買い食い天国 
掃街天堂
繁華街をシャカシャカ歩いていると、急に歩調が止まってしまう時がある。
つんのめりそうになって前を歩いている人を見ると、何か食べながら歩いていた…なんていうことは珍しくない。
香港は「掃街天堂(買い食い天国)」だ。
深刻な住宅事情もあって、香港人は戸外に生活の場を求める傾向にあるが、娯楽もまた然りである。
香港人にとって街歩きは手軽な娯楽の一つであり、それに伴なって手軽に食べられる小食(スナック)もバラエティに富むものとなった…と考えるのはこじつけか?
小食はかつて非合法の引き売り屋台で売られていることが多かったが、政府の陰謀(!)によって駆逐されてしまい、最近は絶滅の危機に瀕している。
その代わり、これらの屋台で売られていた小食類を集結させた店が繁華街のそこかしこに出現した。
くだんの店を覗いてみると、狭いながらもいろいろ並べられている。
しかも品数の多さはハンパではなく、"junk food"という定義に収まらないと思われるほど、素材や調理方法も多岐に渡っている。
たくさんの食べ物を目の前にすると、やたら胸が高鳴ってしまう私たち。
あれこれ目移りしすぎて結局いつも同じ食べ物を買ってしまい、実食したものは数種類にすぎないことが判明した。
そのうえ名前を知らないものが多すぎるので、これから少しずつ実食&名前調べをしていこうと思う。


   

雞蛋仔

タコ焼きの型のような鉄板に生地を流し込んで焼いたお菓子で、ピンポン玉がつながっているような形(上写真・左上)。
中は空洞なので軽い食感。
ほんのり甘く、卵の素朴な香りがする。
焼いてから少し時間を置くとカリカリ度が増して美味なのだが、完全に冷めてしまうとマズくなるので要注意。

格仔餠
鷄蛋仔と並べて売られていることが多い(上写真・左上)。
ワッフルのような焼菓子に、マーガリンと甘いピーナツクリームを塗って二つ折りにして渡される。
グラニュー糖がジャリジャリするのだが、なかなかどうして美味なのだ。

臭豆腐
約6㎝の立方体の豆腐に怪しいタレを塗りつけて揚げたもの(上写真・右)。
揚げると死ぬほど強烈な悪臭を放つので、匂いを辿って行けば簡単に見つけられる。
口に入れるまでは大変な試練なのだが、一旦口に入れてしまえば外はカリカリ、中はアツアツの美味なる揚げ豆腐。
甘いタレと辛いタレの2種類が用意されているが、個人的には甘いタレの方が好き。
てっきり発酵させた豆腐を揚げたものだと思っていたが、先日店先で怪しいタレを塗りつけているのを目撃してしまったため、製造工程は不明。
ある日テレビで見たのだが、この臭豆腐、浙江省は紹興の名物で、とある植物の茎と塩を合わせて発酵させた液体を豆腐に塗りつけて揚げていた。
香港の製法は本家本元に則っていると考えていいのだろうか?
   

魷魚鬆
イカのゲソを唐揚げにしたものに、塩コショウをふりかけたもの。
塩コショウと一緒に化学調味料もふりかけられている。
揚げたてのサクサク感が○。

蘿蔔糕
飲茶でおなじみの大根モチだが、こちらの方は具が少なく油ギトギト。
やっぱり飲茶の時に食べる方がいい。

鮮果汁
絞りたてジュースを500㏄入りペットボトルに詰めて、氷水をはったスチロールの箱に立てて冷やしている。
冷やしてあると言っても結構ぬるい。
西瓜汁(スイカジュース)、蜜瓜汁(メロンジュース)、橙汁(オレンジジュース)などがあるが、ぬるくても飲めるのは橙汁。
【2002年5月】


魚蛋
魚のツミレをカレー味のスープの中でゆでたもの(下写真・右端)。
6個ぐらいを器用に串に刺して渡してくれる。
カマボコのカレー煮という感じ。

串燒雞柳/雞肉串
皮なし鶏肉の串焼き(上写真・左)。
「タレつけるよ~」とオジサンに言われたので、いい加減な返事をしたら、これが激辛のタレだった。
辛いという話は聞いていたが、ハンパな辛さではないのだ!
たまりかねて近くのコンビニに駆け込んで水を買ってしまった。
タレは、沙爹醤(サテーソース)、小辣醤(サテーベースの中辛ソース)、大辣醤(サテーベースの大辛ソース)の大抵3種類。

XO醤炒螺
自称ホラ貝(思うにツブ貝)のワタを取り除いてXOソースで味付けしたもの。
XOソースもいい加減なもので、風味も何もない。
紙コップに山盛り入れてくれるのだが、何しろ山盛りなので途中で飽きる。
貝の鮮度に大いに疑問があったのだが、実際はケロリとしていたので大丈夫らしい。
ウマくもなくマズくもない。


炸大腸
豚の大腸の揚げもの(上写真・中左)。
大腸の中に更に大腸の細切れ(?)を詰めて輪切りにして串に刺して揚げてある。
オレンジ色の見た目も、ウニャウニャした食感もグロテスク。
揚げ油のギトギト感との相乗効果で、食べると鳥肌立つこと必至のかなりディープな食べ物。
【2002年8月】


干蒸燒賣
シュウマイを串に刺して蒸したもので、「燒賣」で通じる(下写真・中右)。
飲茶でおなじみシュウマイに似せて皮だけは黄色に着色してあるが、具は肉の影も形もなく、小麦粉の団子を食べているという感じ。
見かけ倒しの食べ物は日本でこそ珍しくはないが、香港でこれだけ見かけ倒しの食べ物も珍しい…やけに感動してしまう代物。
醤油をつけると小麦粉のモサモサ感が気にならなくなる。

龍蝦丸
自称イセエビ団子だが、実際はつなぎばかりのすり身団子を串に刺して揚げたもの。
白い団子にところどころ朱色で着色してイセエビらしさを演出しようとしているところが泣かせてくれる。

煙肉腸
串焼の店で雞肉串(皮なし鶏肉の串焼き)や牛肉串(牛肉の串焼き)などと一緒に売られている。
魚肉ソーセージにベーコンを巻いて一口サイズに切り、串に刺して焼いたもの。
焼いているうちにベーコンの脂が適度に落ちて、なかなかウマイ。
仕上げにサテーソース味のタレをつけてくれるのだが、曖昧な返事をするとこれも激辛のタレをつけられてしまうので要注意。
タレがなくても十分ウマイ。

腸粉
米粉の蒸しクレープ。
オフィスでの朝食用だろう、通勤途中の人が立ち止まって買っている。
注文すると3㎝ぐらいの長さに切り、上から甘味噌と白ゴマのタレをかけ、仕上げに白ゴマをふりかけてくれる。
もう少し弾力があったら言うことないのだが、何しろアツアツだし、これはこれで結構ウマイ。

炒麵
醤油味の焼きそばで、「炒麵」で通じる。
これも朝食用らしい。
具はハムと野菜の細切りだが、具が圧倒的に少ないのはご愛嬌、ジャンクな味わいなのになぜか夢中になってしまう。
…それにしても、量多すぎ。
【2002年9月】

煎釀三寶
野菜やソーセージなどに魚のすり身をなすりつけて、油で焼いたもの。
文字通り解釈すれば、油で焼いたものになるはずなのだが、実際は揚げてあるようだ。
矮瓜(ナス)、青椒(シシトウ)、燈籠椒(パプリカ)、香腸(ソーセージ)、豆腐などにつなぎタップリのすり身が申し訳程度にひっついていて、食べるときにペロリとはがれてしまうのが何とも情けない。
5つでHK$5と結構安いのだが、正直言って5つもいらん。
【2002年12月】


韮菜餠
チヂミの出来そこないのような代物。
小麦粉を溶いた中に、ニラと極小の干しエビを入れて焼いたもの。
注文すると、四つ折りにして紙袋の中に入れて渡される。
味は可もなく不可もなく、もっと焦げ目がつくほどカリッと焼いてあったら言うことなし。
【2003年2月】

Mango Pudding
巷では静かなブーム(?)となっている半島酒店のマンゴープリン。
持ち帰って食べたので、これも買い食いとしよう。
定価HK$20だが、今回はホテル創業75周年を記念して25%引きのHK$15であった。
少々固いのが気になるが、果肉がタップリ入っていて、嘉麟樓のものよりずっとレベルが高い。
半島酒店のケーキ類はお世辞にもおいしいとは言えないが、これは例外。


炸帶子&炸蟹拑
炸帶子は龍蝦丸同様、つなぎばかりのすり身団子を串に刺して揚げたもので、「帶子」だけで通じる(写真・左)。
ホタテの香りづけがしてあるのが心憎い。
炸蟹拑も、つなぎばかりのすり身団子を串に刺して揚げたもので、「蟹拑」だけで通じる(写真・右)。
カニの爪を飾りにしてホンモノに近づけようとしているところが、何とも微笑ましい。
これにはカニの香りづけがしてあり、炸帶子とは一応別物にしているところが立派。

八爪魚
オレンジ色に着色したタコの足をハサミで切って串に刺したもの。
注文すると、カレー味のスープに泳がせた後、手渡してくれる。
ほんのりカレーの味がして、ただゆでただけのタコよりも愛想がある。
【2003年8月】

燒魚餠
山東街にタイ風味の串焼き屋台を見つけて早速買ってみた。
燒魚餠というタイ風さつま揚げの串焼きは、つなぎばかりと思いきや、魚の食感もあり、ハーブの香りもちゃんとしていたので感心する。
注文すると焼いてくれるので、5分ぐらい待たされるが、タイ風味の串焼きが異彩を放っているのだろうか、人だかりもスゴかった。
Ham曰く「一口食べると小さなタイが口の中に広がるみたい」と詩的な表現。
Kei曰く「タイの社員食堂で食べたのと似てる」と超現実的な表現。
その夜、Keiは上司に怒られる夢を見たらしい。


炸蕃薯
サツマイモの天ぷら。
日本のスーパーのお惣菜コーナーで売られているものと大差ないが、衣は天ぷらよりも幾分サックリ。
違っているのは、この巨大なサイズ。
途方もなく飢えている時のお助けフード間違いなし。

咸水角
飲茶でおなじみの点心。
蘿蔔糕や燒賣など、スナック店で売られている点心がとんでもない代物だったのに対して、これは例外的存在。
具も味も思いのほかウマイ。

豆沙角
咸水角の小豆あんバージョン。
甘さ控え目のあんとカリッとした皮のバランスがなかなかで、これも思いのほかウマイ。
咸水角と一緒に売っていて、よりどり2つでHK$5。

【2003年12月】

軟雪
尖沙咀の時計塔やプロムナード近くに出ている富豪雪の販売者は目にした人も多いのではないだろうか?
看板商品のソフトクリームは冷やした生クリームそのもので、いわゆるソフトクリーム独特の軽い食感がない。
とても重い味なので途中で飽きる…所変われば品変わる。
【2004年2月】

燒雞肉串&燒魷魚串
タイ風味の串焼き屋台にて。
燒雞肉串(写真・上)は皮なしの鶏肉にサテー味の下味をつけて焼いたもので、そのままでもおいしいが、備え付けのタレをつけてもおいしい。
燒魷魚串(写真・下)は甘辛味の下味をつけて焼いたもので、こちらもそのままでもおいしいし、タレをつけてもおいしい。
【2004年7月】

砵仔
『新不了情』という映画で不治の病に冒されたヒロインが最期に食べたいと恋人に訴えた食べ物だが、ストーリーよりも砵仔糕に心を動かされてしまった私たちは何とも浅ましい。
これを売っている店がなかなか見つからず、長年探し求めていた(玄宗皇帝が絶世の美女を探し求めるようなものだ)。
半ば諦めていたところ、廣華街から登打士街へ続く道の小さな店先で偶然見つけた時は狂喜乱舞してしまった(あまりの喜びように店のオネエサンが引いていた)。
小さな陶器の碗に入れて蒸して固めたものを竹串で取り出し、側面に竹串を2本刺して食べるらしい。
「2個ください」と言ったら、「白と黄色の2種類入れとくね」と言われた…ありがとう(その後イソイソとホテルへ持ち帰ったが、部屋には異常にオシャレな皿しかなかったので、仕方なくその皿を使って撮影した)。
食べてみると、ういろうに似ているが、ういろうよりもモチモチしていて甘さも控え目で素朴な味わい。
嬉しさのあまり舞い上がって食べたせいか色のちがいほど味のちがいを感じられなかったのは、味覚オンチゆえか?

牛油粟米
何のことはない、冷凍のトウモロコシを大きな蒸し器で温め、注文すると1人分を別の器に取り分けてマーガリンを小さじ1杯ほど加えて混ぜ、カップに入れたものだ。
トウモロコシは甘味が乏しくて粒も瑞々しさがない…そんなことを期待するのもどうかしているのだが。
「牛油(バター)」とうたっているくせに、マーガリンを使っていて、そして想像どおりマズイ。
無類のトウモロコシ好きのKeiでさえ、途中で「これおいしくない。ポイしてもいい?」と半泣き顔で訴えていた。
【2004年10月】

西米布甸
りえさんからの情報により購入。
銅鑼灣の景隆街にはスナック屋台がいくつかあるが、そのうちの1軒にて。
タピオカ入りの温かいプリンの上に砂糖を焦がしている。
焦がした砂糖独特の風味を求めるのは無理な話だが、甘さ控えめのプリンはなかなかおいしい。
HK$10としてはコストパフォーマンスが高い。
【2005年12月】


---続く---