逆行列
■ 逆行列
定義(逆行列)
正方行列Aに対して
AX=XA=E (Eは単位行列)
を満たす正方行列XをAの
逆行列であるといい,しばしば A
-1 と表される.
定義
逆行列が存在する行列を正則行列(regular matrix,non-singular matrix)といい,逆行列を持たない行列を特異行列(singular matrix)という.
命題
正則行列Aの逆行列が存在するとしても,ただ一つしか存在しない.
証明
X,YがどちらもAの逆行列であったとする.このとき,行列積の結合則から,
X=XE=X(AY)=(XA)Y=EY=Y
となりX=Yが得られる.
定理(逆行列の基本性質)
逆行列の基本性質として,次のものがある
(1) AA-1=A-1A=E
(2) (A-1)-1=A
(3) (AB)-1=B-1A-1
(4) (AT)-1=(A-1)T
ただしA
T はAの転置行列を表す.
証明
(1),(2)はそれぞれ定義より明らかである.(3)については,
(B-1A-1)(AB)=B-1(A-1A)B=B-1B=E
および,
(AB)(B-1A-1)=AB-1B(A-1)=A-1A=E
より示される.(4)は,
AA-1=A-1A=E
の転置をとると,
(AA-1)T=(A-1A)T=ET
(A-1)TAT=AT(A-1)T=E
となり得られる.
命題 正則行列A,Bが交換可能のとき,A-1B,AB-1,A-1B-1 はいずれも交換可能である.
証明
BA-1=A-1(AB)A-1=A-1(BA)A-1=A-1B となり示され,他も全く同様である.
定義(ユニタリ行列)
A*A=E (E:単位行列)となるn次正方行列をユニタリ行列(unitary matrix)という.