連載 私の教材開発物語 第25回

    「都道府県名はどのように教える?」

          佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)


■ とある数字


 今年度は5年生担任となった。

 新年度の準備をしている春休みに、地図関連の小冊子が送られてきた。「何
か面白い情報があるかな」とパラパラめくると、ある数字が目に飛び込んでき
た。
・4年生・・・13.6県
・5年生・・・20.0県
・6年生・・・19.2県
 これはある教科書会社が行った県名認知度の調査での「平均県名獲得数」
である。調査の方法は簡単である。日本の白地図の各都道府県に1〜47の
番号をふり、都道府県名を書き込むものである。サンプル数は約12,000
人である。
 この数字を「これしか覚えていないのか」と思う人もいるだろうし、「予想
以上に高い」と思う人もいるだろう。私もがぜん興味を示した。そして、新し
く担任する5年生にも行ってみようと考えた。(それにしても6年生が5年生
より低いのはおもしろい。地図帳の使用頻度が違うからというのも理由の一つ
であろう。)

■ 「全然できなくてショックでした」

 同じような方法で、5年生になって2回目の社会の授業で調査を行った。北
から順に書いていった子どもたちであったが、ものの3分もしないうちに鉛筆
が止まってしまう子が続出した。どんどん書き進めていく子はごくわずか。
 5年生の最初であるから、実質的には4年生での結果と考えてよい。我が学
級は全国平均より低かった。北海道、岩手、沖縄はほとんどの子があっていた
が、その他は東北各地と東京、千葉等の正解者が多かっただけである。
中国地方・四国地方・九州地方はほぼ全滅。
 この結果は、私自身より子どもたちがショックを受けたみたいで、「ぜんぜ
んわかりませんでした。もっと県のことについて調べたい」「かけなくてくや
しかった。今度はもっと覚えておきたい」という感想が続出した。
 無目的に都道府県名を詰め込み方式で覚えさせる必要はないと思うが、「都
道府県名を覚ええなくてもよい」と考えている人はいないであろう。6年生の
歴史学習、そして中学校の社会科学習においても、都道府県名や特徴を覚えて
おいた方が学習効率がいいのは当然である。「今年度は本格的に都道府県名を
覚えるために、新たに教材開発をしていこう」と決意をした。
 なお、私自身は大人の県名認知度も調べるとおもしろいと思う。日本人全体
の素養がどれくらいなのか、興味のあるところである。

■ すぐにしたこと

 思ったら即実行である。
 まず教室の壁に日本地図を貼った。同時に世界地図も貼り、地球儀も持ち込
んだ。貼っておくだけで子どもたちは興味を示す。地図帳は毎日持参。機会が
あるごとに調べさせるようにする。朝の会では大きなニュースを伝え、その場
所を日本地図で教えるようにした。
 また、調査で行ったのと同じプリントを大量に印刷をした。月に一回程度、
定期的に調査を行い、子どもたちに自分の伸びぐあいを自覚させるようにし
た。
 日常生活の中で都道府県地図が当たり前になってくると、子どもたちも家庭
学習の中で、地図の学習をする子が増えてきた。子どもたちの興味が少しずつ
広がってきているのがわかった。

■ ゲームで覚える

 学習ゲームの一つとして、次のようなゲームも行いたいと考えている。

【都道府県3クエスチョンズゲーム】

□ゲームのやり方
 (1) 教師が画用紙に答えとなる都道府県名を事前に書いておく。
 (2) 子供たちが答えの都道府県に関わる質問を3つする。
 (3) 教師が質問に一つずつ答え、それを手がかりに子供はその都道府県を予
  想して発表する。
 (4) 教師が答えを発表する。(以上を3問〜5問程度繰り返す)

□ゲームの実際(以前5年生を担任した時の記録)
『では一問目です。質問をどうぞ』
「それは何地方にありますか」
『中部地方です』
 子供たちの目が一斉に中部地方に集中する。これで9つに絞られる。
「その県は、大きいですか。小さいですか」
『大きいです』
 この質問で、今度は県の面積や形に注目する。「新潟かな」「長野かな」と
いったつぶやきも聞こえる。そして最後の質問。
「何で有名ですか」
『りんごです』
「わかった!」という声も出れば、すぐに細かい県の地図からりんごの絵記号
を探す子もいる。
『答えはどこですか』
 多数挙手する。一人の子を指名する。
「長野県です」(大多数が「同じです!」)
『正解はこれです!』
と言って、あらかじめ「長野県」と書いておいた画用紙を黒板に貼り付ける。
「ワー!」という歓声が子供たちからあがった。


 このゲームのよさは都道府県名を地方や地形、特徴と関連づけて覚えること
ができる点にある。やり方を覚えればペアでもできる。休み時間に行う子もい
たほどである。また、都道府県だけではなく、世界各国3クエスチョンズゲー
ムとしてもできる。

■ 低学年のうちから地図に慣れていれば・・・

 認知度の低かった我が学級において、唯一40都道府県を越えた子がいた。
その秘訣を聞いてみたら、「幼稚園の頃にクリスマスプレゼントでサンタさん
からもらった地図の本が好きで、1・2年生でもよく読んでいたから」とのこ
とであった。その地図の本がどのようなものかは知らないものの、きっと日本
の都道府県名が書いていたのは確かであろう。
 そして、4年生になり正式に地図帳を使うことによって、知識が確かなもの
となったのではないかと推測される。そう考えると、低学年で日本の都道府県
に興味を持たせることがいかに大切かということがわかる。自分が低学年の
担任になったら、朝の会で何らかの実践をしてみたいと思う。

 読者の皆さんは、どのようにして都道府県名を覚えさせる指導をしています
か?実践をお寄せいただければ嬉しいです。


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