不動点定理

■ 縮小写像

定義(不動点) 空間Xの中に定義域および値域をもつ写像Fについて
Fx=x  (x∈X)
を満足する x をFの不動点(fixed point)という.
定義(縮小写像) ノルム空間Xの部分集合X1およびX2について,写像 F:X12
‖Fx1−Fx2‖≦r‖x1−x2‖  (x1,x2 ∈X1 , 0≦r<1)
を満たすとき,Fが縮小写像(contraction)であるという.このとき,rは x1,x2 によらないものとする.

■ 不動点定理

定義 Sをバナッハ空間Xの中の空でない閉部分集合であるとする.このとき写像 F:S→S が縮小写像であれば,Sの中にFの不動点がただ一つ存在する.
証明 (一意性)x,x' がともにSの中の不動点であるとする.このとき,ある 0≦r≦1 に対して,

   ‖x−x'‖=‖Fx−Fx'‖≦r‖x−x'‖

となり,条件より,

   ‖x−x'‖=0

である.従って x=x' である.

(存在)まず,ある x0∈S に対し,xn(n=1,2,・・・) を xn=Fxn-1 とする.仮定より,{xn}n∈N はSの中に存在し,
   ‖xn+1−xn‖Fxn−Fxn-1
r‖xn−xn-1
r2‖xn-1−xn-2
・・・
rn‖x1−x0‖  (n∈N)
となり,0≦r<1 より,

    

となり,絶対収束から

    

が存在する.従って n→∞ としたとき,x=Fx となる x が存在することがFが連続であることからわかる.