
朝は明けたが車は無し。自転車を広沢寺の駐車場に止め、愛宕神社の横からの見城山への登山道を確認したら歩き出す。大釜弁財天参道(右岸に弁天の森キャンプ場までの林道ができてからは全く使われていない)の案内標柱が立つ横の家から人がいなくなって何年だろう。畑が転じて栗の林になり、それが懐古復活だとかで棚田として整備中だ。
不動尻への道
杉の大木が道路の両端から覆い被さっている部分は防災のための土留め工事が進行中だ。その工事のために並木が切り倒され見通しが良くなり周辺の木々の様子がわかる。枝打ちが高いところまで丁寧になされ、すくっと立つ大木が何本もあるのを見るのは気持ちが良い。良い仕事しているなと思う。
大平石切場跡
その上の廃屋&廃屋跡に合わせて二軒ある。畑の周囲には食害防止の柵があるが中は草ぼうぼうに放棄されている。横の大石の上に小さな石祠が周囲を黙って見渡しているの寂しい。往時には石屋の集落(5〜6軒)がこの場所にあったのが今は昔の話し。
ゲート
「不法投棄は止めましょう」
鳥の声と遠くのせせらぎの静寂に包まれて歩いているのに、センサーが機械仕掛けが条件反射のごとくに動く物を感知すると警告を浴びせる。人はいないと思っているときに突如として鳴り響く機械の言葉は女性の声であってもドキッと心臓に悪い。画像処理技術が進んでいるんだから、せめてマシラは除外してくださいとのお願いは無理なことなんだろう。
不動尻
管理棟跡前で分岐する流れの左側沿いの道に入る。二つくらい砂防堤を眼下にして歩くこと5分で不動尻の滝につく。落差は5m程の小滝だが水量豊富な石を舐めるように流れ下る様は何度見ても飽きがこない。(既出) しかし、この水は大半が伏流水であり、この場所より遠くない三箇所の噴出帯を通り越すと沢は全くの涸れた状態に変転する。このように水の流れている地点と無い上流がこれほどくっきりと分かれるのを目視出来るのがこの沢の特徴だ。今日はこの流れの左俣(?)となる。
不動の滝から歩くこと5分で白滝がある沢の出会いがナメ状になって右側から合流する。その滝を眺めつつ3分ほどで次に8m滝が垂直な岩を一気に下って合わさる。この二つはいずれも幅広な沢に小さな間口で合流するので支流のように見えるが、どれを取ったって、いずれが本流であるなんて言うことが意味なさない小さな沢である。だから仮に右俣(白滝がある流れ)・中俣(8m直瀑)・行こうとしているのが左俣としておく。どれもこれも出会いからしばらくの滝のある部分が山を越えたところにある唐沢川からの伏流水がわき出す場所だ。だから豊富に流れる水もそこまでで、それより上流は一気に貧弱な水量となってしまう。
中俣を少しだけ登り、湧水帯を見てから左俣に戻る。
左俣
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左俣のゴーロを行く
石ゴーロをしばし行く。河原石の間に這える茨が多く歩きにくい部分もあるが、200mも歩くと最初の滝である。唯一の水の流れる滝であり、湧水帯にあたるナメ状の7m位の滝だ。スラブの割れ目から水が噴き出し、傾斜角70°くらいだろう。清水に磨かれているからか、濡れている部分のグリップは利くように感じる。下部は流れの右側からフリクションを頼りに登り、中間点からは左の凹状部に移る。そのための右から左にハンドトラバースできる節理が一本備わっている。指がしっかりかかるので難しくは無いが、暖かい日差しの下だが、湧き出す水に浸かっている手は冷たく、足のフリクションの一番良さそうな場所を探して止まっていると下半身にも水がしたたってくるので辛い。凹状部も明確なスタンスはないので、小さな石礫の出っ張りに左右に突っ張るように荷重して登る。下半身はしみこむ水に濡れてしまう。下が滑り台状なので落ちても大けが無しと思っているが、傾斜が現状より少しでも高かったら、まず確保なしではマシラには登れない滝だと思う。落ち口横の噴流口に口を着けて湧き水を飲むとホット気が抜ける。
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7mのナメ滝(傾斜は見た目よりきつい 高度差も上と合わせると10mは越える) 水が岩の割れ目から噴出する滝である
だが、気を引き締めねばならない地形が暫く続く。
続く狭いV字状溝を10m登る。傾斜は緩いのでカンタン。ただしV字の先は右側面のスラブ岩が10mの壁になっていて手がかりが少ないので登れない。どん詰まりの凹状部なら登れるかもしれないが、上部を横に横断する部分が不安定そうに見えるので軟弱な心はそこもあきらめる。
V字を下の滝付近まで戻り、岩の下縁のブッシュをつないで上に上がり、落ち口と同じ高さまで上がってからスラブ岩上縁を横断して落ち口にトラバースする。格別に難しいわけではないが、岩の上に形ばかりに薄く着いた泥の上を歩くのだが、春先の水分をたくさん含んだ泥に一歩進む度に「グニュ」と足が取られ、「アッ危ないッ」となる。10m下の沢床までは何もない一気なので気が抜けない巻き道である。
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8m+4m二段 涸滝(正面の傾斜はきつい)
続くは、8mに四歩くらいの間をあけた4mに二段滝が続く。この部分までは一度来たことがあるはずだが、その時はついでにと歩いたからだろうかか、その時の情景はまるで思い出せなく、初見の沢を歩く気分である(2001/06/03)
滝の水は涸れて、底の部分が僅かに濡れている程度。その8m滝は傾斜はきつく高度感もある。岩には節理が入りグラグラする。うっかり体重を掛けたら岩ごと剥がれ落ちそうな感じが濃い。ただし、その分だけホールドは豊富だから、浮き石を掴まないよう注意し、下は見ないことで高度感をごまかして登る。上の4mは苔の這えた部分を登ればよい簡単なもの。
次は緩い10mの滝だ。ただし下部の4m程は立っている。岩も浮いているので慎重に登る。
最後に8mの緩く傾斜度は50°くらいの岩畳状態で、これくらいがマシラには手頃で良いと思う。
そこからは石のゴーロである。右手に大きめの涸沢が別れ、徐々に急になる中をタダ歩数を数えて、ひたすら歩く。途中、大きな石が何カ所か沢を堰のように止めるが、歩みを止めるほどの障害ではない。
そして上の稜線が気になる頃に大きな岩塔が左右のルンゼに沢を分ける。右も左も凹状溝を通過しないとならないが左手の方が急だと思う。その左手に入る。5m程の凹状を越えると、一歩だけ間を開けて狭いV字ルンゼの登りが更に10mは続く。そしてV字の角度が大きく開け傾斜角も幾分は落ちるがるが、左右の突っ張りが利かない分だけ登るのは難しい。砂のまぶされた岩床を滑り落ちないよう岩に爪を立ててしがみついて10m登ってから左手の灌木帯に逃げる。灌木に寄りかかり下を見て「ヒューゥッ」と息を吐き出して、振り返えり三歩歩くと尾根道である。いきなりの登山道にさっきの嘆声に続いて、今度は「ウウッ」とうなる。もう5分はあえがないと道には出ない目論見だったのだ。そこから唐沢峠〜大山の登山道までには2分ほどかかった。
その2分間登ってきた道を戻り。大沢分岐では日向薬師方向に入り(梅の木尾根と称するのかな)一箇所目の大釜弁財天への道を通り越し、弁天の森キャンプ場周回道(案内標識はない)を見送り、日向山へ行く。この辺りは丸太で階段が作られている。子どもが小さかった当時(20年ほど前か)この付近は何回も歩いたが、丸太階段など無く、どちらかというと踏み跡に近かったが歩きやすかったのだが、大勢の人が歩くとなると放っておくと道が掘れ、岩が剥き出しのがたがた道になるから、それを防ぐとしたら丸太階段道も必要悪と言うところだろうか。
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見城山ピーク下から眺めるナメリ岩(弁天岩) クライマーが岩の基部に群れる
更に見城山へと歩く。見城山なんていう地名は目新しいが、頻繁に弁天岩に通っていた当時に下から何回か、このピークには登ってきたことがある。山頂直下に大きな岩があり、そこに桜の木があって、その木の根元の岩の上でトカゲを決め込み昼寝をしたことを覚えている。でも、今日きてみれば、その時の岩も桜もどこがどこだか見当がつかない。
おかしいな あの桜だったら見失うことは無いはずだが、辺りが切り払われていることから、整備に合わせて木は切り倒されたのかもしれない。そんな以前の記憶もあることから最近整備されたという道もあるが、ここまで来れば、この地点からダイレクトに弁天岩に下降しない手はない。山頂を通り越し、少し下った地点で鹿柵を乗り越えると、下にナメリ岩が小さく見える。小さな瘤状の尾根が交錯して横断を繰り返しながら下降していくと遠くに見えていた岩は、思ったよりも近く、下からクライマーの声が聞こえて来るまでにいくらも時間はかからない。そして対岸の岩場の10m上流で林道に降り立つ。川向こうのナメリ岩にはたくさんの人が群れている。ただし登っている人より、登っている様を下から眺めて暇つぶししているクライマーの数の方が圧倒的に多いのは、人のたくさん集まるゲレンデで見られる一般的な現象だと思う。
その対岸の岩場(林道の脇の岩場)ではギャラリー(これも仲間の外人さんだろう)をたくさん引き連れて外人さんのご一行が5.10a(正面)と5.10b(右の岩の剥離部分)をトップロープで登り、剥離ルートは可愛い女の子がトライしていた。彼女、下から8m迄は笑いながら余裕だったが、その上で詰まった。このルートは中間部に道路を拡幅する際に岩を砕いた部分があり、そこが小ハングになっていて、その三歩が難しいんのだが、そこにさしかかってからは「オー・マイ・ゴッド」の金切り声が繰り返えされる。マシラは、その声を聞いてもクライミングをエンジョイしている叫び声だと感じていた。他の下で見ている外人さんも、きっとそう思っていたのだろう。右だとか左だとかのんびりとアドバイスしていたが、腕力がつきている本人は相当に怖かったんだろうと思う。登れずにザイルにぶら下がって降りて台地に足が着いたトタンに大泣きになってしまい、マシラでさえも「ドンマイ・ドンマイ」と肩をさすって上げなくちゃならならないほどだった。もちろん日本語でだがね。
春は暖かい。止まらない泣き声を後に自転車デポに引き上げる。
注:今回の識別名を不動尻の沢左俣(マシラ仮称)としたことで、従来 左俣としていた流れは中俣と変更します。
不動の沢(中俣) どっちにしてもマシラの命名した仮称だから、気にするほどの事もないでしょうけれども!
自宅5:45〜広沢寺駐車場6:20自転車デポ〜不動尻キャンプ場跡7:05〜不動尻の滝7:10〜右俣(白滝あり)7:20〜中俣7:25_40〜左俣7m滝7:50〜岩塔下8:30〜登山道8:45〜大山〜唐沢峠登山道分岐8:50〜大沢分岐〜日向山9:40〜見城山頂9:50〜弁天岩へ下降 対岸の岩場上流10mの林道着10:05〜クライミング見物〜駐車場10:25〜ちんたら桜見物して自宅に帰る11:00 2007/04/07 町では盛りが過ぎたかもしれないが山里付近では桜満開な春うららかな一日でした。
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