「家庭科情報リテラシーを高める」

        佐藤 正寿(岩手県・宮古市立高浜小学校)
  
                       
★「家庭科も社会科と同じように、いろいろな教材開発ができる教
科だ」・・・昨年度、県の家庭科教育研究大会の授業者になって感
じたことです。今回は、家庭科の中での「家庭科情報リテラシー」
に関わる教材開発についてです。

■消費者教育における家庭科情報リテラシーの必要性

 消費活動に関する情報は、子供たちにとって身近なものである。
 事実、子供たちは日常生活の中で、お菓子、衣料品、玩具類等、
様々な消費活動を行っている。また、そのような消費活動を促進す
るテレビコマーシャル、雑誌等での宣伝も盛んである。
 そんな状況の中で、子供たちに「情報リテラシー(情報を読み解
く力)」が必要と考えた。情報を、自分なりの見方で適切に生活の
中に取り入れ、判断をし、消費活動の意志決定をするようにさせた
いのである。

■何を教材化するか

 方向性が決まれば、次は何を教材にするかである。
 子供と同じ視点を持つために、スーパーに入り、お菓子コーナー
やおもちゃコーナーをのぞく。ふだんはあまり行かないところであ
る。実際にスナック菓子をとってみる。パッケージには実に多くの
情報が書かれている。
 その時にふと思った。「子供たち自身は、このようなパッケージ
の情報を見ているのかな・・・」と。もし、情報を見ている子が少
ないのであれば子供たちの視野を広めることができるのではないか。
 さっそく、実態調査である。(5年生)
 子供たちに、「あなたは、パッケージをよく見てから商品を買い
ますか」と聞く。3割ほどの子が「そうだ」という反応。残りは、
「あまり見ない」ということであった。
 むろん商品にもよるであろう。高価なおもちゃなどは一生懸命に
読むに違いない。でも、日常の中ではパッケージにはそれほど注目
をしていないということは事実のようである。
 そこで、商品のパッケージに着目させ、情報リテラシーを高めさ
せようと考えた。

■ 実践例「発見!パッケージの秘密」

 実際に行った1時間の授業を紹介する。

 教室にズラリと並んだ商品のパッケージ。お菓子の袋、カレー粉
の箱、空き缶等々。子供たちが家庭から持ってきたものである。
 それらを最初に紹介をする。「あっ、それ食べたことがある」
「へえ〜、そんな物もあるんだ」と子供たちは興味深そうにパッケ
ージを見つめる。
 そこで、子供たちに言う。

 いろいろな商品のパッケージを見て、わかったこと、思ったこと
を書き、発表しなさい。

 さっそく、実際にパッケージを手にして分析する子供たち。次の
ようなことに気付いた。

★わかったこと、気付いたこと
・中に入っているものが書いてある  ・保存方法がある  
・注意書き(してはいけないこと)が書いてある 
・作り方がくわしく書いてある  ・一口メモもある  
・メーカーがわかる ・栄養やカロリーがわかる 
・賞味期限が書かれている  ・量がわかる  ・原料がわかる 
・どこの国から来たものかわかる 
・おまけのプレゼントを書いている  
・お客さま相談室の番号が書いてある  
・ホームページや会社の住所が書かれている  
・調理例がある・・・・等

★思ったこと
・栄養のことが書かれているのは、食べる人のことを考えているん
 だと思った。
・消費期限が書かれているのは大事なことと思った。
・実際にものの写真があると、その中身がよくわかる。
・いいことをたくさん書くと買ってもらえる可能性が高いのでは。

 たくさん出たところで、子供たちに「これらの情報がもしパッケ
ージになかったら、どんなことが困りますか」と聞く。
 「商品の苦情が言えない」「作り方がわからなくて困る」「いつ
まで大丈夫な食べ物か分からない」等、これまた多くの反応が出て
くる。
 パッケージの有用性について、少しずつ子供たちは感じとってき
た。

 では、それらのパッケージの工夫には、どんなよさがあると言え
ますか。

 改めてパッケージの情報を得ることのよさを問う発問である。子
供たちからは、次のような反応が出てきた。

・作り方が書かれていると初めて買う人にとっても大丈夫だ。
・注意点があると危険がない。
・買うときに安心する。(賞味期限等)
・自分が商品を買うときの目安になる。
・会社名や電話番号があれば、品質を保証していることになる等

 このように子供たちの視野は広がった。
 しかし、パッケージの情報にも「買わせるため」の誇大宣伝の例
もある。そこで、子供たちに「パッケージを見て買ったけど、失敗
した点はありませんでしたか。」と聞き、例を出させた。
 よさと同時にこのような視点も必要である。
 最後に、「あなただったらパッケージを見て、これからどんなこ
とに気をつけて商品を購入しますか」と問い、自分なりにまとめさ
せて授業を終えた。
 子供たちは、この授業で次のような感想を持った。

・はじめてよくパッケージを見ました。いろいろな事がわかりまし
た。栄養もわかるし、どこで作ら れたかもわかるから、パッケー
ジはいろいろと便利だと思いました。
・パッケージがあるといろんなことが分かって、役に立つことがわ
かりました。今度から、カロリーや作り方をちゃんと見て、おいし
く食べたいと思います。
・いつもあまり気にかけていなかったパッケージも意外にとても大
切だったと改めて思いました。これからはよく読みます。
・パッケージというのは、私が考えているよりも重要な役割がある
ことがわかった。特に、保存方法や会社名などの意味がわかった。

 感想からわかるように、子供たちのパッケージに対する視野が広
がる授業となった。

■ 今年はラベル作りにチャレンジ!

 先の授業は昨年度のものである。
 今年、連続して5年生を担任している。現在、家庭科の授業でフ
レンチソース作りをしている。そして、作るだけではなく実際にビ
ンに入れ、ラベル作りをさせようと考えている。
 実際にラベルを作るには、当然分析が必要である。実際のドレッ
シング商品のラベルを見て、次のようなものを書くことに決めてい
る。

・引きつけられる商品名 ・楽しいデザイン ・注意事項
・原材料名 ・重さ ・バーコード ・その他の自分なりの工夫

 どんなラベルになるか、今から楽しみである。

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