連載 私の教材開発物語 第23回
「地図帳活用技能を伸ばすために」
佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)
■ 地図帳技能をよく見てみると・・・
本メールマガジン1013回(2002年11月17日)に「地図帳は〇〇」とい
う題で、地図帳活用について書いた。4年生の子どもたちに、地図帳の有
用性について感じ取らせる授業についてレポートしたものである。
それから3ヶ月。教科書の内容も「県の様子」に入り、地図帳を学習で活用
する機会も増えた。4月には新品だった地図帳が、活用回数に比例して汚れ
ていき、履歴の印もどんどん増えていった。もちろん喜ばしいことである。(以
前、6年生を担任した時にあまりにも新しい地図帳を子どもたちが持ってい
て驚いたことがあった。当然、地図活用の力も低かった。)
しかし、そのような子どもたちでもこちらが歯がゆくなることがあった。
・地名を索引で探すものの時間がかかる
・市と町と村の区別がつかない
・高速道路・新幹線・JR線・国道の区別がつかない
・四方位が瞬時に言えない・・・・等
むろん自分の指導の結果である。「地図帳に触れる時間が長ければ長いほ
ど活用の力はつく」と思っているものの、それだけでは不足である。「意図的な
指導を繰り返し行う」という文言を加えなければいけないと感じた。
■ トピック的な指導後も意図的な指導を繰り返す
地図記号については、地図帳を初めて使う時にトピック的に一通り教えた。
たとえば、市と町と村の違いはもちろん、市の人口別の記号の違い、都道府県
庁所在地の記号も教えている。
しかし、何度も使ってこそ子どもたちは覚えていく。たとえば、釜石を探させた
後、「『釜石』は市ですか、町ですか、村ですか」と問う。さらにその後、町の記
号や村の記号、市の人口別の記号を確認するというように、「意図的に記号を
覚えさせる」という指導が必要なのである。
何度も何度も繰り返すうちに子どもたちの反応が早くなってくる。子どもたち
も自信を持つ。それは地図帳への興味につながる。今まで見えなかったもの
が見えてくるからである。
現状の授業時間を考えれば、「地図帳の指導」というトピック的に扱う授業の
時数は限られている。いかに日常の授業で教師が意図的に指導していくかが
ポイントとなると思う。
■ 活用が継続する仕組みを作る
そのような意図的な指導も継続性がなければ意味がない。
私自身の今までの経験から、最初は意気込んで続けるものの、そのうちその
指導が途切れてしまうという失敗が何度もあった。また、他教科で子どもたち
に地名を引かせたい時に社会科の授業がその日になく、調べることができな
いということもあった。
そこで3学期から朝の会で次のような取り組みをしている。
・教師が新聞やテレビ(ビデオ録画)を使いニュースを紹介する
・同時にそのニュースの地名を必ず地図帳で調べさせる
・関連した地図に関わるクイズ(「記号」や「その県や国に関すること」等何で
も)を行う
時間にして3分ほど。「子どもたちが新聞を読むにようになってほしい」「ニ
ュースに興味を示してほしい」という願いもあるが、一番は「地図帳で調べる
ことが当たり前になってほしい」ということである。
そのために地図帳は机の脇にかけてある袋に入れている。社会科の授業
があってもなくても、すぐに取り出すことができる。その袋には国語辞典を1学
期から入れており、国語の授業だけではなくいろいろな学習で頻繁に使って
きた。それと同様に、子どもたちにとっては地図帳も「調べる」ものから「引く」
ものに変わったようである。
■ 地図活用の定番授業「岩手県一周旅行日記」
私が4年生を担任した時に行っている実践に「岩手県一周旅行日記」(もち
ろん地図帳上だが)がある。次のような指示で行う。(ワークシートを活用)
1 今日は旅行をします。地図の旅行です。岩手県一周旅行です。その旅行
日記を書 きましょう。書き方は、日記です。出発地はみんなの住んでいる
水沢です。まず地図を見て、「水沢から北へ〇km、〇〇市につきました。
ここでは〇〇が見えます。」というように書きます。
方角、距離、特色を書きます。最初にここまで書いてみましょう。(最初に
書いたものを発表させる)
2 では続きを書きます。見えたものだけではなく、聞こえる音、匂いもぜひ
書いてください。絵にしてもいいです。(何人か発表させる。他の子どもたち
は地図帳を見ながら聞く。)
3 何か所か行きましたね。ここで食事にしましょう。メニューは君たちが作り
ます。「岩手県スペシャルランチ」です。岩手県の特産品で作ります。「前沢
牛のステーキ」というように特産地がわかるように書きます。絵にしてみまし
ょう。
4 あと5分ぐらいで水沢に戻ります。1ヶ所だけどこかに寄って帰りましょう。
そして、最後に旅行の感想を書いておわりです。
今まで子どもたちが身につけた地図活用技能がフル回転される設定となって
いる。今年度の実施予定は3月上旬。それまで子どもたちの力を最大限伸ば
したいと考えている。
トップに戻る