★筑波大学附属小・発表顛末記
これは、平成13年2月15日に行われた筑波大学附属小学校での初等教育研修会
での発表にまつわるエトセトラである。
■きっかけ(1年前)
1年前、家庭科とは縁もゆかりもなかった。
いや、高学年の担任だった時には当然指導をしていたが、特段工夫する教科では
なかった。それどころか、ミシンが苦手でやたら指導に時間がかかる・・・そんな苦手
な教科だった。
私の勤務する小学校に「県の家庭科教育大会の授業者をお一人出してください」と
いう依頼があった。なぜ本校か。国語の公開での好印象がその理由らしい。
結果的に、授業者となった。
ところが家庭科の指導案を書いた経験はない。それどころか研究授業だって見たこ
ともなかった。(多くの教師はそうなのではないか。)
ちょうど2月の筑波大学附属小学校の公開に参加することになっていた。自分として
は一つの教科に絞らずにあちこち見ようと考えていた。だが、家庭科分科会に参加す
ることにした。
その時に授業をされたM先生。M先生との出会いが今回の発表のきっかけであった。
■私にとってのキーマン
家庭科を本格的に研究するにあたって、いろいろな文献を調べた。しかしながら、なか
なか単著を出されている方はおられない。
そんな中でもM先生はいろいろな雑誌に論文を書かれていた。そのアイデアは読みご
たえのあるものばかりだった。当然私の家庭科教育でのキーマンとなった。
自分なりに筑波での授業等の感想を送ったり、研究授業でのレポートを送ったりした。
お忙しい身でありながら、M先生からは、いつも返信をいただいた。
そして、運命の電話。「初等教育研修会で発表してみませんか」。
その時はまだ県家庭科教育研究大会前であった。「県の大会で失敗でもしたら・・・」
という不安があったものの、もともと新しいもの好きの私は、すぐに「力不足ですが、勉強
させてください。」と快諾の答えを発していた。
■レポートには異質な発想で
家庭科のレポートは研究論文ではない。
むしろ、ある程度の新しい主張が必要と考えた。しかし悲しいかな、「長年の研究」とい
った蓄積が自分にはない。むろん、県の大会でしたことは書くことができるが。
ここで発想を変えた。しょせん、家庭科をずっと専門にやってきたわけではない。家庭科
に今まで自分が関わってきたものの負荷価値をつけることはできないかと。家庭科に異質
の発想を取り込む作戦である。
筑波大学附属小の紀要の締切は12月19日。通信表と並行しながらどうにか次の4つ
の提案ができた。
1 「発見」「広げよう」をキーワードに
2 「総合」で家庭科を強くする
3 「家庭・地域・日本のよさ」を伝える
4 家庭科情報リテラシーを高める
2から4は自分では得意とする領域である。学習指導要領にも関わる文言が出ている。
実践もしているし、これからでもできる・・・・。そんな感じでとりあえず原稿を送った。
すぐにM先生から「(参加者にとって)刺激になると思います」という有難いコメントをいただ
いた。
実質的なレポート作成は2月上旬から1週間。A4判20ページとなった。いざ東京である。
■いざ発表
2月14日、6校時まで授業をして東京へ。インターネットで予約した上野のホテルについた
のは夜11時すぎであった。新幹線で発表のリハーサルをする予定だったが、車で3時間以
上の移動になり、熟睡してしまった。
翌朝、早起きして、いくらかポイントを確認。
筑波大学附属小に早めに行き、M先生に挨拶。発表で使うデジカメの操作を確認。
間もなくM先生の授業が始まる。「なべ料理」の教材化だった。身近なものなのに、今まで
教材化した例は知らない。「なべは心の栄養になる(家族と触れ合う)」という子供の発言に
うれしく思う。
授業が終わり午前中に自分の発表である。参観者は、およそ80名ぐらい。人数は少ないも
のの一流の聞き手というのは、十分に感じた。力を入れて話すたびに、うなずく反応やメモを
とる姿が視野に入ってくる。
1月の社会と同じように発表では「具体的なエピソード」を描写するように心がけた。しかしな
がら、提案1は何か話が空回り。提言3は自分の思い入れが強すぎ。結局時間オーバー。適
度に笑いもあり、主張もあったとは思うもののまだまだ発表修業は不足である。
ただ、午前中で終ったので午後はゆったりした気分で、U先生とT先生のお話を聞くことがで
きた。
■価値ある出会い
会終了後、近くのフランス料理店で懇親会。4人だけである。
私以外は家庭科教育の一流の実践者と研究者である。学習指導要領解説編の執筆者、教
科書の執筆者、文部省の資料の執筆者。むろん、出版者の原稿は多数の先生方である。
そのような先生方から直接の話を伺える・・・自分にとってはまさに「価値ある出会い」であっ
た。
学習指導要領解説編作成のお話、職場でのお話、家庭科教育にかける思い・・・等。先生方
の家庭科教育に対する熱き思いに、ただただ聞き入った。そしてその志に感銘を受けた。
当初、自分としては、「家庭科はこの発表で一区切り」という思いであった。来年度、家庭科の
授業ができるとは限らない。社会や特別活動、総合を深めなければ・・・と考えていた。
しかしながら、お三人のお話を聞き、「もっと家庭科教育に携わりたい。ずっと研究をしたい。」
という思いに変わった。それぐらい感動的な出会いであった。
■人の縁
この一年間のことを考えると、本当に縁に恵まれていたと思う。
学校公開からの家庭科教育の縁。
地区で家庭科専門の先生方との縁。
家庭科教育でM先生から学ばせてもらった縁。
発表によって新たにできた縁。
全てが、家庭科については何も財産がなかった自分を、太らせてくれた。本当にありがたいこと
だと思う。
この縁については、自分は本当に恵まれていると思う。今までもいろいろな縁があり、今回もこ
のような縁である。教師生活万歳!有難い教師人生である。
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