自分の娘がピアノを習いたいと言ったとしよう。
何かとお金が掛かって大変だが、近所のピアノ教室に通わせることにした。
そうなると当然、自分の家にもピアノを置きたい。
楽器は、毎日レッスン(予習復習)しないと、なかなか上達しないのだ。
さて、何を買ったらいいのだろう?
グランドピアノか、アップライトのピアノか、電子ピアノか、キーボードか?
ピアニストに聞けば、「少なくともアップライトのピアノを買うべきだ」と言うだろう。
もちろんスペースと環境が許せば、グランドピアノが望ましい。
(そんな家はそうそうないと思うけれど)
同じように子供をピアノ教室に通わせている主婦に聞いても、ピアニストと同じことを
言うかもしれない。あるいは「電子ピアノで十分じゃない? ヘッドフォンも使えるし」と
言うかもしれない。「あら、最近のキーボードはかなり良くなってるわよ。最初はあれで
十分だわ」という意見もあるだろう。
どれが正解かは分からない。
奮発してアップライトのピアノを買ったのに、娘がすぐにピアノ教室をやめてしまい、
リビングの置物に成り下がってしまうかもしれない。(よく花瓶なんか置いてますね)
キーボードを買ったら、娘に「タッチが違いすぎて練習にならない」なんて言われる
かもしれない。
ミシンも同じだ。
2万円のミシンを通販で買って、年に1度か2度、問題なく使えるかもしれない。
2万円ミシンがすぐに故障して、修理に出すのも面倒なので放っておくかもしれない。
定価30万円の刺繍付きコンピュータミシンを買って、数回使っただけで飽きてしまい
ローンだけが残るかもしれない。
「これを買っておけば安心」なんていうミシンは存在しないのだ。
一番重要なことは、「ミシンで何をやりたいか?」「何を縫いたいか?」である。
そこには正解なんてない。単に個人差があるだけだ。
もちろん「特に当てはないが何となくほしい」というケースもあるだろう。
しかしその場合でも、自分が何をやりたいかを想像しておく必要があると思う。
雑巾を作るのか、裾上げをするのか、子供用の小袋を作るのか、親子でお揃いの
ワンピースを作るのか、刺繍入りのクッションを作るのか?
それによって選ぶべきミシンは変わってくる。
つまり、「己を知る」ことがミシン選びの最大のポイントである。
己を知りさえすれば、あとは何とでもなる。
近所のミシン屋さんに相談するもよし、通販サイトにメールで問い合わせるもよし、
オークションで入札競争に参加するもよし。(このあたりの具体的な話は今後)
せっかくミシンを買うのだ。妙に思い詰めず、楽しく選びたい。
何も結婚相手を選ぶわけではない。
何千万円もする住宅でもなければ、何百万円もする自動車でもない。
毎日使う冷蔵庫や洗濯機でもない。たかがミシンなのだ。
給料の何ヶ月分かの指輪をプレゼントしたって、あっさり振られることもある。
奮発して高級フランス料理レストランに行ったのに、まるで失望することもある。
親がどんなに気合を入れてピアノを買ったって、子供がすぐに飽きることもある。
すべてのリスクを回避することは不可能なのだ。予期せぬことは常に起こり得る。
(人はそういった不明確な選択をしながら毎日を生きている)
ま、禅問答ではないのでこの辺でやめておくけれど。
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