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ミシンの選び方に正解はない(3)-どこで買うか?


ミシンに限らず、何かを買うときに一番気になるのは値段だろう。
テレビや洗濯機などの一般的な家電製品は、基本的に値段だけの勝負だ。

しかし、本体価格だけで判断すると間違うケースもある。
その製品を使うために、何らかのコストが発生する場合である。

掃除機のフィルタ、電気シェーバーの替歯、プリンタのインクカートリッジ等々。
冷蔵庫だったら、電気代も重要なファクターになる。
(最近の冷蔵庫の広告を見ると、10年前の冷蔵庫は消費電力が大きいので、
新しいものに買い換えた方が結局安い、なんて書いてある)

つまり、本体価格だけでなく、ランニングコストも考えなければいけない。

ミシンの場合だと、針やボビンを交換する必要がある。もちろん糸も使う。
幸いなことに、これらの消耗品は比較的安い。それほど気にすることはない。
気にしなければならないのは、壊れた場合の修理費である。

もちろん、普通の家電製品でも修理費が発生する可能性はある。
しかし最近の家電製品は滅多に壊れないから、修理費のことなんて考えない
人が多いだろう。僕だって気にしない。

残念ながら、ミシンはしばしば壊れる。
いや、正確に言うと、ほとんどの場合は壊れるわけではない。
糸の掛け方を間違ったり、逆走させてしまうと、言うことを聞かなくなるのだ。

引っ掛かった糸を取ったりするだけで直ってしまうケースも多いが、どこが
どうなっているか素人目には分からないケースもある。その意味では、
ミシンはしばしば専門家に見てもらわないといけない状況になるという
表現が適切かもしれない。(逆に「ミシンは滅多に壊れない」とも言える)

この「しばしば」の頻度は、使い方によって大幅に変わる。
取説を隅々まで読み、注意深くミシンを扱う人なら、トラブルは少ないだろう。
「確かこうよね」とアバウトに扱う人だと、トラブルは増えるかもしれない。

また、ミシンは使わなければ使わないほど調子が悪くなりやすい。
週に一度くらいのペースで動かした方が調子を保てる。(自動車と同じである)
頻繁に使ってさえいれば、調子が悪くなることはないし、油を差す必要もない。
たまにしか使わないと、トラブル発生の可能性が高くなるのだ。

もちろん、毎週欠かさず正しく使っていたのに壊れる場合もある。
逆に、かなりテキトーかつ年に1度しか使わなくても壊れない場合だってある。
そこまでいくと運ツキの問題だが、いずれにせよ専門家に見てもらわなければ
いけない状況になる可能性は、一般的な家電製品より格段に高い。

そう考えると、「どこか安いところで買えばいいや」というわけにもいかない。
本体価格だけでの判断は危険だと言わざるを得ないのだ。

A店はミシン本体は激安だが、修理代が異常なほど高いかもしれない。
B店は決して安くはないけれど、修理代は安く抑えているのかもしれない。
C店は修理なんてメーカに送ればいいや、と考えているかもしれない。
D店は「うちは販売だけで修理はしません」と言うかもしれない。

ミシンは何を買うかではなく、どこで買うかが重要と言われる理由は
このあたりにある。

僕は、「ちょっとくらい高くても、地元のしっかりしたミシン屋さんで買いなさい」
と言うつもりはない。かと言って、「とにかく通販!」と言う気もないし、「やっぱり
オークションで競り落とさないと!」とも思わない。

僕が重視するのは全体のバランスだ。
地元のミシン屋で買うも良し、通販も良し、デパートも良し、オークションも良し。
それぞれのコンディション(本体価格、修理体制、修理価格)で総合的に判断
するしか方法はないと思っている。(おとり訪問販売だけは対象外だが)

本体価格が一番安いのは、大型ミシン販売店や大手手芸店だろうか。
次に家電量販店(○○カメラ)やディスカウントストアが続く。中小ミシン販売店
(街のミシン屋さん)の価格は高めで、メーカ直営店はさらに高い場合が多い。
通販は色々だ。安いところもあるが高いところもある。最近では、ネット通販を
手掛る個人経営の中小ミシン屋で安い店が増えている。

販売価格は常に変動する。とにかく安く買いたいのなら、複数の店で比較する
しか方法はない。何店かの実店舗を訪れ、何店かのネットショップに見積依頼
するくらいの努力は必要だ。

一方、修理費は謎に包まれている。
色々と調査を続けているが、噂ベースの情報しかない。

噂1: メーカの修理部門に頼むと高いらしい。
       (通販や家電量販店で買うとメーカに修理を依頼するケースが多い)

噂2: 同じメーカの修理部門でも、メーカ直営店で買ったお客さんと通販で買った
       お客さんで請求額を変えるらしい。(通販の方が高い)

噂3: ほとんどの修理で数千円しか請求しないミシン屋も存在するらしい。
       (修理費が高いと文句を言われるから安くせざるを得ない)

噂4: 自分の店で買ってくれたお客さんの修理と、単なる持込修理では、同じ
       修理内容でも請求額を変えるミシン屋も存在するらしい。

現在までに分かっている情報だけでは、どこで買ってどこで修理してもらうのが
ベストなのかは判断できない。それぞれ個別のケースで考えるしかないのだ。

ひとつ明らかなことがあるとすれば、本体価格と修理代金は比例しない
いうことだろう。

2万円ミシンの修理代金は3000円で、10万円ミシンだと2万円、ということはない。
どんなに安いミシンでも、修理代金はそれなりの金額になってしまう。
2万円で買ったミシンの修理に、2万円以上かかることも理論上はあり得る。

予算の制約がある以上、2万円ミシンを買うことを僕は否定しない。
しかし、安くてもミシンなのだ。壊れることもあるし、調子が悪くなることもある。
修理に必要なコストは、高いミシンと同じかそれ以上なのである。
(ミシン屋さんに言わせると、安いミシンの方が圧倒的に修理しにくいそうだ)

「ここで買うべきだ」などと決め付けるつもりはまったくない。
ただし「そこで買うとどういうメリットとデメリットがあるか」は考えてほしいと思う。


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