固有値,固有ベクトル

■ 固有値

K上の線形空間Vの中の線形変換Aについて,方程式
(1) A(x)=λx , (xV)
を満たすような λK とベクトル x(≠0) が存在するとき,λを写像Aの固有値(eigenvalue)といい,ベクトル x をλに属する固有ベクトル(eigenvector)という.xがλに属する固有ベクトルであれば,
A(cx)=cA(x)=λcx  (c≠0)
となり,cx もλに属する固有ベクトルであることがわかる.ここでは特にAが行列の場合を中心に考える.(1)式を変形すると
(A−λI)(x)=0
となるが,この式で (A−λI)-1 が存在したとすると,両辺にかけたときに x=0 となってしまい,仮定に反する.λがAの固有値であるためには Ker(A−λI)≠{0} である必要があり,またそのときに限る.
定義(固有空間) Kn A:Kn→Kn,λK に対し,
E(λ)={xn|A(x)=λx}
とすると,E(λ) は Kn の部分空間となり,固有値λに対する固有空間(eigenspace)という
定義(固有多項式) 行列Aと定数λ,ベクトルx(≠0)について,
φA(λ)=|λI−A|
固有多項式または特性多項式(characteristic polynomial)という.λがAの固有値であるための必要十分条件は φA(λ)=0 であり,この式を固有方程式または特性方程式(characteristic equation)という.
定理 VをK上の線形空間,TをVの線形変換とする.Tの異なる固有値に対応する固有ベクトルは線形独立である.
証明 β12,・・・,βk を互いに相異なる固有値として,x1, x2,・・・,xk をそれに対応する固有ベクトルとする.いま,x1,x2,・・・,xkが線形従属であるとすると,x1,x2, ・・・,xi-1は線形独立であるが,x1,x2,・・・,xi は線形従属であるような i (2≦i≦k) が存在する.このとき,xix1,x2,・・・,xi-1 の線形結合として
xi=c1x1+c2x2+・・・+ci-1xi-1
と表される.この両辺にTを作用させると,

   Txi=βixi=c1βix1+c2βix2+・・・+ci−1βixi−1
=c1β1x1+c2β2x2+・・・+ci−1βi−1xi−1
となる.従って,
c11−βi)x1+c22−βi)x2+・・・+ci−1i−1−βi)xi−1
となる.仮定から x1, x2, ・・・ , xi-1 は線形独立なので,
cjj−βi)=0 , j=1,2,・・・,i−1
ここで,βi≠βjより,
cj0 , j=1,2,・・・,i−1
このとき,xi0 となり,仮定に反する.