連載 私の教材開発物語 第10回
「番組放送後・エトセトラ」
佐藤 正寿(岩手県・宮古市立高浜小学校)
■ 番組の反響
11月17日にNHK教育で放送された「コマーシャル制作に挑戦」には、多くの反響が
あった。
放送中から「今、見ています」というメールが入り、放送直後からメールと電話が次々
と届いた。数日すると、今度は葉書や手紙が送られてきた。改めてその反響の大きさ
に驚いている。
多くが教師からの反応であった。「何よりも子供たちの表情がすばらしい」「子供たちが
練り上げていく姿が印象的だった」「この番組がきっかけとなってメディアリテラシーの授
業に取り組む学校が増えればいい」といった好意的なものがほとんどであった。
このような感想の他に、本格的な分析を送ってくださった方もいた。本マールマガジン
11月27日掲載の水野恵氏(「佐藤正寿さんの番組に対する感想」)である。私が「地
域のよさ」を日常の研究テーマとしていることに関わり、「追試するには同じような授業
展開にならない可能性があり、そのあたりをフォローする必要がある。」とご批評いただ
いた。
このような批評にはこれから真摯に応えていかなければと思う。
■ 特別の反応
さて、何も反応は教師ばかりではない。
当日は登校日だったが、この番組を見た子供たちからの反応もいくつかあった。
まず本校の6年生。学校全員で番組を見たのであるが、放送直後に担任から6年生全員
分の感想を頂いた。番組を見ながら書いたという。
「宮古を知らない人にも宮古のいい点が伝わったと思う」「すばらしいCMを作っていてすご
い」といった感想の他に、「CM作りはいろいろとすることがあって大変ということが分かった」
「(関わる相手と)粘り強く交渉することが必要と思った」というように番組からの学びを書い
ていた。
また、京都のある小学校でも授業時間に番組を見せ、子供たち全員分の感想を送ってく
ださった。興味を持って見てくれたことが伺える感想ばかりであった。他にも、市内の小学
生から「同じ5年生でもすごいです」といったメールを何通かいただいた。
番組自体は教師と保護者向けのものである。しかしながら、この反応から、子供たちにと
っても十分にその内容を理解できる番組であったこと、そして番組をメディアリテラシーを学
ぶ事例としても活用可能であることがわかった。
一般の方からも、いくつかの声を頂いた。市内在住の74歳の女性。
番組を見て子供たちの奮闘ぶりに、心から大拍手をしたと言う。そして「初めてテレビ番組
を見て、手紙を出す気になった」とも言う。手紙には子供たちのがんばりぶりを応援する内容
と共に、「お世話になった人に感謝してほしい」「自分は戦争があり、皆さんのように目を輝か
せたことはなかった」といったことも書かれていた。
その手紙を子供たちに紹介をした。子供たちは真剣な面持ちで聞いていた。
子供たちから70代までの反応。つくづく「テレビ」というメディアの大きさを感じる。
■ 「教材」の裏にある仕掛け
「地域の自慢CMを作る」・・・この発想自体は珍しいものではないだろう。総合的学習で、実
際に取り組んだ学校も多いのではないか。その点では、どこの学校でも実践可能な題材である。
ただ、その単元での「ねらいの比重」は考えなければいけないと思う。
今回の学習では、「CM作りを経験することを通して、メディアの仕組みを学ぶ」ということがね
らいの中心である。
そのねらいを達成するためには、一回のCM作りでは不十分と当初から考えていた。むしろ、
一回目を作った点からが勝負と考えていた。
二回目のCM作りのために私はいくつかの仕掛けを考えた。
・子供たち相互のCM批評会。ポイントは「初めて見る人にも伝わるか」
・メディアのプロ(この場合はNHK宮古報道室記者)を教室に招いてプロの視点から批評して
もらう。
・反省の視点に沿った再取材
・各チームとも再取材から新しいキーワードを決める
・キーワードをもとにしての再計画
・撮影スキルを高めるポイントの確認
これらの経緯を経ての再撮影であった。実際のテレビ番組では、時間的な制約があって視聴
者にはこれらの点が十分に伝わっていない。これらの面は教師の視点として、何らかの形でフ
ォローしていかなければいけないと考えている。
■ さて、我がクラス
この番組放送後、私の学級では番組を教材とした特別授業をした。
テーマは、「番組編集の秘密を探せ!」。
我が学級での3週間ロケで撮影された映像が、番組でいかに効果的に編集されているか、そ
の秘密を探すものである。
改めて番組を見ながら、その工夫を発見させる。
・自分たちの気持ちに合わせた音楽を使っているので、雰囲気が伝わってくる
・ナレーションによって、自分たちの行動がよく伝わる
・下からのアングルで撮影をしているので、迫力がある
・プリントをズームでアップしている。これだとキーワードに自然に注目するようになる。
ロケしたのは我が学級のみ。日本広しといえども、我が学級でしかできない特別授業である。
贅沢な気持ちで授業を楽しませてもらった。
番組は終わったが、子供たちのメディアリテラシー学習は続く。これからさらに実践を積み重ね
ていこうと思っている。
☆この番組はNHK・民放連共同企画なので、フジテレビ系列でも放送されます。12月29日(土)
早朝の予定です。(現在のところ時間は未定)
また、現在番組のホームページもNHK学校放送のサイトに作成中です。29日前には完成予定
です。
トップにもどる