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@つかさちゃんタイム
はしっと、私にボールが通った。真詩子もだんだんみどりの動きに並んでたまに勝って
いた。私の背後には依然として、復活した4番さん。すごいです。威圧感。そして前半とは
変わった風景が展開されようとしていた。
近くにいたもう一人の敵さんが私の方に素早く寄ってきた。4番さんはまだ後ろにいる。
つまり二人がかりで私の持つボールを奪いに来たのだ。
私は慌てない。真詩子さんに聞いていたからだ。
『つかさがまたガンガン飛ばすと、相手もとにかくつかさをどうにかしようと二人掛かりや、
三人がかりで止めに来ると思う。そうなったらチャンスよ』
と真詩子さんは行っていた。どこがチャンスやねん! と裏拳でつっこむと、
『つかさに一人以上マークが付くって事は、味方にフリーが必ず出来る。そうなったら
つかさの出番』
忙しかった。私の渾身の関西風ツッコミも、全くシカトされ、不満を言うよりも先にまた
聞き捨てならないセリフが飛び出したからだ。つかさの出番??
『あの、すでに私すっごい酷使されてると思うけど、出番って何?』
『それはセンターつかさでしょ。次はね、ガードつかさなの!』
それってただ役職名が変わっただけだよね? ね?
『それまでシュート一筋のつかさが、パサーになる。相手は戸惑うわ』
『あのー』
『とにかくシュートチャンスのある人にどんどんパス出してね。もちろん隙があったらつかさが
そのまま行っていいの。その方が相手も余計混乱するから』
『あの・・・』
『死にものぐるいでがんばってね!』
『わかりました・・・(号泣)』
ということがあった。真詩子は人間じゃないと再確認した。
それで今真詩子の予言通り、とにかく私をどうにかしようと、二人掛かりで囲まれた私。
(パス出せそうな人・・・)
瞬間のいんすぴーれーしょん。発音合ってたっけ? とにかく、私はぐっと体を曲げて、
パスを出した。直線じゃ厳しかったので、バウンドパスになった。
他のメンバーにも私がパス役になることはもう伝わっていて、待ちかまえていた。味方の
その人のマークは今私のところに来ているので、フリーだ。
「シュート!」
思い通りのパスが出せて、私も笑顔。面如技の5番さんはその場でジャンプシュート。
弧を描いて・・・ぱさり。
「ないっしゅー!」
ガッツポーズ。自分でシュートを決めるのは楽しい。でもパスを出して味方が決めて
くれるのもなんだかうれしい。シュートばっかりだった私に、もしかしたら真詩子は教えて
くれたのかもしれない。パスの大切さ。パスの楽しさ。
そんなわけない。私はすぐに否定した。あの子はただ私をこき使って楽しんでいるのだ!
ちょっと被害妄想。冗談だけどね。
試合再開。すぐに戻ってまた4番さんの背後に陣取る私。
踏ん張りどころ。せっかくシュートを決めてもここで決められたら全然差が開かない。
シュートを止めて決めないと。
真詩子と競り合っていたみどりがまた中にボールを入れた。受け取る4番さん、身構える私。
と、4番さんはすぐパスを折り返した。パスを出してすぐダッシュで中に切り込んできたみどりに。
パスを受け取ってすぐにジャンプ!
「はりゃ!」
妙なかけ声で同じくブロックに飛ぶ真詩子。で、右手だけでみどりのシュートを阻んだ。
ナイスカットだ! ボールはサイドラインを割って外に。
審判さんの笛。相手さんボール。
「ナイスカット、真詩子!」
声に、ガッツポーズの真詩子。真詩子の動きもだんだん鋭くなっていていた。あのみどりと
ほぼ互角の動きだ。あの視線(ガン付け)がある分、ケンカじゃ真詩子の方が上かもしれない。
試合再開。みどりにまたボールが渡りそうなところをなんとまたもや真詩子さんがナイスカット!
すごい!活躍してます!
そのまま真詩子がボールをキープしたから、面如技の反撃開始。私もすぐさまダッシュで相手
陣地に向かう。直線じゃ4番さんに勝っている私。引きはがす。
「つかさ!」
私のマークの人(4番さん)と1馬身(失礼)の差が付いたとき、真詩子が私にパスを出した。
受け取る。ドリブル開始。
このまま一気に! と思ったとき前方に回り込む姿。相手さんの8番。私、かまず中に切り込む。
フリースローラインのところでいきなり止まって…
やや反応が遅れたモノの、相手の8番さんもすぐに私に向かってくる。
私の背後には4番さんの存在、すぐそこ。
「つかさ!」
サイドを駆ける真詩子。うまい。真詩子から離れてさらに私を取り囲もうとしたみどりの足を止めた。
瞬間、びしっと私はパスを出した。右後方、目の端にとらえたその人は完全にフリーで、その場所に
立っていたのだ。
「え!」
びっくり声。自分に来るとは思ってなかったのかも知れない。
でもそこは面如技バスケ部の猛者の一人。すぐにきりりとして受け取る。
「シュート!」
私の声に、面如技の6番さんは大きくジャンプ。彼女のいたところは3Pラインの外。
つまりこのシュート、入れば3点だ!
完全にフリー状態で放ったシュートはきれいな弧を描いた。6番さんをマークするはずだった
相手さんの8番さんは今私の前に立ちはだかっている。
つまり真詩子さんの読み通りに私に注意がそれた分、他の人にフリーが出る。
さすが切れ者真詩子さん。性格もキレてるけど、頭もきれてます。
ガッ! と、でもシュートはリングに当たってしまった。でもね、終わってません。
素早く動く私、ボール落下予想点を瞬時にかんで予想して、すぐにジャンプ。後手に回ると大きな
人には勝てません。特に4番さん。
「うら!」
可憐な乙女の声。8番さんもジャンプしていた。4番さんも。
でも、私の方が先にボールにさわれた。強引に懐に奪いこむ。
着地! どよめく会場の声を意識するよりも先に、私は低い体制のまま、またパスを出した。
ピンポイントでまた同じところに。彼女も変わらずにそこにいた。
さらに驚いている。それもそうだ。今シュート外したばかりなのだ。でも・・・
「もういっちょ、シュート!」
笑顔で私は叫んだ。私の笑顔で(希望)緊張が解けたのか、さっきよりも無駄のないフォームで
シュートした6番さん。また3Pシュートだ。
・・・・・・・ぱさり
決まりました。どっと会場が沸く!
「ナイシュー!」
駆け寄って手を合わせた。味方のリバウンドが強いとこういう効果がある。外しても拾ってくれる。
だから思いきり打てる。
私も笑顔になった。
攻撃の勢いは止まらなかった。
またもや面如技の攻撃で、こちらもパターンと化している、真詩子から私にパスが通り、背中に
4番さんを背負い、私は周りの間合いを探る。
シュート、パスと選択肢が増えた分、私はめちゃ大変だったけど、相手さんも戸惑いが大きくなった。
パスを警戒してうかつに飛び込めない。でも私のシュートも怖い(希望)で、敵さんも慎重になった。
と言うことは私も動きやすいわけで。
「つかさ!」
真詩子じゃない。さっきの6番さん。今はマークも付いているから、フリーじゃない。でも、一瞬敵の目が
そちらに向く。ぴたりとくっつく4番さんの注意も一瞬動いた。私の肩に掛かる圧力で、4番さんの重心が
左足に移動したのを感じた私は、すぐに右回転でくるりとターンした。重心を逆にかけていた4番さんは
一瞬動けないで、対応が遅れた。
私はすでにダムダムと二回ボールをついてドリブルシュート!
ぱさり。一瞬の隙をついて、お邪魔虫の付け入る隙を与えないスピードでシュートしました。
がんばったんです。
「ナイスシュート! つかさ!」
私も笑顔。絶好調?みたいな。と、
ぴー! と笛の音。敵さんの2度目のタイムアウトのよう。緊張がきれた。またしてもうまいタイミングだ。
引き上げる両軍選手。と、みどりが視界に入った。
(うっわー・・・)
顔に縦筋入りまくり。すっごい睨まれた。絶対にやばい、アレは! みどりさんの中学時代を知っている
だけに戦慄した。
「みどりをあそこまでにするなんてね、全く、あなたは・・・」
ため息混じりに、でもちょっとうれしそうにそう声をかけてきたのは4番さん。
青ざめながら、私も4番さんを見た。
「みどりのあの癖って・・・まだ治ってないんですか?」
4番さんは一瞬きょとんとして、くすっと笑った。あ、笑うと結構いい笑顔だ。
「あんな面白い癖、簡単に治るわけないじゃない」
そういって4番さんも自陣に引き上げていった。
私は一人呆然と立ちつくす。
「治ってないんですね・・・」
涙・・・
つづく