提案2 「総合」で家庭科を強くする
1 総合的な学習を活用して、家庭科を強くしよう
@「総合的な学習→家庭科」という視点の重視
総合的な学習は、家庭科における「よりよい生活人」の強力な援軍である。ただし、
それも「いい関係」であった場合である。次のようにして、家庭科と総合的な学習の
「いい関係」を深めるべきと考える。
総合的な学習と家庭科との関わりを考えると、「家庭科が総合的な学習にどのよう
に結び付いているか」という例が多いのではないか。たとえば、「家庭科で学習した
衣服に関わる製作技能が、福祉交流でのプレゼント作りに役立つ」「調理でのゴミの
処理や住まい方での工夫が、環境教育に発展する」といったようにである。
この視点は、家庭科と総合的な学習を考える基本である。
それに加えて、「総合的な学習→家庭科」という視点をより重視すべきである
と考える。
総合的な学習での経験を、どんどん家庭科の学習に生かすという視点である。
A例・総合的な学習「手作り名人を見つけよう」での「ひゅうず」調べ
5年生の総合的な学習で、地域の伝統的なお菓子の「ひゅうず」を調べたことがあ
った。
これは、「手作り名人を見つけよう」という単元の中で、「地域に伝わるひゅうず作り
の名人」も「手作り名人」ということで調べたのである。
「名人に会う前に、自分たちが『ひゅうず』について知らなければいけない」というこ
とで、子供たちに「調べること」を考えさせた。次のようなものが出てきた。
■ひゅうずという名前の由来と歴史
■ひゅうずの作られている地方
■ひゅうずの作り方
■ひゅうずの種類と売られているお店
■ひゅうずの栄養といいところ
■ひゅうずの思い出
さっそく子供たちは調べ始める。家の人からの聞き取りだけではなく、親戚に聞いた
り、インターネットの資料を活用したりして、ひゅうずが古くから家庭での手作りお菓子
であり、昔の子供たちにとっては実に思い出深い味であることに興味を示した。
また、家庭によって作り方の違いがあることや様々な種類のひゅうずが売られている
ことを知り、いろいろと工夫できるお菓子であることを知った。
このひゅうず調べにより、実際にひゅうず作り名人(地域人材)をお迎えした時には、
価値のある学習をすることができた。
B総合的な学習が豊かにしたもの
では、子供たちが総合的な学習で行った「ひゅうず調べ」の経験は、家庭科にどんな
点で役立つのか考えてみる。次のような点で、メリットがあったように思われる。
★総合的な学習が家庭科学習の動機づけになる
→楽しい体験が、食領域での意欲につながるであろう
★総合的な学習で得た調べ学習での視点が、家庭科学習に生きてくる
→「由来」「意義」「栄養」「作り方」といったような「食べ物調べ」に対する視点が形成
された
★地域人材のさらなる活用
→総合的な学習での地域人材は、家庭科でも活用可能な場合がある
このように総合的な学習で学んだことは、家庭科の学習を豊かにすると考える。それ
どころか、教師自身が家庭科を、総合的な学習を活用して積極的に豊かにさせるべきと
考える。家庭科自体の授業時数も内容も新学習指導要領では減るのである。この発想
は、その対応策の一つと考える。
そのためには、学校の家庭科および総合的な学習の年間指導計画の関連を見通すこ
とが大切であると考える。
特に、総合的な学習は3年生から始まる。3年生から4年生までの総合的な学習で、家
庭科の学習を豊かにする経験や視点の蓄積が、これからの家庭科教育の武器の一つに
なるのではないかと思う。
2 家庭科内での「知の総合化」を目指す
何も総合的な学習ばかりが、家庭科と関連づいているわけではない。他教科との関連も
「よりよい生活人」を目指すために重視したい。
たとえば、ごみについて、4年生の社会科で学習した知識を活用することができる。ごみ
の種類、その分別の方法についてである。
ただ、教科との関連で留意しなければいけないのは、あくまでも他教科で得た知識は、
「学習を支える一部の知識」にしかすぎないということである。「油を排水口にそのまま流し
て処理してはいけない」といった知識を得ていても、それが家庭科の場合に実行できなけ
れば意味がない。
それを前提とした上で、他教科で得た知識も積極的に活用できるようにしていきたい。
さらに他教科よりも推進していくべきは、「家庭科内での『知の総合化』」である。
新学習指導要領によって、複数の領域を組み合わせての学習がしやすくなった。そこで、
大胆な単元の編成が可能ではないかと思われる。
たとえば、「冬のくらし」では次のような内容構成が考えられる。
例:単元名「冬のくらしを豊かに」(6年生)
■学習内容
・冬に水道代や電気代が上がる理由の追究
・街中での冬のくらしのすまいの工夫発見
・あったかい手作りおやつはこれ
・我が家の寒さ対策
・作ってみよう!冬に役立つものを
・冬のくらし新聞を作ろう
一つ一つの学習内容が、子供たちの意識の中でつながっているので、より効果的な学
習成果がうまれるのではないかと考える。ただ、このように総合化する場合には、安易な
内容の統合をさけるべきである。子供たちの知の系統性や学習意欲の吟味が不可欠な
のは、言うまでもない。
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