★ 親が気軽に学校へ


 小学校に行っている4週間に、親御さんが学校に来ない日はなかった。
毎日、どこかの学級で、何人かの親御さんが来ていた。私の参観してい
る授業でも時折見かけた。
 別に授業参観の日があったからだけではない。また、PTAの行事の話
し合いがあるとかというわけでもない。
 では、何をしに学校に来ているのか。それは、教師のする授業の手伝い
をしに来ているのである。「スクールボランティア」あるいは「ビジター」とい
うシステムだそうである。

 例1 小学校併設の幼稚園の授業

 今日は近くの消防署の見学。交通量の激しいところを歩いていかなけれ
ばならない。先生は一人。子どもは20人ほど。
 一人の親御さんが手伝いに来てくれる。先生が先頭を歩いて、親御さん
は一番後ろでみんなを見てくれる。なるほど、これならば子どもたちを安全
に消防署に連れて行くことができる。
 先生に、「親御さんたちは熱心ですね。仕事を休んでくる人もいるのです
か?」と聞いたら、「時には仕事を休んでくる人もいます。彼らは、何か学
校でハプニングが起こることより、自分が1時間の休みをとる方がベターだ
と考えています。」とのことであった。
 
 例2 小麦粉での地図作り

 5年生の社会科の授業。ダンボールにアメリカ合衆国の地図を書き、そ
の上に小麦粉を水で練って重ねていって、高低のある立体的な地図を作
るという授業である。
 この作業の問題点は小麦粉を練るのに時間がかかるということである。
そこでビジターの二人が来てくれた。先生と合わせて3人で練ると大量の
小麦粉ができる。1時間ほどで、地図は完成である。このような作業学習
では、準備を手伝ってくれる人は多い方がいい。
 先生に、「どのようにしてビジターを選んでいるんですか」と聞いたら、事
前にプリントを配布して希望者をとるとのことである。もし、誰も希望しない
場合は、それはそれで仕方がないという。つまり、強制ではないのである。

 このビジター制度の利点を考えてみた。

 ★ 子どもたちの学習が効率的に行われる。
 ★ 親が我が子の授業の様子を気軽に見ることができる
 ★ 子どもたちにとっては、友達の親を知る機会であり、反対に親は
  子どもの友達を知ることができる


 子どもたちも親が学校に来るのが自然と思っている。
 そして親が帰る時には、皆が盛大な拍手で見送る。まさにヒーローである。
 このシステムが実際に日本でそのまま行うことは、困難であろう。そもそ
も、仕事をそんなに簡単に休むわけにはいかないと思われる。
 ただ、考えたいのは学校が親に、このような自然な、そして好ましい雰囲
気の中で開かれているということである。


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