★ 授業にトライ

 アンに「2週間ぐらいして、英語がうまくなったら授業ができるかもしれない」
と言われたものの、正直言って2週間で英語が飛躍的にうまくなるわけはな
い。
 英語が下手なまま授業をするしかないのだ。

 そう決めて、4日目に5年生のストーン先生に申し込んだ。
「来週、ずっと1週間授業を見せてください。そして、その中で1回、授業をさせ
てください。」
 ストーン先生は快諾してくれた。
 何をするのかと聞かれたので、即座に「ジャパニーズ・カルチャー」と答えた。
もともとこちらの教科は教える気がなかった。というより、教えることができない。
となると、日本の紹介しかないわけである。
 そのためのネタも日本にいる時にいくつか考えていた。

■習字を教える
■折り紙を教える(学級の子供たちに事前に作らせたものを持ってきた)
■世界地図を使って、日本やアジアの国を教える
■日本のあいさつを教える
■けん玉、こま、竹とんぼ、おはじきなどを紹介する
■簡単な象形文字を教える
■日本の有名なものを紹介する(すし、富士山等、学級の子供たちに書いてもら
 った絵を持ってきた)

 このうち、地図、あいさつ、有名なもの、象形文字を30分の授業の中で扱うこと
に決めた。
 まず最初にすべきことは何か。それは自分の言う英語を考えることである。発問
も含むので考えるのに時間がかかった。
 授業で使う絵や地図などを一緒にストーン先生に見せたら、誤りを1箇所指摘さ
れただけで「OK」と言われた。
 次は発音の練習である。何度も何度も練習していくうちに暗記をしてしまった。

 実際の授業では、子供たちは象形文字に特に興味を持ったようである。
 最初に「木」と書いて、「木はツリーの形をしています(絵をかきながら)。他の漢
字もにています」と例を示した。
 これで子供たちは要領がわかったのか、「山」や「川」でどんどん手をあげてきた。
 一番難しかったのは「耳」。「ブレイン」「ヘッド」「アイ」「ノーズ」といった反応でな
かなか当たらない。少し形をくずして絵を示して、ようやく「イアー」という答えが出て
きた。
 この後から子供たちがいろいろと話しかけてくるようになった。
 親近感が増したからであろう。そして、名前をカタカナで書いてあげたらとても喜ん
でいた。
 やはり授業は見るよりもするほうが楽しい・・・つくづくそう思った。

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