連載 私の教材開発物語 第18回
キーワードは「町づくり学習」
佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)
■ 素材が豊富だ!
4月。現任校に転勤して、すぐに総合的な学習のチーフとなった。
さっそく年間計画を見る。学区を中心とした地域を対象とした単元が、どの
学年もずらりと並ぶ。「水沢ネィチャーランド」「日高火防祭博士になろう」
「乙女川探検隊」「先人から学ぼう」・・学区の住人でもある私には、「魅力
的な素材を集めたなあ」と初めて見た時に感心をした。地域の祭りも、地域の
川も、そして水沢市の特色である先人(後藤新平、高野長英、斉藤実など)も
素材として一級品である。きっと子供たちも生き生きとして取り組むだろう。
そして、このような素材が豊富な学区に転勤してきたことを幸せに思った。
■ 「点」を「線」にする必要性
1学期、自分が担任をする4年生で総合の実践を行う。同時に他の学年の実
践の様子も知る。それぞれの学年が地域に出掛け、対象から学んでいる。
しかし、本校の総合的な学習に不足なものがあると感じた。
それは、「各学年を貫くキーワード」である。
「地域」はあくまでも素材であり、対象である。各学年に通じるキーワード
がない現状では、それぞれよい学習をしていても、それらが「点」になってし
まうおそれがある。
各学年でバラバラの活動になり、学校としての子供を育てる道筋が見えない
のである。何とかキーワードを見つけ、各学年の学習を「線」にして関連づけ
たい。そう考えた。それも骨太のキーワードである。
しかしながら、1学期中はそのキーワードが見つからなかった。
■ 「町づくり」をキーワードに
そんな中、出会ったキーワードが「町づくり学習」である。これは愛知教育
大学の寺本潔氏が提唱しているものである。町づくりに関する著書もいくつか
出ている。(寺本氏は「まちづくり」ではなく、あえて「町づくり」という用
語にしている。ここでもそれに倣う。)
考えてみれば、1学期の総合の実践は全て町づくりと関わっている。日高火
防祭の実行委員の方は「この町の伝統のあるお祭りを後世に引き継ぐのが自分
の役目」と話されていたし、乙女川に関わる皆さんも 「よりよい町にするた
め」と話されていた。
先人の記念館の関係者も、商店街を活性化しようとしている人々も最終的に
は水沢がよりよい町になることを願っている。
さっそく2学期の各学年の年間計画にも目を通す。5年生の「ハッピーボラ
ンティア大作戦」であれば、自分たちができるボランティアで町づくりの一端
を担うことができるであろう。6年生の「世界に目を向けて」であればドイツ
の姉妹都市の様子を詳しく調べ、交流に一役買うこともできるかもしれない。
どの単元でも「町づくり」をキーワードにすることは可能である。
■ 総合だけではない
考えてみれば、この「町づくり」というキーワード、総合だけではなくいろ
いろな教科にも通じるものがある。
地域を対象とすることが多い生活科はもちろん、中学年社会科は地域の学習
が多い。
(私の担任する4年生では次の時間に「町の昔調べ」を行う予定である。)図
工で地域の風景を写生することもあるし、理科では地域の自然に触れる。特別
活動で地域の太鼓や踊りを学習することもある。いろいろな学習が「町」と関
わっているし、さらに実に多くの「町の人々」も総合を含めたそれらの学習に
関わっている。
■ 「町づくり」をキーワードにする意味
本校で行っている地域に関わる学習活動は、多くの学校でも行われているも
のであろう。
それを「町づくり」というキーワードで括ると、様々なよさが出てくると考
えている。たとえば次のようなことである。
・子供たちの学習のゴールの道筋が明確になる。単に調べて終わりではなく、
自分たちなりの町づくりへの提案が出てくる。
・各学年の学習に町づくりを核として関連性を持たせることができる。
・町づくりに関わる地域の人々に直接会う機会が増える。
・子供たちが地域により愛着を持ち、「町はふるさと」という意識が高まる。
これから実践の段階であるが、先のようなことを期待している。
先進校に学びながらのこれからの実践、私自身が楽しみにしている。具体的
な実践については今度報告したい。
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