連載 私の教材開発物語 第15回

                 初めてのインターネット学習

                        佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)
   
■ おすすめ書籍「インターネットで総合学習」全5巻

 今春、「インターネットで総合学習 すぐに役立つ実践アイデア集」全5巻(あ
かね書房)が発刊された。
  これは、インターネットを活用した総合学習の進め方をわかりやすく解説し
た本である。国際理解や環境、福祉など、総合学習の主要テーマ別に授業ア
イデアを豊富に掲載されており、子供たちの学習の手引き書としてすぐに活用
できるものである。もちろん、教師自身の総合の授業プランの構想でも役立つ。
 学校図書館にぜひ常備しておきたいシリーズである。

 昨年度、私はこの本の執筆に携わった。それまで、インターネットを活用し
た授業をそれほど意識していなかった私にとっては、実践および執筆を通じて
多くのことを学ばせてもらった。(ちなみに、本メールマガジンの編集長・蔵満
逸司氏もこの本の執筆者である。)

■    不便な環境を逆手にとる

 この本の執筆依頼を受けた時点で私の勤務校(前任校・宮古市立高浜小学校)
には、「パソコンルーム」はなかった。しかも、インターネットに接続している
のは1台限り。パソコン自体も他に2台しかない。「インターネットで総合学習」
をするには不便な環境であった。(子供たちも本格的なインターネット学習は経
験していない。)
 しかし、時代が進んでいるのに「不便な環境だから」と言って、逃げている
わけにはいかない。執筆依頼を機会に、何とか、この環境の中でもできるイン
ターネット学習ができないかと考えた。
 考えることができたのは次の2点である。

1 「ホームページの検索」よりも「ホームページの見方」に重点を置いたイ
ンターネット学習をする
2 「パソコンルーム」ではないメリットを生かす


 子供たちにとっては、本格的にインターネットを活用する学習は初めてであ
る。そこで、検索の方法を教え、実際に検索させるとなると本校のパソコン環
境からすると非効率的である。そこで、あらかじめ調べるホームページとサイ
トを限定して、ホームページの見方を学ばせる方が子供たちにとっては実りが
ある。それならば学校のパソコンの他に職員の個人パソコンも活用できる。
 また、一般的なパソコンルームは「パソコンのみ」に集中するには便利であ
るが、子供たちが他の道具(百科事典、国語辞典等)を用いて調べたり、画用
紙に書いたりする時には不便である。
 パソコンを調べる道具の一つと考えれば、他の調べる道具がある図書室でイ
ンターネット学習をするのが一番である。わからない言葉をすぐに調べること
ができる。書く活動のときにも広いスペースがあり便利である。これは、逆に
パソコンルームではないメリットではないかと考えた。そこで、図書室でイン
ターネットの学習を進めることにした。

■    単元「調べよう、伝えよう!私たち、ボランティア・
  ネット調査隊」


 今回取り組んだのは、次のような学習である。

1 単元名 「調べよう、伝えよう!私たち、ボランティア・ネット調査隊」
  (5年生対象・全12時間)

2 ねらい
 この単元は、「ボランティア」についてインターネットで調べることを目的と
している。
 「ボランティア」については、子供たちは断片的な知識があるもの具体的、
系統的な知識については少ない。
 そこで、様々なボランティアについて子供たち自らがインターネットを活用
して、調べ活動をするのが本単元のねらいである。幸い、ネット上には数多く
のボランティアに関わるホームページが存在する。その中でもハンディを持つ
人に関わるボランティア活動のホームページを、本単元では有効に活用させて
ボランティアに関わる学びを深めさせたい。

3 学習の流れ
(1)今までの経験から、ハンディを持つ人に関わるボランティアに関する興
味を持つ(1時間)
(2)ボランティアについてのホームページを閲覧し、興味を深める(1時間)
(3)「ボランティア・ネット調査隊」を発足させ、グループで調べたい課題を
決める。(1時間)
 ★点字ブロック探偵団
 ★共用品探偵団
 ★パラリンピック探偵団
 ★盲導犬探偵団
(4)自分たちの課題をホームページで調べ、工夫してまとめる(4時間)
(5)調べた内容を発表し、交流しあう。(1時間)
(6)自分たちにできるハンディキャップに関わるボランティアを実行する計画を立
て、実行する。(3時間)
(7)今回の学習で学んだことを考える(1時間)

■    実際の授業

 この単元では、主として2回にわたりホームページを活用している。

 1回目は全員一斉にいろいろなホームページを閲覧する。手話、共用品、パ
ラリンピック、盲導犬に関するホームページである。教師が事前に選んでおい
たサイトを次々と見せる。これによって、子供たちはボランティアについての
興味を高め、また知識も広げることができた。

 そして2回目がメインの調べ学習である。先の4つの課題を、ホームページ
で調べる。事前にサイトを指定しておいたことにより、教師自身も指導の見通
しを持つことができる。
 しかし、それだけではホームページを活用した調べ学習は不十分である。こ
の時には、次の3つの作戦を考えた。

1 事前に調べる視点の確認を行う
2 調べた内容についてキーワードを作らせる
3 ただ単に調べたことをまとめるだけではなく、ホームページの情報から「発
表のための工夫点」を考えさせる


 1の視点の確認とは、たとえば、点字ブロック探偵団であれば、「点字ブロッ
クはどれくらい役立つか」「点字ブロックを広めるためのボランティアにはどん
なものがあるか」といったことである。
 この視点の確認は重要であった。一つのホームページにも多くのサイトがあ
る。この視点に応じて、必要な情報を子供たちは取捨選択をすることができた。
 キーワードにまとめさせるのは、課題を解決するための方向性を絞り込ませ
ることができた。
 そして、「発表のための工夫点」では次のようなものが出てきた。

★点字ブロック探偵団→実際に町で点字ブロックを調べる。
★共用品探偵団→共用品を集め実物を提示。不便さを劇にする。
★パラリンピック探偵団→選手と同じように100mを走ってみる(目隠しで)。
★盲導犬探偵団→盲導犬を知っている人に電話やメールで尋ねる。

 これらはホームページの情報から、子供たちが触発され考えたものである。

 また、図書室での調べ学習は実に効果的であった。
 ホームページを見る時に、難解語句が出てくる場合がある。図書室であれば、
関連図書や事典ですぐに調べることができる。また、パソコン画面を見ながら
画用紙に書くスペースも十分にある。「逆手にとった効果あり」という感じであ
った。

■ どのような環境であっても

  この学習で、最終的には子供たちは、自分たちにできるボランティアを行う
ことができた。
 子供たちにとって初めてのインターネット学習は、価値があったと思う。
 同時に、インターネット環境が不便であっても、工夫することによって子供
たちにとって意味がある学習が可能である。そう感じた。

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