弁天岩の岩場はフェース系の登攀ゲレンデである。一般ルートのグレードは三級から五級+、ルートを選べば5.12の選択も可能だがクライミングシューズを持って来なかったので、そちらには今日は用なし。
一番易しい中央の左ルートを最初に登る。易しいはずだ。だがなかなかそうは行かないのが常ってね。
途中、足をおけるスタンスの箇所が二箇所くらいあるが、以前は確保に十分使える灌木が育っていた箇所で、岩の隙間に青大将が棲んでいた時期もあったのだが、確保の時に雑に扱うクライマーの所業に耐えかねて灌木は枯れ、そうなると邪魔ということらしく、根こそぎ引っこ抜かれて跡形も無くなってしまった。当然ながら蛇も逃げ出した。そこからの三m程が確保用ロープが無かったら、上には登れなかったのでは無いかと感じるほどに今日の最初は難しかった。そして松の木の根っこからフレークした岩が伸びていた部分にさしかかる。その松の木も、フレークした岩も今は無く、のっぺりとしていて、ここも確保無しだったらビビッてしまいそうに難しく思えた。傾斜が落ちてようやく一本目が終わる。
二本目は中央の右だ。左よりも少しだけ難しいのだが、一本目で感触が掴めたらしく、あっさりと登る。三本目は右のクラックルート。出だしの二本目の足が上がらず、少し緊張したが、上から確保されていると思えば易しい。四本目はクラック左から二本目のルートに合流するルート。出だし部分が少し難しい。五本目はクラックルートの右フェースで細かいホールドを拾って登るルート。
登ると直ぐに下降するのを繰り返す。エイト環が冷める暇なく、あんまり暑いとロープが痛まないかと気にかかる。手に持てる位になるまで下降を待つ時間が休む時間になる。
日にあぶられ熱気がむせかえるような岩場にいれば汗も吹きだすが、かまわず以上をもう一度繰り返す。
最初にビビッて上ったルートも二度目となると
「こんな場所確保いらねえや」
ってな気持ちになるから、人間の気持ちって変わるのが速い。実際、三十年前にはこれら一般ルートはザイル無しの登高に加えて、下降もザイルなしで行って怖くは無かったが、今はさすがにそれは出来ない。
そうして登高を10回繰り返して
「本ちゃんルート一本分おしまい」
って切り上げる。中央左の横のムーン・サルトは見るだけにして、その右フェースの5mを仕上げに一回だけ登る。二歩くらいだけがやや難しい5.9 ロープに頼り切ってだが運動靴にしては上出来だ。
自転車の荷籠に入れてあった水を飲んで水分補給もクライミングも終了。岩場にいたのは90分。文字通り人っ子一人いない、通りかかる人もいない独占占有でその場を使わせていただき、みなさん、ありがとう。
帰りに農家の庭先に並べたばっかりの瓜・ニガウリ・トマトを買い荷籠を山道具と野菜で満載にしていざ帰還。
弁天岩でもナメリ岩でもどっちの地名でもいい。不便がありゃべつだが、そうじゃなきゃあ好きな方を勝手に使うだけだ。
さて、9時半に自宅に帰るとせっかくの休みである。ビール一杯飲んで一休みして酔いが覚めたころ歯医者に行こう。
のんびりとした休みの一日を算段したが、これが後半は大間違いだった。
缶ビールを一本飲んでテレビつけっぱなしにうとうと昼寝していたら、雷鳴が聞こえた。
まだまだ遠いな。
そう考えていたらつけていたテレビがプチッと切れた。直ぐつながるだろう。雷による瞬停なんて良く有る話しで、東電が送電系統切り替えるのにかかる一瞬だけ停電で・・・・・・
ところが電気がつながらない。遠かった雷鳴が近づいてきたかと思うと、家の四方八方の方向で炸裂音を発するようになった。それでも数分で済むんだったら。。。。
30分経っても電気がつながらなかった。そうすると別の事が気になってきた。仕事場の冷凍庫である。−48℃保管の貯蔵品がそれ。マグロなんかだったらうまく処理すれば最凍結処置も可能かも知れないが、コッチのは一度解凍したら組成が変成し、二度と使えなくなる。金額は数百万円分だ。
その金額も痛いが、問題はその金額ではなく、もしもそいつがダメになった場合には代替が可能な資材は無く、資材の手当がかなうまで生産活動を停止せざるを得なくなる点である。休み明けに新たに注文出して、それが納品できるまで製造出来ない!!!。8月は全く生産停止かも!!! そう考えれば資材そのものの代価数百万円は大した問題ではなく、必要なものを確保出来るか否かが問題なのだ。今日から生産も購買部門も夏休みでだれもいない。大至急冷凍庫の状態を確認し、必要なら担当者を非常招集して納入元に注文をかけなければ・・・
製造元が、もしも夏休み中だったら、無理を承知で稼働をお願いするか、停電の無かった地域の納入先(たいていは競業会社だから断られるのを覚悟で)から物品を借りる手配を・・・・
まずは工場に電話して状況を確認して。。。ここまでは良かった。
だが・・・・・・
おっと、これもまずいことに夏期休業を利用した構内PHSシステムの切り替え工事中で電話が受付にも保全部門につながらない。
そうなれば、出向くより手がないジャン。のんびり休みのアルコールが一気に抜ける。
外は雷鳴が響く。あわてて飛び出して酔っぱらいが雷に当たったんじゃ笑い話にもならん。
タクシーを呼び、乗り込む。土砂降りの雨。近所では信号機も停電で機能していない。
パトカーのサイレン音がうるさい。先行き危うし。
ところが、全ては杞憂だった。会社に近づくと信号が機能している。家々の照明も灯いている。
警備員さんに「停電は?」って聞くと「瞬停はあったけど」って怪訝そうな返事
せっかく出社したんだから念のため、冷凍庫を確認する。その他の設備の警報履歴も一応確認する。一切問題なし。
そんな事やっていたら、歯医者さんの予約時間が迫ってきて遅刻の連絡を行う羽目に陥り、交通費費なしの治療費200円の予定がタクシー料金■千円の大出費の通院に汗だくとなった。
全く踏んだり蹴ったりさ。
せめて会社へのと歯医者へのタクシー代を会社に請求しよう。でも最近経費節減って厳しいので、いい顔されないかも。せいぜい認めて頂けるよう粘りましょう。
東電さん 自然災害だから恨みはしませんが、なんとかなりません。日本の電力操業は世界に冠たるものなんでしょ。
マシラのHP