★ 質素

 「豪邸」に住んでいるアンであるが、その生活ぶりはきわめて質素である。
 まず食べ物は絶対に残さない。
 彼女は私の母親と同じくらいの年齢である。私の母も食べ物は絶対に残さ
なかった。食べ盛りの時に戦中・戦後でちょうど食糧難だったことが影響して
いるのであろう。

 それに対してアンはおそらく食糧難を経験してはいないだろう。
 それでも食べ物に厳しい。いつだったか、チキンの丸焼きを食べたことがあ
った。そうしたら、骨が見えるところまで肉を一つも残さず食べるのである。そ
れから、スープなどが残っていてもまず捨てることはない。いくら少量でも、冷
蔵庫に入れて、また飲むのである。
 外食はまずしない。
 私がホームスティー中は一度も行かなかった。必ず自分で作った。時には、
2日分の食事を作っておいて、2日連続で食べることもあった。ただ、苦手な
食事の時は私にとって、地獄の責め苦のようなものだったが・・・。
 お菓子にしても同様で、ワッフルやクレープなど自分で作って食べていた。

 食べ物だけではない。
 とにかく一緒に買い物に行った時には、安くていい物をさがしていた。ドッグ
フードにしても、ベッドのマットレスにしても、自分のセーターにしてもである。
 彼女と一緒にして、「ムダだなあ」と思ったことは一度もなかった。
 電気にしても必要な分しかつけない。
 天気のよい日にはバスを使わずに学校に歩いていく。
 お金のかかる趣味を持っているわけではない。ちなみに、趣味はウオ―キン
グ、テニス、スイミングである。テニスとスイミングは週に1回ずつクラブに行って
いるが、かかる費用は合わせて5000円ほどである。

 ただ、彼女はケチというわけでもない。
 立派な服はたくさん持っているし、ソファーやテーブルなどの家具類は、かたく
て丈夫で、しかも見た目もいい。
 つまり、ずっと長く使うものにはお金を惜しみなく注いで、安くあげれるものは安
く済ますという精神のようである。これは実に合理的である。
 彼女の暮らしぶりを見て、我が暮らしぶりを考える。実にムダが多い。貯金もな
かなかできないわけである。
 ライフスタイルを少し考えなければ・・・・。

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