正規直交系

正規直交系

定義(直交系) 内積空間Hの部分集合Sで,0 を含まずその任意の異なる2つの元が直交するものを直交系(orthonormal set,orthogonal system)といい,さらにすべての元のノルムが1であるときは,特に正規直交系(orthonormal syatem,orthonormal set)という.すなわち,Hの加算個の部分集合{x1,x2,・・・}について,
(1) k=1,2,・・・ に対して,‖xk‖=1
(2) (xi, xj)=δij i,j=1,2,・・・
が成り立つ場合である.ただしδijクロネッカーのδ(デルタ)記号(Kronecker's symbol,Kronecker's delta)といい,
デルタij=0(i≠j)=1(i=j)
で定義される.
定義(正規直交基底) 可分なヒルベルト空間Hの正規直交系{xk} (k=1,2,・・・} に対し,任意の x∈H に対して係数の列 a1,a2,・・・ が存在して,
が成り立つとき,{xk} (k=1,2,・・・) は正規直交基底(orthonormal basis)または完全正規直交系(complete orthonormal system)であるという.この場合,Hの任意の元は正規直交系{xk} (k=1,2,・・・) の元の一次結合で表すことができる(正確に近似できる)ことになる.
定理(ピタゴラスの定理) {xn} (n=1, 2,・・・, N) を内積空間Vの中の正規直行系であるとする.すべての x∈V について
が成り立つ.これをピタゴラスの定理(Pythagorean theorem)という.
証明 いま
と書き換えて考える.内積の性質から
となることがわかる.このことから以下の等式が得られる.
よって定理が示された.
命題(ベッセルの不等式) {xn}(n=1,2,・・・) をヒルベルト空間X上の正規直交系とすると,任意の x∈X に対してベッセルの不等式(Bessel's inequality)
が成り立つ.
証明 ノルムを内積で表して展開すると



となり,n→∞ として移項するとベッセルの不等式が得られる.{xk} が完全であれば等号が成立する.

フーリエ関数系

p(I) I=[-π,π] 上の関数の列

   

は正規直交系をなし,基底となっている.これをフーリエ関数系という.