■教研レポート 学級通信は教師として生きている証しである
★このレポートは1997年の県教研に出したレポートです。当時のまま掲載を
します。ただし、レポートでは多くの学級通信を資料として添付をしたが、ここで
は略します。
1 なぜ学級通信か 〜学級経営の武器として〜
現任校に赴任してきて7年目。毎年200号を越える学級通信を発行してきた。
ほぼ日刊のペースである。この学校に来て、トータルの発行枚数は1300号を
数える。
そもそも学級通信を発行するようになったきっかけは、「自分の学級経営の武
器」としてであった。
初任の学校は学年2クラス。同学年で組む先生は40代のベテラン教師。父母
の信頼も厚い。授業も上手であり、子供たちの力を確実に伸ばしていた。
それに対して自分はどうだろうか。授業の力は未熟。若いから子供たちと触れ
合う時間は長いものの、満足のいく学級経営ではなかった。
それならばと取り組んだのが学級通信の発行である。その学校では、通信を
出す先生方は少なかった。これを武器にして学級経営をしようと考えたわけであ
る。
それを継続していくうちに、学級通信は自分にとって、「教師文化を創る」という
考えに至るようになってきた。ここで言う「教師文化」は次のようなものである。
自分の実践が日常的になり、その実践が子供たちに還元して行く活動
自分が発行する学級通信が、教師自身の自主的な実践活動のおおもととなり、
そして、やがてそれが子供たちに自身に生かされていく・・・その過程すべてが
「教師文化」なのではないかと考える。
2 文化を創る6つの視点
@ 実践記録としての学級通信
我々教師にとって実践記録を残すことは非常に重要である。しかしながら、現実
的に記録に残す時間の確保はなかなか難しい。
学級通信に、学級の授業記録や学級経営の記録を載せるのは一つの方法である。
資料を掲載することにより、自分の実践が蓄積される。これは同学年を担任した時
に大いに役立つ。また同学年の先生方にも通信を配布しているので、追試してもら
うことも時にはある。そこから、教師同士の実践の交流が生まれる。
もちろん、親御さんからも「授業の様子がよくわかります」という声をいただく。授業
参観以外は親御さんも授業を見る機会がなかなかない。そういう意味でも貴重である。
A 学級通信は子供を見る目を育てる
通信では全員の子供の様子をのせたい・・・そう思うのは当然である。しかし、よく話
す子や行動が目立つ子に教師の目は行きがちである。
一人一人の様子を改めて学級通信に書こうとすると、自分がいかに子供たちを深く見
ていないかがよくわかる。
逆に考えれば、「全員の子を学級通信にのせよう」と意識化することにより、子供を深
く見ることになる。学級通信が子供を見るための効果的な一手段となっているわけであ
る。
B 学級通信は父母との交流を深める
父母との交流を深めるには様々な手段があるだろう。学級通信はその中で大きな存
在である。次のような点に配慮をしている。
・学級通信はあくまでも学級全体を対象としているので、並行して個人カード(一人一人
の光る点をカードに記入)として出す。
・通信には子供たちのよさを掲載する。問題点は特例を除き控える。
・父母からの投稿は歓迎するが、強制することは避ける。
C 学級通信は子供の成長の足跡を刻む
学級通信には、子供たちの作文や詩といった作品をどんどん掲載するようにしている。
「1枚文集」みたいなものになる。現実的に文集を出すには手間ひまがかかる。1年間
に1回発行するのが通常である。それが学級通信という手立てをとれば、子供たちの作
品を気軽に伝えることができる。1年間通して掲載すると、子供の成長の足跡にもなる。
そして、それは時には授業の指導にも生かすことができる。
D 教師としての軌跡を綴る学級通信
私の通信の大きな特徴の一つに、節目となる号(50号、100号等)に、今までの教師
人生で印象に残るようなエッセーを載せるということがあげられる。
いわば教師としての自分史を独白するようなものである。
学級経営や授業の内容からは離れるものの、自分の教育論を理解していただく点では、
大いに役立っている。
これらのエッセーは、親御さんよりもむしろ教師仲間からの反応が多い。特に先輩方か
ら「若い頃、似たようなことがあった」といった声が時としてあり、教育談義の場となりうる。
E 学級通信は子供たちへのメッセージとなる
毎年、学年末の学級通信は子供たち一人一人へのメッセージと決めている。
通信表とは別の、1年間で思い出に残ったことを本音でズバリ書く。いわば、私からの「贈
る言葉」である。
子供たちはその学級通信が配布された瞬間、自分の部分を食い入るようにして読む。自
分のものだけではない。友達のものも読んで「そういえば、そうだったよな」といったセリフも
飛び交う。私にとって嬉しい瞬間である。
3 学級通信作成法
時々他の先生方に聞かれる。
「どのようにして学級通信を作っているのですか」「家で寝ないで作っているのですか」
日刊で発行しているからそのように思われるのであろう。担任としてのあき時間はない。放
課後もいつも自由に使えるわけではない。
しかも、学級通信は学級経営の重要な武器ではあるものの、当然のことながらそれのみに
専念するわけにはいかない。あくまでも、教材研究や児童理解が優先なのだから。
では、どのようにして通信を作成しているのか。その方法を記す。
@ ワープロの活用
通信はワープロである。手書きの方が温かみがあるのはわかるが、そのような形だと今の3
分の1も発行できないであろう。だから発行部数を優先させている。
ワープロの便利な点は、何といってもメモをそのまま通信に使うことができるという点である。
たとえば、授業のプランをワープロに保存しておく。発問やその意図などである。それを授業で
そのまま実践する。そのプランのメモに、子供たちの反応や様子を肉付けするだけで学級通信
ができていく。
また、板書も次の授業の合間2分ぐらいでワープロに打ち込む。後で、授業の様子を詳しく打
ち込むといった方法でもできる。実に便利である。
A 細切れ時間の活用
1時間の通信に費やす時間は20分〜30分程度である。しかし、学校の中でこれだけのまと
まった時間は放課後以外には考えられない。休み時間は、休憩したり子供たちと触れ合ったり
する時間である。その放課後も、様々な仕事でできる日も限られている。
しかし、「会議まで10分」といったような細切れ時間は必ず存在する。それらを積み重ねて一
日合計20分の時間を生み出すのはわりとたやすいことである。その積み重ねの中で学級通信
を作っている。
B カット・見出しは必要なし
限られた中で作る通信であるから、カット・見出しの工夫といったものは一切とらない。思ったこ
とをひたすら記す。それで十分に思いは伝わっている。
C ネタの発想はどんな場でも
短い時間で仕上げるためには、書く内容が決まっていなければいけない。そのために、通信の
内容は頭の隅でよく考えている。会議中でも、ひらめいた時にすぐにメモをして実行するようにし
ている。
4 再び、なぜ学級通信か
「なぜ自分は学級通信を出すのか」。こう自問するのならば、次のように答えるであろう。
学級通信は教師の文化を創る。教師の文化を創ることは、自分が生きている証しなのだ。
通信を出す一方大切なのは、私たち教師が「自分たちの文化を創る」という意識を持つことであ
る。そうすることにより、教育活動の質も高まっていくであろう。
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