連載 私の教材開発物語 第27回

               「国旗を知り、国旗を作ろう」

         佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)


■ アメリカ合衆国の小学校の風景

 10年前、アメリカ合衆国の小学校で1ヶ月、研修をする機会があった。北
西部にあるオレゴン州ポートランド市の小学校である。小学校の授業参観しな
がら、時には私自身も授業を行った。

 その時のことで印象的に残っていることの一つに「国旗」がある。
 どの学級も、教室前方の黒板の上に星条旗が掲げられているのである。ふだ
んは特に意識をすることがない。それぐらい当たり前の風景のようである。
 学級によっては、「では何か歌おうか。まずは国歌を。」と担任の先生が言
って国歌を突然歌ったり(それも誇らしげに)、朝毎日、胸に手をあて国旗に
向かって「誓いの言葉」を言ったりしていた。
 「この点は違うなあ」「『国旗の理解』が日常的にされているんだなあ」と
感じたものであった。

■ 国旗について知ろう

 その時から7年。総合的な学習で国際理解の学習をするようになった。そ
の時に、アメリカ合衆国でのこの一風景がきっかけとなって「国旗の授業」を
したことがあった。対象は4年生である。授業の様子を学級通信で紹介をす
る。

-------------------------以下学級通信より-------------------------

 いろいろな国旗の由来を知ることは、自国の国旗の理解にとっても大切と思
います。いわば国旗への関心を高める授業です。
 1月下旬に英語指導助手の先生が教室を訪れる予定です。このことをきっか
けとして、子どもたちの英会話に対する興味が高まりました。せっかくの機会
なので、子どもたちの外国に対する関心をさらに高めたいと思い、国旗の授業
を計画しました。
 ちょうど、地図帳の一番後ろにいろいろな国旗が掲載されています。それを
もとに授業をしました。

 マドゥさん(英語指導助手)の国、アメリカ合衆国を探しなさい。(すぐに
見つける) 次にアメリカ合衆国の国旗を探しなさい。どんな旗ですか。
 「星がある」「赤い線が入っている」と子供たちはすぐに答えます。子ども
たちにが見たことのある国旗です。
 「星はいくつありますか」と聞くと、一生懸命に数えます。「50だ」「そ
うそう」と言う声も聞こえます。
 「なぜ、星の数は50なのでしょう。」
 「県!」「惜しい」「州だ」と答えが出てきました。
 「50の星は今の50州を示しています。赤色の線は「勇気」を、白色は「
清らかさ」を表しています。」

 こんな感じで、「国の位置の確認」「国旗の確認」「国旗に示されている意
味を考える」というパターンで、次々といろいろな国の学習をしていきます。

 アメリカ合衆国の次は、アルゼンチンです。
 「水色は何を表しているでしょうか?」と聞くと、「青空」と出てきまし
た。正解です。
 今度は、カナダとスリランカの国旗について聞きました。
 「カナダの真ん中にある模様は何でしょう」
 「ひいらぎかな?」
 「これは、『さとうかえで』という葉です。木から甘い液が出てきて、飲む
  ことができます。どうしてこのような模様にしたのでしょう。」
 「カナダにその木が多いから。」
 「そうです。カナダでは、国を開拓した当時、その液を吸って飢えをしのい
  で国を作ったという言い伝えがあるからです。」
 スリランカの動物はいろいろと出てきました。「犬」「シーサー」「こま犬
」「ライオン」等々。これは、国ができた当時の王が「獅子王」と呼ばれたこ
とにちなんでいます。

 これらの例の他にも、ヨーロッパには十字架にちなんだ国旗が多いこと(こ
れは子どもたちがキリスト教に関係あるとすぐにわかりました)、西アジアで
は星が多いこと(砂漠の地方が多く太陽が地獄のような存在)、オーストラリ
アとニュージーランドがイギリスと関係が深いために、イギリスの国旗の一部
が使われていること等、いろいろな国旗の由来について学びました。

 そして、子どもたちに聞きました。
 それぞれの国旗の色や模様には何があると言えますか。
 「いろいろな意味がある」「わけがある」「歴史がある」・・・といった反
応が子どもたちから出てきました。その後書かせた感想からも次のように「新
しいものを学んだ」ということが多く出てきました。
・いろいろな国旗に意味があるんだなと思った。もっとほかに国旗を調べてみ
たいと思った。
・私は、国旗にも意味があることを知りました。色には正義や勇気という意味
がある。すごいなあと思った。
・国旗にもいろいろと意味があるんだなあと思いました。自分で国旗を作って
みたいと思いました。国旗に大切なものを入れていいなあと思った。

                       (以上、学級通信より)

■ 国王になって国旗を作ってみよう

 この授業での感想の特徴は、「もっと調べたい」「その国に行きたい」「国
旗を作りたい」と学習意欲が大きい点であった。
 そこで、翌日次のように言った。

「国旗のことを君たちは勉強しました。
 次は君たちが国王です。(「オー」という声。) 君たちの国旗をつくりま
しょう。作り方は次の通りです。
 1 どこかの国旗をモデルにする
 2 模様や色の意味を考える
 3 国の名前もつける」
 4 B5判の大きさの画用紙にクレヨンで色をぬる」


 子供たちは喜んで取り組んだ。メルヘンチックなものあり、本物の国旗にし
ていいようなものあり、子どもらしいもの(でも、ちゃんと意味がある)あり
となかなかの力作がそろった。

 一人一人発表をした後、さっそく教室に掲示する。といっても壁に掲示をす
るのではない。ひもに一つ一つの作品をつけ、運動会の万国旗のように教室の
端から端へとつるした。教室の風景が一気に国際色が豊かなものになった。そ
の後教室を訪れた英語指導助手の先生が教室に入るなり、「ワンダフル!」と
言ったことが印象的であった。

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