逆作用素

定義(逆作用素) Tを有界作用素としたとき,
TS=ST=I
となる作用素SをTの逆作用素(inverse operator)という.
定理(逆作用素の存在) X,Yを線形空間とし,TをXの部分空間DからYへの線形作用素とする.このとき,Tの逆作用素T-1が存在するための必要十分条件は
(1) Tx=0 ⇒ x=0
となることである.
証明 まず,T-1 が存在したとすると明らかにTは1対1である.また,x=0 のとき Tx=T0=0 より,(1)が成り立つ.すなわち,必要性が示された.次に,(1)が成り立つとする.このとき,もし
Tx1=Tx2
とすると,Tは線形作用素なので,
T(x1−x2)=Tx1−Tx20
となり,(x1−x2)=0 である.すなわち x1=x2 である.これは,Tが1対1であることを表している.すなわち,T-1 が存在する.
命題 T,Sをバナッハ空間Xの中の有界作用素であるとする.もしT,Sの逆作用素-1,S-1 が存在すれば合成作用素 T・S の逆作用素
(T・S)-1=S-1・T-1
が存在する.
証明 仮定から,
T・S(S-1・T-1)=T・(S・S-1)・T-1=T・T-1=I
となり,全く同様に,
(S-1・T-1)・(T・S)=I
となり,示される.