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おすすめネコ本2

猫の出てくるミステリー・SF
15 表紙15

ネコ

『きまぐれロボット』から
ネコ  

『きまぐれロボット』に収録されているショートショートである。

エス氏はネコと暮らしていた。エス氏はネコを猫可愛がりし、大切にしていた。ある夜「カード星人」がエス氏の家を訪ねた。カード星人の異様な姿に驚いたエス氏は気を失ってしまう。カード星人は動じることがないネコに「ほうぼうの星々をまわり、平和的な星と、そうでない星の区別をするため記録をとっている」と話しかける。「私の姿を見るとたいていの星の住民はわめいて逃げるけど、あなたはそうではない。敬服いたしました」。ネコはいちいち驚くようでは支配者の地位は保てない、と答える。

カード星人は気を失っているエス氏が地球の支配者であると思っていたので、「この倒れている二本足の生き物は?」と尋ねる。するとネコはこう言うのだ。「自分たちのことを人間と呼んでいる、私たちのドレイの役をする生き物よ」と。カード星人はネコに「このような平和な種族(つまりネコ)が支配する星は、いままでに見たことがありません。どうぞ、いつまでも支配つづけるよう、お願いします」と言い残して、地球をあとにする。

だから、その後、地球は宇宙人から攻撃を受けなかった、とは書かれていないが、応対するのが犬だったらどうだろうか。きっとネコのようにはいかなかっただろう。「ご主人」に気を失わせたカード星人に向かって攻撃しただろう。人間に甘えながらも適当に距離をおきながら生きているネコが、地球を救った話とも読める。ネコが平和主義者の所以?である。
(2002.9.1の日記から)
星 新一著
(角川文庫・角川書店刊)
14 表紙14 猫たちの森 

『猫たちの聖夜』の続編。でも、猫の名探偵フランシスは、もうグスタフとは暮らしていない。グスタフの恋人がフランシスを去勢しようとしていることを知って、憤り、彼の名誉のために家を出たのだ。

全回の動物実験に続き、今回は環境問題がテーマである。絶滅の危機にある野生動物(猫族など)を、人間が森に放したのが事件の発端である。森はかつての森ではなかった。野生動物を養う豊かさはとうの昔になくなっていたのだ。生き延びるためには殺戮が起きる。仲間でもイエネコでも容赦しない。

この家出でフランシスははじめて、毎日餌鉢を満たしてもらえない、生を戦い取らなければならない生き物たちの存在を知った……。
アキフ・ピリンチ著
池田香代子訳

(早川書房刊)
1996年12月
13 女彫刻家 女彫刻家

フリーランスのライター・ロズは本を書くため、母と妹殺しの罪で服役中のオリーヴに会いに刑務所を訪ねる。彼女はロウソクで人形を作るので、看守たちから「彫刻家」と呼ばれていた。身長約180センチ、体重165キロをゆうに超えるオリーヴは無表情でグロテスクな存在だった。

彼女の無実を信じたロズは彼女を助けるため奔走する。しだいに彼女の聡明さや妹に対する優しさが浮き彫りになってくる。無実が認められ、はれて刑務所を出た「女彫刻家」の顔はほくそ笑んだ表情になるのだが……一人を騙せば、みんな騙せる!

ところで、猫がどこに出てくるかって? 出てきますよ、3匹も。1匹はロズの飼い猫のミセス・アントロバス、2匹目はシスター・ブリジェットの飼い猫であるみすぼらしいぶちの老猫、3匹目は…自分で探してみてください。
ミネット・ウォルターズ著
成川裕子訳
(東京創元社刊)
1995年
12 表紙12 猫たちの聖夜

ウーン、この本最高! もしかして「猫ミステリー」の最高傑作かもしれない。

猫のフランシスはどこといって取り柄のない男・グスタフとともに新しい住居に引っ越しをする。その地で猫たちの惨殺死体が次々にみつかる。持ち前の冷静さと頭の良さ、哲学的センスで、フランスは連続殺人(猫)犯人(猫)を追いつめていく。

犯人(猫)が犯行に及んだ動機をとうとうと話す場面は圧巻である。考えさせられる。人間の動物実験に使われ仲間が次々と殺されていくのを目撃し、自らも残酷な実験を何度もされた犯人は、人間の意のままにならない「家畜化されない新種」増やすことを決意したのだった……。

犯人がフランシスに言う。「わしらの首をひん曲げるなど、どんな間抜けな人間のガキにもできる。わしらは永遠に無防備のまま、人間に生殺与奪を握られているのだ。しかも最悪なのは、わしらがこの永遠の奴隷状態にまったく気がつかなくなって、慣れきって、それどころかそのほうがよくなったりしていることだ。……」。

犯人に向かってフランシスは「殺されないためでも殺しちゃったらいけないんだ」と叫ぶ。この言葉はまるでガンジーではないか。戦争好きな人間に聞かせてやりたいよ。
アキフ・ピリンチ著
池田香代子訳

(ハヤカワ文庫・早川書房刊)
1997年11月
11 表紙11 敵は海賊・猫たちの饗宴

敵は海賊シリーズの第2弾。黒猫型宇宙人アプロとラテル(人間)は広域宇宙警察の海賊課の刑事である。

今回の敵の武器は人間でもコンピューターでも「猫」に変えてしまうCATシステム。アプロとラテルは果敢に敵に立ち向かっていくが……。

このシリーズを読むのは初めてである。私の硬直化しつつある脳細胞ではついていけない部分もあったが、とにかくアプロの性格がかわいくて憎めなかった。猫にされた人間たちが事件解決後も人間にもどることを拒否し、猫として幸せに暮らしたというエピソードにもほのぼのとしたものを感じた。
神林長平著
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)
1988年1月
10 表紙10 トラ猫ミセス・マーフィ 森で昼寝する猫

知的でキュートなトラ猫・マーフィが活躍するシリーズ第4弾。女性郵便局長・ハリーと飼い猫ミセス・マーフィ、飼い犬タッカーが暮らす小さな町で、またまた事件が起きる。銀行がコンピューターウイルス騒ぎの中、データから大金が消え、“よそものの男”の腐乱死体が見つかったのだ。マーフィーとタッカー、近所のデブ猫・ピュータが事件を解決に導いていく……。

ところで、ミセス・マーフィの夫猫が気になる人のために付け加えると、“元夫”のパディはアイルランド人的な魅力と機知をそなえたハンサムな白黒の猫で、ナンタケットでカモメを追いかけて暮らしているということになっている。

リタ・メイ・ブラウン(スニーキー・パイ・ブラウン)著/茅律子訳
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)

2001年11月
9 表紙9 幸運を招く男 

私立探偵ジョー・シックススミスの相棒はホワイティ。片目に白いアイパッチをつけたような黒猫である。黒人のシックススミスが旋盤工をクビになり、始めた仕事が私立探偵。探偵事務所の机の引き出しがホワイティのくつろげる場所だ。探偵は何か困ったことがあると猫に話しかける。猫も探偵と一緒にパブまで出かけ、お酒を飲んだりもする。ある日、お金になりそうな依頼人が事務所を訪れたが・・・・・・。

猫が主人公でないのに、これほどまでに探偵と行動をともにし、さまざまな場面に登場するミステリーも珍しいのではないかな。
レジナルド・ヒル著
羽田詩津子訳
(ハヤカワミステリ・早川書房)
1996年9月
表紙8 不思議な猫たち  

『魔法の猫』の続編。猫だけでなく、ネコ科のクーガーやトラの話も収められている。アイザック・アシモフの『かわいい子猫ちゃん』も載っている。

私が一番印象に残ったのはジョン・コリアの『多言無用』。主人公は老けすぎてもいず若くもない冴えない男。自分の将来が開け成功するためには、口をきく猫がそばにいればいい、と突然ひらめく。猫を手に入れしゃべらすために男のしたことは、なんとオウムやインコなどしゃべる鳥を猫に食べさせることだった。果たして猫はしゃべるようになったのか・・・・・・。不思議なショートショートである。

パラメ・サージェントの『硝子の檻』は猫の視点でナチス・ドイツを描いた異色作とされている。
ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編/深町眞理子ほか
(扶桑社ミステリー・扶桑社刊)
1999年9月
表紙7 魔法の猫  

猫をテーマにしたSF・ファンタジー・ホラーなどから厳選された17の短編が収められている。あのスティーヴン・キングの『魔性の猫』も登場しているが、猫の執念深さと残忍性ばかりが強調されていて、猫との共生をめざす私としては、あまりおすすめできない。

コードウェイナー・スミスの『鼠と竜のゲーム』とヘンリー・スレッサーの『猫の子』がおすすめかな。前者は賢く、美しく、なにひとつ代償を求めない女猫の「パートナー」が出てくる。主人公はヒトの女より女猫に愛情を抱くようになる。コレットの『牝猫』に通じるものがある。後者は、ママは人間だけどパパは猫だったという青年の話。婚約者にパパ猫をどう紹介しようかと悩むのだが・・・・・・。猫がパパであっても違和感なく読めるんだから不思議だ。

ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編/深町眞理子ほか
(扶桑社ミステリー・扶桑社刊)
1998年2月
表紙6 ふさわしき復讐

ルース・レンデルやP・D・ジェイムズも好きだが、エリザベス・ジョージのミステリーはまた格別。人間らしい優しさが感じられてほっとさせられる。事件の進み具合より、セント・ジェイムズとデボラの愛の行方が私には気になる。

デボラの父・コッターの飼い猫・アラスカと飼い犬・ピーチのコンビが、またいい。このシリーズの探偵役・リンリーとヘレン、バーバラを絡めた人間関係からも目が離せない。
シリーズの『大いなる救い』『罪深き絆』なども読みたくなるはず。
エリザベス・ジョージ著
嵯峨静江訳
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)
1995年3月
表紙5 警視の死角

シリーズが進むにつれ、ロンドン警視庁警視・キンケイドと巡査部長・ジェマとの絆がより深くなってきた。置き手紙も残さず、ただ黙って家を出ていったという設定のキンケイドの先妻が、ついに本書に登場。事件に巻き込まれる。シリーズの最初のころは、家の外で食事をもらっていた猫も、「シド」と名付けられて屋内で暮らしている。
『警視の休暇』『警視の隣人』『警視の秘密』『警視の愛人』なども出ている。
デボラ・クロンビー著
西田佳子訳
(講談社文庫・講談社刊)

1999年1月
表紙4 猫は泥棒を追いかける

元新聞記者・クィラランの飼い猫でシャム猫のココとヤムヤムが事件解決の糸口を毎回人間に示唆するという、ホンマカイナ? というシリーズ。
すでに、ココは「殺しをかぎつけ」「手がかりを読み」「ソファをかじり」「スイッチを入れ」「シェイクスピアを知って」いて、「幽霊と話し」「汽笛を鳴らしたり」して、事件を解決に導いている。
時間つぶしにはもってこいのシリーズである。
リリアン・J・ブラウン著
羽田詩津子訳
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)
1999年12月
表紙3 トラ猫ミセス・マーフィ かくれんぼが好きな猫

リタとともに著者に名を連ねているスニーキー・パイ・ブラウンは、リタの飼い猫らしい。ということは印税が入ってくる? 
本書はこのシリーズの3作目になる。猫の名探偵で、おまけにミセスというところがユニーク。彼女は洞察力は鋭いが、プライドが高いのが少し鼻につく。犬のティー・タッカーとのやりとりもおもしろい。
猫に興味のないひとには、まったくおもしろくないかもしれない。

  
リタ・メイ・ブラウン(スニーキー・パイ・ブラウン)著/茅律子訳
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)

2000年7月
表紙2 猫のミステリー

赤川次郎、都筑道夫、新田次郎など11人のキャッツ・ミステリー。その中でも津井ついのショートショート『猫に卵』がダントツにおもしろい。猫が卵を産んでさも得意げに抱いている・・・・・・なんて発想は、ちょっとだれでもできないでしょ。  
鮎川哲也編著
(河出文庫・河出書房新社刊)

1986年9月
表紙1 夏への扉

本書はミステリーではない。SFである。SFはあまり読んだことがないが、表紙の猫のうなじにひかれて何となく買ってしまった。
でも、これが本当におもしろかった。「ぼく」の飼い猫ピートは、冬になると決まって夏への扉を探しはじめる。ドアのどれかが夏に通じていると信じているから。冷凍睡眠で近未来へタイムトラベルした「ぼく」は、果たしてピートと再び会えるのか・・・・・・。
「(略)世のなべての猫好きにこの本を捧げる」と冒頭にあるとおり、期待を裏切らなかった。
ロバート・A・ハインライン著
福島正実訳
(ハヤカワ文庫・早川書房刊)
1979年5月

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