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 面白くて楽しい英文解釈鑑賞  その1) 
     < Oh-kuni-nushi and Princess Suseri Escape>
  

スサノオの執拗な攻撃はまだ続きます。 でも、オオクニヌシはスセリヒメのアドヴァイスによって、厳しい試練をくぐりぬけることができました。 そして、最後はスサノオに祝福されて、根の国をスセリヒメと共に、脱出し、葦原中国の王者になって、地上を支配するようになります。 
英文
 Susano-o and Princess Suseri walked out on the plain. They thought that Oh-kuni -nusi had died, and the princess was weeping. But Oh-kuni-nushi popped out of the ground before them and presented the whiring arrow to Susano-o.
 Susano-o took Oh-kuni-nushe back to the to the palace. They went into a spacious hall, and Susano-o's hair. Princess Suseri gave her new husband some nuts and a clump of red clay. He chewed these up together and spat out the reddish chunks.
 Susano-o thought that Oh-kuni-nushi was biting the heads off centipedes and spitting them out. This endeared him to his new son-in-law. Trusting him now, he went to sleep.
 No sooner had he done so, however, than Oh-kuni-nushi tied the long strands of Susano-o's hair to the rafts of the hall. Outside he found a rock so big that five hundred men could not have moved it. This he used to block the doorway.
 
 
 和訳
 スサノオとスセリヒメは平原に向けて歩き出しました。 彼らはオオクニヌシがもう死んでしまった、と思っていました。 そして、スセリヒメは泣いていました。 しかし、オオクニヌシは彼らの前にひょこっと顔を出しました。 そして、スサノオがもってくるように命じたナリカブラ(矢)をスサノオに差し出しました。
 スサノオはオオクニヌシを宮殿へつれて帰りました。 彼らは広々とした部屋へ入って行き、スサノオが言いました。
「私の頭から虱を取ってくれ」 と。
 オオクニヌシは言われた通りに虱をとり始めました。 そして、スサノオの頭の中には沢山のムカデがいることを発見しました。 スセリヒメは自分の新しい夫にムクノミと一塊の赤土を与えました。 彼はこれらを咬みあわせて、赤っぽい塊を吐き出しました。
 スサノオはオオクニヌシが頭にいるムカデを噛んでいてそれらを吐き出しているものと思いました。 こんなふうに考えると、スサノオは 新しく婿になった男を愛しく思いました。 今や、彼はオオクニヌシを信頼するようになり、眠りにつきました。
 しかしながら、スサノオが眠ってしまうや否や、オオクニヌシはスサノオの髪の毛を 家の垂木に結びつけました。 そとにでてみると、オオクニヌシは五百人の男がかかっても動かせそうもできないほどの大きな岩がありました。 この岩を彼は戸口をふさぐのに使いました。 

 
感想
 死んだと思っていたオオクニヌシが 無事戻ってきたのに、またもや、酷い試練が待ちうけています。 それにしても、神代の時代にも、虱はいたのですね。 現代なら、考えられないような不潔きわまりないことです。 ここでの話はスサノオは虱を取ってくれ、といって、実はムカデでオオクニヌシを苦しめようとしていたのです。 多分一寸(イッスン)ムカデのことでしょう。 あれに噛まれると、死ぬかと思うくらい痛いんですよね。 しかし、髪の毛の中にムカデを飼っているなんて、どんな神だったのでしょう、スサノオは! この場合も、スセリヒメのアドヴァイスで、難を逃れます。 そして、スサノオは娘の婿として、オオクニヌシを認める気配がでてきました。 
 それを感じ取って、オオクニヌシはスサノオが油断している隙に、すぐには追ってこれないような細工をして逃げる用意をします。
 
英文
 He lifted Princess Suseri on his back and ran off, taking Susano's Living Sword, his Living Bow and Arrows. and his Harp of heavenly Voices. Unfortunately, as they were fleeing, the harp brushed against a tree. The sound it made reverberated behind them. Susano-o heard it and awoke.
 In a rage, he destroyed the great hall. But it took him some time to disentangle his hair, and Oh-kuni-nushi and Princess Suseri were able to escape. Susan-o chased after them as far as Yomi pass. From there he shouted to Oh-kuni-nushi in the distance:
 "Use the Living Sword and the Living Bow and Arrows to conquer your eighty brothers, then finish creating the land of mortal men. You shall rule this land. Take my daughter as your principal wife, and build a palace at the foot of Mount Uka. Build it on solid rock, raising the roofbeam high, even unto heaven !"

 
和訳
 オオクニヌシはスセリヒメを背中におぶって、逃げました。 そして、スサノオの持っていた生太刀(いくたち)と、生弓矢(いくゆみや)と天の詔琴(あまののりごと)をもちだしました。 不運なことに、二人が逃げる途中、竪琴が木に激しくぶつかりました。 鳴った音が彼らの背後で大きく反響しました。 スサノオはその音を聞いて、目をさましました。
 怒りのあまりに、スサノオは大きな家を壊しました。 しかし、結ばれた髪の毛を解くのに、時間がかかりました。 そして、オオクニヌシとスセリヒメは逃げることが出来ました。 スサノオは黄泉の比良坂まで彼らの後を追いかけました。 そこから、彼は遠くにいるオオクニヌシに向かって、叫びました。
「お前の腹違いの兄弟達をやっつけるのに、生太刀と生弓矢と天の詔琴を使え、そして、それから、人間の国(mortal=命にかぎりのあるという意味ですから、われわれと同じにいつかは死ぬ運命にある人間が住む国という意味でしょうか)を造り終えよ。 私ははお前にこの国を治めさせよう。 私の娘をお前の第一夫人としてあたえよう。 そして、宇迦山の麓に宮殿を建てよ。 宮殿を頑丈な岩の上に建て、天にまでさえ届く高い屋根の梁を建てよ」 と。
 感想
 スサノオの宝物である生太刀、生弓矢、天の詔琴を奪って、スセリヒメと共に根の国を脱出します。 運悪く琴が鳴ったので、スサノオが追いかけてきますが、いろいろ細工したおかげで、時間をかせげて、何とか黄泉の比良坂まで、たどり着きます。ここで、スサノオは はじめて、オオクニヌシを娘婿としてみとめ、地上の人間が住む芦原の中国の王者になって、国を治めるようにように、と励まします。
芥川龍之介の小説には、この箇所を次のように書いてあります。
 
「おれはお前たちを寿ぐぞ!」スサノオのミコトは高い切り岸の上から、はるかに二人をさし招いた。
 「おれよりももっと手力をやしなえ。 おれよりももっと知恵をみがけ。おれよりももっと、、、」
スサノオはちょっとためらった後、そこ力のある声で寿ぎ続けた。
 「おれよりももっとしあわせになれ!」

 ここで、スサノオたちが住んでいた「根の国とはどんな所だったのでしょう。
いろんな説があるようですが、私なりの解釈を図にしてみました。

高天原
        葦原中国 
        |
<黄泉比良坂>
根の国
黄泉の国
黄泉の国は 物語の最初の方に出てきた火の神を生んだために死んだイザナミが住んでいる「死者の国」です。 イザナギが命からがら逃げてきた恐ろしい世界です。 ここでつくられた食べ物を口にしてしまうと、二度と、この世、つまり地上の葦原中国には戻ってこれなくなります。 しかし、根の国は黄泉の国とその入り口を「黄泉の比良坂」のところで一つにしてはいますが、黄泉の国のような陰湿なイメージはなく、地上の国とほぼ同じ暮らしをしているようです。 したがって、黄泉の比良坂を通過しさえすれば、地上に出られるしくみになっています。 
スサノオはオオクニヌシに、地上にでて、国を造り終えるように励ましました。

 英文
 Oh-kuni-nushi had no trouble conquering his eighty brothers with the Living Sword and the Living Bow and Arrows.
 Later he brought his first wife, Princess Yagami, to live with him in his palace at the foot of Mount Uka. But Princess Yagami was afraid of the jealous Princess Suseri. She soon returned to her home , leaving her infant son wedged in the fork of a tree.

 和訳

 オオクニヌシは難なく生太刀と生弓矢と天の詔琴で、ヤソガミたちを征服しました。 
 後になって、オオクニヌシは最初に結婚したヤガミヒメをつれてきて、宇迦山の麓にある宮殿で、共に暮らしました。 しかし、ヤガミヒメは嫉妬深いスセリヒメを怖がっていました。 彼女は生まれたばかりの幼児を木の股の割れ目のなかにはさんだまま、実家にもどってしまいました。 

 感想
 オオクニヌシは因幡の白兎を助けたときに、ヤガミヒメと結婚していたのでしたね。 しかし、第一夫人となったスセリヒメは、とても嫉妬深く、きつい性格をしていたので、恐ろしくなって、生まれたばかりの幼児を 木の股に挟んだまま里に逃げ帰ってしまいました。 スセリヒメはあの性格の強い、豪放豪胆なスサノオ娘ですから、きついのは当然でしょう。
  

 

次回は<Sukuna-bikona>をとりあげます。 お楽しみに。

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