そしてプテラポゴン・カウデルニも!(2001.3.14.)

バンガイ島にしかいないと言われたこの魚も実際に海の中で見てみたいと長年思っていた魚であった。水族館での展示や飼育鑑賞魚としてお馴染みだが、NHKテレビ「生きもの地球紀行」でも、バンガイ島での産卵・口内保育の興味深い行動が素晴らしい映像で紹介された。「その魚がここにもいるよ〜。私達がいる間に来て一緒に見たら?」と呼んでくれた人がいるのだ。昨年の12月、南オーストラリアのカンガルー島で一緒に潜ってリーフィーとウイーデイ・シードラゴンを見た水中写真家ラリー&デニス・タケット夫妻なのだ。

成田からシンガポールまで7時間、1泊後スラウエシ島のメナドまで3時間半のフライト。更に車でジャングルの道を半島の東側まで1時間半飛ばすと、ココナッツの林に囲まれたクンクンガン・ベイ・リゾートに着く。1991年着工1994年オープンの人里離れた静かでこじんまりしたリゾートだ。米国人2名、インドネシア人1名の投資家が作ったのだそうだ。マネジャーは英国人のケビン、ヴァル夫妻、スタッフは現地人だがみな礼儀正しく気持ちがいい。現地人ダイビング・ガイドも生物に詳しくてなかなかよろしい。ゲストはやはり欧米人が多いらしい。ラリーとデニスは毎年3−4回1ヶ月づつ滞在して水中撮影と写真セミナーを主催している。ここのホームページ http://www.kungkungan.com はデニスの手によるものだ。

そのホームページを開けると「およそ見たいクリッター(妖しげな小動物とでも訳すことが出来ようか)がここで見つからなければ、それは恐らく世界のどこにも存在しないだろう」との一節がある。そう豪語するだけあって海の中は確かに面白い。目の前に16キロほど細長く伸びて横たわるレンベー島とに挟まれた海峡には小島が点在し、その小島の周りや彼我の岸辺にはいくつもの浅瀬があって、そこにクリッター達がわんさと生息しているのだ。プテラポゴン・カウデルニは勿論のこと、ピグミーシーホース、フリソデエビ、イッポンテグリ、ニシキテグリ、ミミックオクトパス、ミナミハナイカなどなど、世のマクロウオッチャーを楽しませて止まないところだ。

そのプテラポゴン・カウデルニは、リゾートからボートで3分程の海峡の真中に浮かぶ小島の陰の浅瀬にいた。水深1メートルのガンガゼの中にひっそりと群れていた。成魚の中に体長1センチ前後の幼魚も混じっている。銀色に輝く身体、くっきりと黒い横縞、腹鰭の目の醒めるようなブルー、そのブルーに散らばったり背鰭や尾鰭や身体の縞まで縁取りする真っ白な水玉模様。なんと美しい魚であろうか!もう1ヶ所では水深5メートルで、ガンガゼの代わりにイソギンチャクの傍らに身を寄せ、それをシェルター代わりにしていた。口内保育で知られるテンジクダイの仲間だが、それが卵の段階だけでなく、アフリカはタンガニーカ湖に棲むカワスズメの仲間ペリソードスのように、稚魚の段階まで口内に咥え外敵から守るのだそうだ。

ビデオも持っていった私としては当然そんな産卵や口内保育の模様などを撮りたかったのだが、初めての訪問で中3日の短期滞在では、ほかにも観察や撮影したい生物がありすぎて、それをじっくり狙う時間が無かったことが唯一悔やまれる。それにしても念願の見たい魚をもう一つ見ることが出来た。その感動のページを1枚加えてくれたのは、とりもなおさず上記のラリー&デニス・タケット夫妻であった。そして私の「借り」がまた一つ増えたのであった。



 

  


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