街頭の下

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私は仕事場までバスで通っている。
バス停までは自転車でいくのですが、そのバス停での話。
2年くらい前の夏の事だ。
   
私がちょっと残業で遅くなったある日。
バス停から自転車置き場までの道に「彼」はいた。
初めて見たときはケンカか事故にでもあったのかと思った。
彼はバス停から少し離れた所の電話ボックスの近くにうずくまっていた。
黄色のTシャツとジーンズの茶髪の若いお兄ちゃん。
Tシャツは少し血でよごれていて、ジーンズも膝がやぶれて血が滲んでいた。
ペタリと地面に腰を落として左足を立てて、その左足に身体を預けていた。
うつむいていたので顔は見ない。
ただ、何かあったのは確か。
私はちょっと怖かったので、そそくさとその場を後にした。
でも、彼は次の夜も、その次の夜もその場所にいる。
その時初めて彼が生きていない事に気が付いた。
それからはあんまりその場所を見ないようにしている。
  
彼はまだそこにいる。
最近は前ほどはっきり見えないような気がする。
何かうっすらとしている。
彼が何故ここにいるのかは分からない。
そこではそんな男の人の事故はなかったはず。
それとも、どこか別の場所で死んでしまって迷ってしまったのか?
それとも、私の知らない間に事故があったのか?
   
なんとなく寂しそうな彼がどこに行くのかは知らない。
うつむいた彼がその顔を上げる日が来る事はあるのか?
いつも思う。
彼がその顔をあげて、目を合わせてしまったらどうなるのかな・・・と。
   

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