\ 研究結果の分析と考察
1 データより
(1) 「体験!メディアのABC」について
子供たちが番組について、どのようなとらえをしているかアンケートをとった。
1 「体験!メディアのABCを見て、自分もやってみたいと思う。
大変思う・20% やや思う・60%
あまり・20% ぜんぜん・0
2 「体験!メディアのABCを見て、その方法がわかる。
大変思う・40% やや思う・60%
あまり・0 ぜんぜん・0
3 「体験!メディアのABCを見て、そのやり方が身についたと思う。
大変思う・33% やや思う・47%
あまり・20% ぜんぜん・0
4 「体験!メディアのABCを見て、メディアの見方や考え方が深まったと思う。
大変思う・73% やや思う・7% あまり・20%
ぜんぜん・0
■ 考察
どの項目も「たいへん思う」「やや思う」の両方を合わせた割合が高い。子供たち
にとって番組が大きな役割を果たしていることがわかる。特に4については、「たい
へん思う」の割合が特に高い。番組のよさが子供たちに思考面で影響を与えている
ことがわかる。
2の方法について、全員が「たいへん思う」「やや思う」と答えている。これはメデ
ィアを学ぶ手法が効果的に理解されていることを物語っている。
3については、視聴のみで実際に番組の通りには活動していないものもあるので、
プラス面での割合がやや低かったと思われる。
(2) 情報活用技能
情報を活用する技能について、日常の観察や子供たちの作品等から、子供たち一
人一人について調べた。(割合は%、調査対象15人)
調 査 項 目 できる
不十分
1 情報の受け手として 資料や調査から情報を収集できる
93 7
情報を分析できる(気づき、比較等)
73 27
情報を目的に応じて取捨選択できる
80 20
2 情報の送り手として 表現内容を目的に応じて考えることができる
73 27
情報を活用して効果的に表現できる
60 40
3 情報の使い手として 情報機器(ビデオ)を操作することができる
93 7
それぞれのメディアの特性を理解できる
40 60
■考察
調査対象の項目のうち、高い割合を示している(80%以上)ものは繰り返し学習す
る内容のものである。学習頻度が高く、意図的な指導をすれば、子供たちの情報活
用技能が高まることがわかる。
それに対して低いものは、「分析」や「特性」といったように教師の視点の与え方が
重要と思われる。今後の意図的な指導が必要である。
2 感想文より
(1) 「体験!メディアのABC」より
番組を見続けての感想を子供たちからとった。
・今まで「体験!メディアのABC」を見て、いろいろなことがわかりました。たとえば、
「アップとルーズ」でアップのよい点は何か、悪い点は何か。ルーズのよい点は何か、
悪い点は何かなどが見る前とはぜんぜんちがいました。
・「体験!メディアのABC」を見て、メディアの見方や考え方が深まったと思うので、と
てもいい番組だなと思います。それに、わかりやすくするために、おもしろくなっている
し、たくさん見てもあきません。
・そのメディアをしている人たちを出すことがいいと思う。それを実際にやったりすること
もよい。
・ 「体験!メディアのABC」を見て、テレビの照明や音楽などを「ここは〜で工夫してい
るな」などど思いながら見るようになったので、とてもためになっています。この番組の
おかげでテレビの見方が変わったので、これからも見たいです。
・ 番組を見続けていい点は、実際にやっていることです。「自分もやってみたいな」と思
います。役立つこともやっているから、楽しみながらいい勉強になると思います。それか
ら、このテレビを見てから、テレビの見方や考え方がすごく変わっていったと思います。
■ 考察
何度も番組を視聴することにより、子供たちは番組のよさを理解していることがわかる。
また、子供によってはテレビの見方が変化したと自覚している子もいる。一回の番組では
変化しないのであろうが、継続的に見続けることによりその効果が表れたと思われる。
(2) メディアに関わるものの見方や考え方
メディアに関わるものの見方や考え方の成長を客観的に測定することは難しい。しかし、
ある程度ならば子供たちの感想からその様子がわかる。ここでは、学習を通じて変容が
あった感想を部分的に掲載する。「宮古の自慢CMを作ろう」の最後の時間の感想である。
・ 家でのコマーシャルの見方がかわりました。前とはちがって、「これは〜で工夫している」
というように集中して考えるようになりました。
・ テレビのCMを見るときは、「これは合成した」「洗剤のキャッチコピーがよくわかるよ
うになっている」というように見方が変わりました。
・ CMの見方も変わりました。前までは、CMになると本を読んでいたけど、今ではこれ
は合成映像だな、アップだなと考えながら見るようになりました。
■考察
授業の感想では「〜ということがわかった」「〜ができるようになった」といったものが多い
がこのように、メディアの見方の変化も時々見られる。ただ、「ものの見方や考え方の変化」
を子供たち自身が自覚をするのは難しい。そういう点では単元の振り返りの授業が重要で
ある。
] 研究のまとめと今後の課題
■研究のまとめ
★仮説1について
◎学校放送番組は、そのよさを生かすことにより、子供たちの課題解決のための手立てと
なる点で有効である。
・ ただ、それは「学校放送番組が学習のねらいに即した内容であること」「具体的に子供た
ちの活動に役立つ情報があること」が前提である。単に学校放送番組だからよいというわけ
ではない。
・ また、学校放送番組を学習の中で効果的・意図的に位置づけなければ、そのよさも生か
されない。子供たちにとって学習課題が明確であり、それを直接テーマにした学校放送番
組(本レポートの例では「キャッチコピー」)を活用する時、そのよさは最大限生かされる。
・録画をして辞典のように何度も活用する方法は、子供たちの技能を高める点で特に有効
である。
◎学校放送番組は、学習意欲を喚起するという点でも有効である。
・番組の内容や構成の工夫が大きいが、継続をして視聴をすることにより、「学習の下地とな
る」「相互の番組の内容が関連づく」「日常の情報活動に応用できる」という点でよさがあり、
それが新たなる学習意欲を喚起している。
★仮説2について
◎メディアを活用する学習技能を育成する点では次のようなことが言える。
・ 「メディアの送り手」の立場になることにより、必要とする学習技能を子供たちは自覚をする。
それは「学習技能の必要性」の意識を高める点で効果がある。
・ 学習経験に応じた効果的な発問を投げかけることにより、子供たちの学習技能はより向上
をする。
・ メディアの活用技能が向上することにより、子供たちは学習活動の中で新たな発見をするこ
とが多くなる。それは、メディアに関わる見方の成長を促すことにもなる。
◎情報教育の学習技能の手立てが明示されている学校放送番組は、技能育成に有効であ
る。特に学校放送番組は「録画し再生できる」点が特徴的であり、指導後も子供自身が辞典
のように何度も繰り返し活用が可能である。
★仮説3について
◎子供たちが経験をした活動について、視点を広げる発問をすることは、メディアに関わる考
え方を深める点で有効である。
・そのためには、教師が子供たちの学習活動過程でその点を意識して観察しておくことが必
要である。
◎子供たちの日常のメディアとの関わりを問う発問は、子供たちに新たな気づきを促す点で
特に有効である。
・(例)「みんなが見ている番組で、そのような例はありませんか」「実際のテレビ番組に、どん
な目的に合成写真や合成映像が使われればいいと思いますか」
★ 課題
・学校放送番組の全てが効果的とは限らない。そこで、学校放送番組のよさを分析して、よ
り効果的な活用をしていきたい。(例:番組相互を関連づける。部分活用をする。)
・単元ごとの学習技能の評価規準を具体的に作成することが必要である。また、本研究で
扱った学習技能のうち、達成率が不足しているものについては学習活動を継続し、引き上
げる指導をしていきたい。
・メディアに関わる見方や考え方を深める学習構成の工夫や効果的な発問の収集を一層
心がけたい。一般化をする必要性を感じるが、基礎となる資料がまだまだ不足である。
★ 参考文献
・ 文部省「体系的な情報教育の実施に向けて」(情報化の進展に対応した初等中等教育
における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議「第一次報告」)
・ 雑誌「現代科学教育」(明治図書)2000年12月号
・ 雑誌「国語教育」(明治図書)2002年1月号
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