、ママは、「大丈夫です」とニコニコしています。

この辺り、ママの感じ方は子どもにも大きく影響しますから、このおおらかさは、
MKちゃんにはとても良かったのでしょう。

さて、この日、山で待っていた落合の大天狗を演じたのは私でした。

今年は、どの子にも、きっちり、親が側にいてあげよう、というのが、今年の方針でした。

目と鼻を隠した天狗の面をつけ、大団扇で口元を隠して、それでも、「石井さん?」という声が
チラチラ聞こえてきます。

「指令はちゃんとやり遂げたか?」大天狗に聞かれると、「はい、やりました!」バラバラと応える声が、
すぐに揃ってきます。

「では、父や母とここまで参るように」

大天狗の言葉に、まず、王様の一家がMZちゃんを真ん中に、パパとママと一緒に近くまで来ました。

「どれどれ、見せてごらん」神妙な顔で緊張気味のMZちゃんに、できるだけ威厳を失わない声で、
やさしく訊ねます。

手にしっかりと握りしめた箸置きを見せてくれました。
「ちゃんと自分でやったのかな?」コクンと首が動きます。

「そうかそうか、それは偉い」大天狗は、小さな巻物を取り出して、「では、これを授けよう」
子どもだけでなく、一緒にがんばったママとパパにも巻物が渡されます。

「ありがとうございました」小さくてもはっきりした声でお礼を言って、王様一家は、下がっていきました。

小学校3年生の二人が入っているNさんファミリーは、パパがこういうことは大の苦手。
ママは、パパにも一緒にやってほしくて、無理を言って誘ってきました。
それでも、ちゃんと貫頭着を着たパパも、大まじめで巻物を受け取ります。

そうして、3年生の二人も、今日は、神妙な顔でいます。

もう、壊してはいけない空気をちゃんと知っています。

そして、妹のMYちゃんにもちゃんと声をかけます。その瞬間、彼女の中で、ちゃんと自分のかんばりが
認められたことが喜びに変わります。

前の日、天狗が怖くて泣いていたMKちゃんは、パパとママの間に挟まれて歩いて来ました。

腰が逃げていたり、泣いていたらどう声をかけようかと思っていたのですが、天狗の前に立ったMKちゃんは、
しっかりと天狗を見返していました。

「食事は自分達で作れたのか」と問われて、コックリと首を動かします。
「その服は、自分で染めたのか、父や母に手伝ってもらわなかったか」きゅっと唇を引き締めて、
うん、とうなずく様子は、昨日泣いていた子とは別の子のようです。

いつも元気いっぱいのCちゃんは、「やったよ、自分でやった」と、天狗の問いかけに、応えます。

「ホラ」と、握った手を開いて、箸置きも見せてくれます。ママがハラハラする物怖じのなさは、
こんな時でも健在です。

「天狗が待っているから」と急いでここまで上がってきたA君。
いつもおちゃらけているニコニコ顔とは全く違う真剣な表情で、気をつけの姿勢で立っています。

かつて、「僕には本の中の子ども達のようなことは起きないのかな」と言った男の子が望んでいた体験を
今、A君は体験しています。

彼の目には、大天狗の姿しか見えていません。

三人兄弟の長男年中のKちゃん、しっかりと現実家の彼の目には、もう、天狗は石井だとわかっています。

でも、遊ぶ時も真面目な彼は、天狗の前で、ちゃんとがんばった自分をアッピールしています。

そうして、子ども達は、天狗に手を振って、山を下りていきました。

子ども達が引き上げたのを確認して、私は天狗の扮装を解いて、知らんぷりして山を下りました。

そういえば、どうして石井がいないのか、子ども達への説明を決めていなかったのです。

そこで、道路まで戻って、自動販売機で缶ドリンクを買い、それから、戻ってきました。
このキャンプ場には、珍しく自販機がないのです。

「どこにいたの?」真っ先に寄ってきて聞いたのは、Sちゃん。

「そろそろバスの時間が気になってね。時間を確認して、ホラ、ついでに、飲み物も買って来ちゃった」

「フーン、大変だったんだよ」「どうしたの?」「天狗に会ったの」
ここで、Sちゃんは、ママから呼ばれて、「じゃあね」と行ってしまいました。

次に会ったのは、3年生のMちゃん。
すれ違いざま、何も言わず、ニヤリと笑ってみせました。

どうやら、「知ってるよ」と言いたいかのようでした。

そこへ、MZちゃんがやってきました。「石井先生、あのね、天狗に会ったんだよ」
MZちゃんは、丁寧にいきさつを説明してくれました。

私が一緒に行けなかったから、教えてあげないと、と思ったようでした。

MZちゃんは、私を「先生」と呼びます。私は、子ども達にも、石井さんと読んでほしいと思っていますが、
彼女は彼女なりに考えて、石井さんと呼ぶのは、やっぱりおかしいと思ったようでした。

私は、彼女の「先生」という定義に私が当てはまっているのなら、それでもいいかなと思っているので、
未だに、彼女の前では私は「先生」です。

「一緒に行けたらよかったのに」とMZちゃんはお話を終えました。

天狗にあって、すっかり満足した子ども達は、また国家を歌って、旗を降ろして、
閉国式を終えて、それぞれ、車やバスで、キャンプ場を後にしました。