有田和正先生との出会いが私の教師人生を決めました


先達に学ぶ  学級通信「トゥモロウ」51号(平成11年6月21日発行)より

■ 「先達に学ぶ」ということは、どのような場合でも大切と言われる。こ
 れは、教師の世界でも同様である。
  有田和正氏。筑波大学附属小学校教諭、愛知教育大学教授を歴任
 されて平成11月の3月にご退職された。私にとっては、授業そのもの
 について目を開かさせてくださった大恩人である。

■ 昭和60年。教師になって1年目。氏の名前を知った。実践を多く公
 開されているらしい。著書もたくさん。だから、雲の上にいる人という印
 象だった。

■ 教師になって2年目。わざわざ宮古に講演に来るという。「絶対見逃
 せない。」
  当時江刺に住んでいた私は車で3時間以上かけて、話を聞きにいっ
 た。子どもを見る目の大切さ、子どもの意欲をどう育てるかについて熱
 弁をふるってくださった。それもユーモアたっぷりにである。まさに名講
 演。「自分も何かをしたい」という気持ちにさせられるようなすばらしい
 講演だった。

■ 教師になって3年目。多くの著書を読んでいくうちに、「やはり氏の
 授業をみなければならない。氏が鍛えた子どもたちを見なければなら
 ない。」と感じ、友人と東京の有田学級に参観に出かける。
  2月。夜の新幹線から外を見ると雪であった。
  氏の授業は9時からである。全国的に有名な氏のことである。学校
 では授業できない。参観者が数百名にのぼるからである。だから、当
 日は7時に会場に行った。それでも私たちより早く来ている人が20名
 ほど。
  授業が始まってからは、子どもたちの熱気ある発表ぶりに圧倒され
 っぱなしであった。3年生の社会科。教師が問いを発するたびに、次々
 と自説を主張する。「教師に対しても論争を挑んでいる・・・」そんな感じ
 に映った。
 「どうしたら、あれほど表現力のある子たちが育つのだろう」
 「どうしたら、あれほど調べてくる子たちが育つのだろう」
  感動と疑問が大きく、大きく残った。

■ それから授業で、有田氏を追うことを始めた。
  氏が授業したとおりに資料を使い、同じ問いをする。まずは真似をす
 することから入ったのである。しかし、有田学級のような子どもたちには
 ならない。当然である。下地が違うのだから。
  そこで、子どもたちの実態に応じて自分なりに変化を加えてみた。問
 いもオリジナルのものを加えてきた。
  少しずつではあるが、社会科では楽しい授業ができるようになってき
 た。現在でも、社会科は自分が特に力を入れている教科の一つである。
  
■ 自分がたくさんのことを学ばせてもらったお礼に有田先生に手紙を書
 いたことがあった。
  すると、和紙に毛筆のご返事をいただいた。これには恐縮してしまった。
 超多忙な生活の中から一教師への返信を出していただけるとは・・・。
  後で知ったことであるが、有田先生は一日に十数通は手紙を書いてい
 るとのこと。頭が下がる思いである。

  教師として一つのテーマを持つことです。それも、より具体的なものが
 いいです。たとえば、発問だったら、発問をずっと研究していけばものに
 なります。がんばってください。


  こう書かれていた手紙は、私にとっての宝物になった。

■ 有田先生に学んだことは大きかった。「人から学ぶ」ことの大切さを実
 感できたからである。
  そして、有田先生のお話を初めて聞いた小学校に我が娘を通わせて
いる。これも一つの縁と感じている。


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