「葦牙ジャーナル」56号(2005年2月) 巻頭言
現代の危機
二一世紀のブッシュ・ブレア・小泉の三頭政治は、世紀の「言葉の簒奪者」
として歴史に刻まれることになるだろう。
その簒奪のレトリックの最大のものは、「自由と解放」から本来の意味を奪い、
それを「侵略と殺戮」と同義語としてしまったことである。
イラクで一〇万人を超える市民が殺害され、都市がメチャメチャに破壊され、
自国の兵士たちの一五〇〇人が殺されても、それをも「自由と解放」という言葉で語る
ブッシュの政治は、なお止まるところを知らない。
つい先日も八〇〇億ドル(日本円では約一〇兆円)の戦費追加を行ったが、
これは一日二億ドル以上の追加戦費となり、それだけでもヴェトナム戦争時の一日一億ドルの戦費を上回る。
このため、双子の財政赤字も増大し、ドル危機も加速して、ブッシュ政権が抱える四つのバブル危機(石油バブル・中国投資バブル・不動産バブル・イラク戦争バブル)もさらに深刻化しそうである。
この危機打開のため、ライス新国務長官が名指しした北朝鮮・イラン・キューバ・ジンバブエ・ベラルーシなど「圧制国家」への戦争政策も予断を許さない事態となる可能性が高まるだろう。
一方、わが国の事態も深刻である。国民からはよく見えないところで、民主主義の危機が深く進行している。
たとえば、この二〇〇五年の年明けの十三日、大阪府警は関西生コン労働組合幹部四人を
「強要罪」と「威力業務妨害罪」なる理由で逮捕した。
これらは、生コン労働組合の活動(労働基本権の行使)にたいする弾圧を本質とするものであり
(なぜ彼等なのかということについては、さきの参院選大阪地方区で形成された「辻元ブロック」の中心部隊として活動した辻元清美の七二万票の政治的意義を考えれば想像がつくであろう)、
警視庁が二〇〇二年十一月一日にJR東労組組合員七人の労組活動にたいして「強要罪」なる名目によって逮捕した事件から続いている一連の「市民的自由」にたいする抑圧政治の一環である。
このなかには立川反戦活動家への弾圧、共産党活動家のビラ配布にたいする強制逮捕などがある。
このプロセスは、一連の有事立法プロセスから自衛隊のイラク派兵にかかわる状況と軌を一にして起こっていることであり、文字通り日本の民主主義の危機としての本質をもって進行している。
この危機に沈黙することなかれ。 (武藤 功)