「葦牙ジャーナル」67号(2006年12月) 巻頭言

サクラ満開の秋に思うこと

 2年前の7月に、経団連が武器輸出三原則や宇宙平和利用の見直しを求める提言を出した。
 安倍内閣は「5年以内の憲法改正」と「教育再生」を掲げて発足した。教育基本法を改正すれば憲法も改正せざるを得ない。基本法改正案の三本柱は「競争」、「愛国心」と「公共精神」である。

 以前、経団連が「競争」を教育機関へ導入する必要を主張した(「経団連タイムズ」2004年7月8日)。その後、多くの私立学校が経団連の提言に沿った形で習熟度別の授業を行うことになった(「経団連タイムズ」2006年4月24日)。

 「愛国心」や「公共心」教育論は以前から出ている。例えば、『21世紀への手紙』(曾野綾子著、集英社、1992年、231頁)にはアンケートの話がある。そのアンケートの中に「仮に戦争になったら進んでわが国のために戦うか」という問いに対して「戦う」と答えたのは10%に過ぎなかった。
 中央教育審議会では「教育勅語」が賛美された(「しんぶん赤旗」2001年12月17日、2002年6月4日)というから、基本法改正案の下敷きとなったのは「教育勅語」であろう。
 そのように理解した二人の幼稚園長がいる。大阪市淀川区の塚本幼稚園と住之江区の南港さくら幼稚園では、年長組に「教育勅語」を暗唱させていたことが確認された(7月1日の共同通信)。

 自民党は基本法改正案を国民に訴えるためにタウンミーティングを174回も行ったが、「やらせ質問」をする「サクラ」だらけであった。結局、自民党の教育基本法改正案は新国家事業「21世紀の白骨街道」への第一歩であると考える。

 日本的美意識から言うと美しい国にサクラは不可欠である。しかし、誰にとっての「美しい国」であるかが問題であるのだが……。 (ジグラー・ポール)