★ 最後の学級通信「思い出シリーズ」
毎年、最後の学級通信だけはパターンが決まっている。「思い出シリーズ」である。
一人一人の1年間の思い出を綴ったものである。それも、教師として最大限のメッセージ
を込めたものにしている。自分にとっては、「もう一つの通信表」とも言える。
さっそく紹介する。(ここに掲載したのは10人分。実際には、数号にわたる学級通信とな
る。
■Aくん
音楽のテストで君が歌ったあと、必ず学級は「オーッ」という歓声につつまれた。もちろん
上手だからだ。何せ実力は市内一、県でも有数の君のこと。でも、それに至るまでには君
も努力したはずだ。何もしないで、歌がうまくなるわけがない。そういう点では、努力の意味
を君はよくわかっている。これからは、その努力を他のことに広げることが一番大切!
■Bくん
舞台は運動会、あるいは球技大会。がんばる選手たち。盛り上がる応援団。いつもその輪
の中心に君はいた。あらん限りの声をふりしぼり、「何やってんだ!」「いいぞー!」と仲間を
勇気づける励ましを君は言っていた。君の声や手拍子で、どれだけ学級がまとまったことか。
みんなもそれは知っている。「明るさの配達人」−それを中学校でも生かしてほしい。
■Cくん
何の授業の時にも、「熱心」という言葉があてはまる君。質問もしょっちゅうしていたし、発表
も積極的。跳び箱では「先生、みてください!」と言う。しかし、一番印象に残っているのは別
のことだ。歌を歌う時の君の表情がそれだ。意外と思うだろう。真剣な表情、真剣な歌いぶり
は人の心を打つものだ。そして、それはいつまでも人々の記憶に残っていく。
■Dくん
誰もが認める君の運動神経。運動会、陸上記録会、そしてミニバス。いつもトップを走り続け
ていた。しかし、それ以上に評価したいのは君が学校のリーダーになろうと思っていた点だ。
企画委員の仕事をやりとおした経験は、スポーツとはまた別の価値がある。自分たちで仕事を
考え、うまくいかない時には別の方法を考える。難しいことだけど、よくやり遂げたと思う。
■Eくん
「6年1組は楽しかった」とほとんどのクラスメートは答えるはずだ。その理由の一つに、「お楽
しみ会が多かった」ということがあげられる。そして、それらの活動は君抜きには考えられない。
企画力、仕事の段取りなどは、授業で教える機会は少ない。どこから、あんな力を得たのか。
そして、時間の使い方の上手さ。ビジネスマン顔負けだった。
■F子さん
君は読書家。誰も認めるところだ。平均一日一冊のペース。5年生の時にも驚いたが、
6年生でもそのペースは変わらなかった。そして、私が感心するのは、忙しい中で上手に
時間をやりくりしている点だ。合唱クラブも、おけいこごとも並行して読書する。しかも、中
途半端にしたのは一つもない。君のその徹底ぶり、今後の何事にも通用することだ。
■G子さん
君に「代表委員をやって」と私は気軽に頼んだ。「エッ」と一瞬困った表情をしたことを今
でも覚えている。ところが、実際になってみるときちんと自分の責任で仕事をしてくれた。
それもそのはず。君は水槽が汚くなってくると、いつの間にか水を交換してくれていた。寒
い中、係でもないのに・・・細かなことによく気付く人は責任感ももちろんあるのだ。
■H子さん
君は最初、自分に自信がなさそうだった。自分を出すことを遠慮しているように見えた。で
もそうではなかった。活躍の場が与えられると、どんどん積極的になってきた。君の活躍の
場は、6年生では陸上だった。4月から朝練習をはじめて、10月までやり通した。陸上競技
場で走る君は、何と大きかったことか。自信はその人を大きく見せるものだと感じた。
■I子さん
君は、何ごとにもズバリと言う。誰が相手でも構わない。たとえ、学級のやんちゃな男の子
でも、言うべきことを言っていた。自分の考えがしっかりしていなければできないことだ。それ
がふだんの生活だけでなく、学級会でどんどん出るようになってきたことを嬉しく思った。一人
一人の個性が輝いてこそいい学級だ。君の個性も、学級で光っていた。
■J子さん
努力の人。今まで君に言い続けてきた言葉だ。聞き飽きたかもしれない。しかし、あえてま
た言おう。君は本当に努力の人だ。それも、人に言われての努力ではない。すべて自分で考
えて、努力するというの点が尊いのだ。だから、君は自分の人生を切り開いていくであろう。
それは、努力という財産が君にあるからできることなのだ。
★ 演 出
最後の学級通信である。いつもと違った演出を一緒にしたい。
■卒業式の日に
卒業式が終わり、教室に子供たちが入ってくる。
感動の余韻が残ったまま、白封筒を渡す。中には、上質紙に印刷された「思い出シリーズ」
の学級通信が5枚。すぐに封を切る子供たち。私は一人一人のものをそのまま読み上げる。
卒業式で泣いたので、そのまま涙声で読む。忘れられない教師生活の一コマであった。
■帰りの会
6年生以外の時には、一日に一枚ずつの発行である。つまり、修了式の数日前からこのシリ
ーズとなる。この時には、帰りの会で一人ずつじっくりと読み上げる。そして、一人ずつ自然に
拍手が出る。恥ずかしそうでいて、満足気な子供たちの表情。いい顔である。
★ 反 応
このシリーズは学級通信の中でも、一番手応えが多い。「圧巻でした」「財産です」といった
反応を今まで親御さんからいただいた。
これは同僚からも同じである。学級通信の「書き甲斐」があるシリーズである。
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