
情けない。
見上げた大山の上に架かる雲行きが気になっただけで、急遽行き先を変更するんだものさ。
以前ならこんなの理由に行き先変更なんてしなかったのに。
おい、しっかりしろよ。
だけどさ。
天気の性にしたのはホントの訳を言いたくなかったからなんだ。みんなには少しだけ理由をチクッておくね。それは
当初のプランだと時間通りなら帰りのバス停着は夜中になってしまう。それを無視して、これなら行けるだろうという時間を積み上げてみてもベストが17時になってしまう。今の時期、カラスなら赤い夕日を背に背負って巣に急ぐ時間帯だ。実績からは決して無理ではないはずだけど、山の中で何が起こるかも分からず、途中で膝でも痛かったりして休憩せざるを得ない状態になることくらいは想定しておかないとまずいだろう。であれば一時間の余裕を設定して18時着くらいを考えておくのが順当なんだろうが、そうすると道を照らす灯りは持っていかないとまずいよな。
でもさ
持っていないんだライト。単1が四本入った避難用の大きいのだったら家に1個あるけど。そんなの持って行けないジャン。
えっ何
その懐中電灯ならストラップが付いているでしょう。袈裟懸けに掛けていけば無理じゃないですって
たしかに
でもさ 重たいジャン かっこ悪いジャン そんなの剥き出しにしてバス乗れないよう!
だから、どうしても日が暮れる前に歩き終えておく必要があるだけど、その自信がない。出かける前から実は迷っていたのだ。
そこに渡りに船だよね。天気が悪くなるだろうという良い口実ができたんだ。
都合の悪い事は胸中にとどめておき、元気よくかけ声をかけて
「それっ 転進 出発」
後で言った理由の方がもっと
「かっこ悪い」
なんて言わないでくれよな。
そんなだから、遠くに行くはずがない。近場……それもごく近場
上荻野のバス停で降りる。
神社の横の道を華厳山の方向に向かうと、左となりにある高取山もすぐに見えてくる。そしてプレーヤーが打つ球の音が「カツ〜ン」と弱い北風に乗って聞こえてくる。その向こうのグリーンでは四人組がパットに入りかけたが傍らを通るマシラが気になったらしく止まってこちらを見ている。
ゴルフ場の中を突っ切る細く流れる荻野川沿いの砂利の市道を華厳山方向に歩いていくと一番奥のホールの手前で川は右に曲がって山に入っていく。登山道は砂防堤の上で二俣に別れる川の中央に続く尾根に入っていくのがぞれだ。
今日はこの二俣で左の流れに入って華厳山の頂付近に登るのである。
ゴルフ場近くの里の沢だもの、大きな滝は期待しちゃあダメだぞ。
たぶん、藪っぽい流れに蜘蛛の巣がプラスしているような沢なんだろうな。
でもさ〜何かあるかもなあ
<写真削除しました 091115>
最初の小滝 2m×2段 フリクション良し!
だけどここでみんなに「ホラッ」と語れるようなモノは無かった。ほんとに
でも、自分流には「エッ」と声が出そうな事は幾つかあった。その幾つかをちょっとだけ紹介するね。
1.仕事道の整備
登山道入り口では登山道とは別に右側に経ヶ岳方向に登っていくと思われる木製土留め階段道が着いていた。経ヶ岳からは半僧坊に登山道が通じているが、頂上から登山道に入ってすぐに右側に別れて東に続く尾根をたどってくる位置の末端がここに当たる。
その道の事は話しの横に置いて
川に入って、しばらく歩くと左岸に仕事道があるのが目に入った。仕事道の常として入り口は一般の人が入らないよう目立たなく作ったらしく登山口では気がつかなかったが、仕事道と呼ぶのがもったいないくらいの1m幅があり、路肩には登山道で使われるのと同じ丸く削りだした丸太が組んであり、それが沢沿いにず〜っと延びている。
<写真削除しました 091115>
斜面に上がっていく仕事道(手前は炭焼窯跡)
この道を使うなら、どうせゴルフ場の奥の沢なんて藪にプラスして顔にかかる蜘蛛の巣を払いながらヌタヌタと進むというイメージしていたのとはまるで違う快適な沢沿いの散歩が楽しめるのだ。これは気分が良い。道は中流域までは沢沿いに進み、仕事道作業に使ったらしい”シノ”の入った作業用道具袋が丸太の上に残されていたところの砂防堤からは右の斜面を葛折れに延びていく。
おそらく華厳山〜用賀(頂上からゴルフ場まで延びる界尾根を本日の入り口迄つなぐ))への登山道に登っていくのだろう。
<写真削除しました 091115>
小滝 快 右側だ
2.小滝が幾つか
仕事道を歩いていると、正面に二段×3m=合計6mの平板滝があった。砂が表面に浸みだしたような岩なのでフリクションは良く快適に登る。
これで本日の滝は終了かなと仕事道をしばらく歩いたら下から小さく滝音が聞こえてくる。目をこらすと水が白っぽく見えて、さあと斜面を滑り降りると3mと小さいけれど滝がちゃんとあった。のっぺりしていたが3mの滝だから楽しんで登る。更にもう一つ2mくらいの滝が続く。フリクションはギリギリだけど落ちてもどうって事のない高さの滝である。足を上げて強引に登る。滝らしいのはこの三つだけで、あとは傾斜の落ちた岩床がチラッ・チラッと各所にあるていど。
沢はほとんどが岩床なので、不安定な石に足を取られるなんて不快なこともなく、思った以上に歩きやすい。また、すぐに消えてしまうんだろうと思った水も細々ながらも、ず〜っとつづく。
小滝 快 水を挟むように登る
だけど、そもそも登山道入り口の標識が華厳山までを「1.4Km」と示していたように流程が短い沢なのだ。仕事道が尽きてからそれほど時間がたたないうち流れは砂地に埋まり、その砂地を登りきると急な疎林帯に入る。しばらくだけ息が急になるが、小尾根状にのると直ぐに緩やかな登りの樹林帯になって程なく稜線にでる(華厳山山頂から高取山方向に下りきり平坦になった地点)
3.なんと高取山山頂付近の登山道は付け替えられていた。先ほどの仕事道と同じように道幅が拡張されていた。ひょっとしたら、その道とつながっているのでは、思わず工事の起点を確かめに歩く。
<写真削除しました 091115>
尾根に出ると 何と登山道が整備されていた。整備の目的は何?って疑問が沸くのだよ
今日の最大のサプライズがこれだった。
そもそも、華厳山から高取山・その先に関しては厚木市の市道である登山道があることになっている。ただし登山道としては整備されているようには見えず、踏み跡が少し広いくらいなものだった。
ところが、今日来てみたら広い道が出来ていた。全く知らなかった。いつ工事されたんだろうか。
戻って確認した起点は華厳山からの斜面が平坦になった吊り尾根部分からだった。
道は砂利採取現場のある谷間の反対側の斜面で尾根から僅かに下がった位置に設けられている。その道なりに進んでいくと高取山山頂が見える頃から山頂を無視するように降り出す。どこに行くんだろう。
「はは〜ん」
この道は砂利採取場を見せないようにして、山頂・発句石に行かせない為の市道の付け替えは道だな。その方が都合がよい人がいるんだろう。などと勝手に想像を膨らませてしまう。
工事理由はどうでもいいさ。この付け替え道の先がどうなっているなんてことには興味はないし〜。
発句石からの先の段差は一段と大きくなり、採取作業は本日も休み無しで進んでいて、ダンプにショベル・ローダの稼働音が鳴り響いている。土木建設業は青息吐息と聞くけど、県央地区では砂利の需要は土曜日に稼働停止する必要が無い程度にはあるのだろう。だけど仕事があることはいいことだ。工場は稼働してナンボだものね。
<写真削除しました 091115>
こんな道 知っている? 採石場のある華厳沢まで降る事が出来る。だけどその先は私有地だよ
下降は先ほど沢歩きを終了した地点付近まで戻り、登ってきた沢から尾根を横断して反対側の斜面に下って行く道だ。正確には横断ではなく、少しだけ尾根を挟んで位置がずれている。そこに砂利採取現場側に降りるらしい丸太の階段道があるのだ。
気がついた人いるかな。この道に。ちゃんとした道だよ。入っちゃいけないのかなあ。だけどさ 禁止の標識もないし!
階段は模擬コンクリの丸太製である。それが急な斜面にダダダッと延びて、ギュッと曲がって、更にダダダッと下る。何回か、そんな状態を繰り返してグングンと下っていく。
歩く人が少ないのか、流れてくる砂に丸太の大半が埋まっている地点もある。それにギュッと曲がる箇所には進路を示す丸太が無く道型が不明である。10mか20mかの短い距離なんだけどさ。そんな場所は行く手をちゃんと探らないと道を失う可能性もある。
だが、ともかくも急だが、下の谷間までは人が通ることを想定したコンクリ丸太階段道がきちんと着いているのである。(厚木市と清川村の境界に当たるのかな)
その道を降りきって着いたのは華厳沢だ。降りた地点の少し奥に倒木に埋まりかかった5m程の滝があった。それを見てから沢沿いに下る。
あたりを見渡しても、今までのような人為丸太のついた道はもうない。下るに従って一般的な仕事道は広くなるものだが、ここのは、いったいあの斜面の人の手が入った丸太階段道はなんなんだったのかといぶかしく思うほどに、かえって狭く細くなるようにも感じる。
それでも途切れることなく道は続き、それほど時間もたたないうちに見覚えのある台地に着いた。そこは前回にはあった休憩用テーブルセットは見あたらないが、砂利採取会社の採取現場の最奥に位置するダンプ休憩場である。採取&砂利生成現場が一望に見渡せる。
<写真削除しました 091115>
工場の中を歩かせていただく 採石工場見学だよ
さてと、ここから華厳橋までは厄介だぞ
だって、私有地なのだ。
「発破を掛けることがありますで部外者は絶対に立ち入らないでください」という表示があるのだから無断で立ち入ったらまずいだろう。
一旦は台地からブル道に従って降りかかったが、ダンプがこちらに走ってきたのを見ていったん引き返す。台地から右手に小尾根を乗り越すと先ほどの沢に戻れる。
その沢沿いに人の歩く道がついているのが分かった。ここは私有地ではないだろうと想定できた。だが、安心して歩けたのは、そこから300m程だった。下るに従って、沢は深くなり、左側から採石場が沢に押し出すように近づいてきて、ついには沢と採石所が一体化してしまうと、どうしても構内を歩くより手段が無い。まずいことに進行方向正面に事務所があり、そこから職員さんが席を立ち上がって、こちらの窓辺に寄ってきている。
何か言われるかな
なんて思いながらも工場の見学は嫌いじゃない。一応は現場のエンジニアの端くれだしさ。搬送系設備は得意中の得意さ なんて。ベルトコンベアがサイロのような塔に向かって縦横に走る構図は悪くはない。俺って最近よく言う”工場萌えオタク”かも知れないな!
職員さんが見ているのは知っているけどカメラを取り出して五六枚写真を撮る。返せと言われたら消去すれば良いんだからサアさ。
事務所下にさしかかったときに、予期したとおりに職員さんが出てきて
身が固くなるのが分かる。でも
「どうしたんですか」
「勝手に入っていただいては危ないですよ」
平身低頭
「すみません。そこの山から道を降ってきたらここに出てしまったんです。帰るだけなのでちょこっとだけ通して下さい」
「ダンプが走るんで華厳橋まで1kmありますが、どうぞお気をつけてお帰り下さい」
柔らかい物言いをする感じの良い職員さんで良かった。
何事もなくヤレヤレだ
バス停で時間を見ると3分後だったけど、歩きついでなので自宅まで歩いて帰ることにした。ユミコちゃんとの散歩道と一部重なるコースを選んでさ。
それでも11時少し前に家に着いたということは今日は本当に近場だったんだな。
過去の参考
荻野川右俣(おそらく沢名があるのだろうけど知らないので仮称である)
高取山採石所の端境の道(トラロープの道)今日の下山道とは別である。
自宅6:50〜バスで上荻野へ7:20〜二俣(登山道入り口)7:40〜左俣〜最後の堤(仕事道と別れる)8:15〜尾根に出る8:45〜新設道を確認するため付近をウロウロ〜高取山8:50〜発句石8:55_9:00〜戻って砂利採石場へのコンクリ丸太道入り口9:05〜華厳沢着9:15(採石場左側を華厳山に登りつめる沢)〜採石場見学台地9:20〜採石場事務所9:30〜華厳橋9:45〜飯山街道を歩いて自宅に帰る〜自宅着10:50 雨が降りそうでそうでもなかった午前中 結果的に歩くには最適な日だった。2009/10/24