行列の分割

定義(分割行列,ブロック) 行列Aを何本かの縦線と横線で分割すると,Aはいくつかの小さい行列に分割される.このようにして得られる各行列をAのブロック(block)または小行列といい,分割を施された行列を分割行列という.
分割行列Aを
とする.小行列 A11,A12,A21,A22
としたとき,これらはAのブロックで,
と表す.これを,Aの分割表示という.
定義(分割の型) 一般に,(m,n)行列Aを p−1 個の横線と,q−1 個の縦線で,pq 個のブロックに分割したとき,上からi番目,左からj番目のブロックをAの (i,j) ブロックとよぶ.このとき,ブロックAi1, ... , Aiq はすべて,行の数が同じで,ブロック A1j, ... ,Apj は,すべて列の数が同じである.Aの (i,j) ブロックが (mi,nj)行列であるとき,自然数の組
(m1, ... , mp; n1, ... nq)
を,Aの分割の型という.明らかに,m1+・・・+mp=m,n1+・・・+nq=n,である.
命題(分割行列の積) 分割の型が (l1, ... , lp; m1, ... mq) である (l,m)型の行列Aと 分割の型が (m1, ... , mq; n1, ... nr) である (m,n)型の行列Bについて (i,j)ブロックを,それぞれ Aij,Bij と書く.このとき,積ABは (l1, ... , lp; n1, ..., nr)型に分割したとき,その(i,k)ブロック(AB)ik
である.

このことから,分割行列の積は,各ブロックを行列の成分であるかのように対応させて考えると,行列どうしの積と同じように計算できる.
証明? (AB)ik を成分で書き下したとき,どんな式になるか,頑張って考えましょう.右辺も同様に頑張りましょう.同じになるはずです.無理そうだったら,線形代数の本で調べましょう.
定義(対称分割) 行列Aをn次正方行列とする.このとき,Aの (n1, ... , np; n1, ... np) 型の分割を,(n1, ... , np) 型の対称分割という.ここで,A11,...,App対角ブロックといい,対角ブロック以外のブロックを非対角ブロックという.
定義(ブロック対角行列) 対称に分割されたn次正方行列Aについて,非対角ブロックがすべて零行列であるとき,Aをブロック対角行列という.