平日に山に行った。
 23日勤労感謝の次の日のことさ。
 これって趣味では許されても会社人の山遊びでは許されないことだ。
 でも、山に行きたい理由があった。今、ここでは言えないが・・・

本棚45m涸棚上から望む富士山
 なんて言いながら口の軽いマシラである。
 少しだけならしゃべってもいいか!
 でも、やっぱり止めとこう。
 誰がどこで何見ているかわからん。
 万が一にでもちくられては割にあわん。
 (20行くらい書いては削除を二回繰り返す)

 ・・・泣く子と地頭には勝たれぬ・・・・・・

 それで、どうしても息を抜きたくなって
 産業医に「完璧に貴方自身が36協定違反」と言われたこともあるけど
 まっ そこは無責任なマシラ
 「たまには気分転換もいいな」
 とみんなを働かせながら、ちょっと前まで「俺は出社」と言っていたのを「明日は出ない」と翻し休みにしたんだ。
 だから、ちょっと後ろめたい。
 今日は早く帰って、夜にでも顔を出そう。そう思って家を出た。


 バス だれもいないと思いこんでいたが新松田で四人がのった。
 すぐに眠ったのだが、甲高く話す話し声で神縄付近で目が覚め、聞いていると「今日はユーシンまで言って玄倉渓谷の紅葉を見てから鍋割山へ」と言っているではないか。
 余計なお世話だとは思ったが「隧道通れないですよ」と教えたら、「だったらどうしたら良いんですか」と聞き返してくる。境隧道からユーシンへの旧道に入るか、県民の森から檜洞丸なんかどうですかねぇ なんて彼等の地図を借指さして示している間もなく玄倉に到着してしまう。運転手さんも降りる彼等に「隧道通行できないですよ」と念を押している。さて、彼等は今日一体どうするんだろう。言動からは強行突破もあるのかな。ちょっと甘く感じるけど良い大人だから、なんとか打開策を講じるだろうよ。

 そこからは一人

 今日は寒い

 ツツジ新道を歩くのは久しぶりである。
 道が東沢に降り始める地点から逆に斜面を登るのが東沢の奥に行く林道に乗るのには一番近いことは分かっているが、斜面に急なところがあったはずなので、それを避けようと、ポイントとなる坂前の手前から尾根に入った。しかし、少しだけ手前のつもりがずいぶんと手前だったらしく、タップリと尾根を歩くことになる。しかし下草もない秋のブナの林である。枯れ葉が心地よい音を出す量が登山道よりも大きくなっても、歩く速度は登山道と何ら変わらないだろうさ。鹿の群れを二回ほど驚かす楽しみも増す。

 林道に出ると、彼方に目指す本棚F1手前の「朱色の橋」が向こうに小さく見えてくる。その橋は見通しの利く林道からでも遠く感じるのだから、流れ沿いに砂防堤を越えていく本来のルートからだったら本棚は相当遠くに感じるだろう。しかし、砂防堤連続の河原道は好きになれずについつい近道を選んでしまうのだ。

 遠くに見えていた橋はは実際には30分ほどで達する。目で見たほどは遠くないのだ。さあ、ここからが沢歩きである。橋を渡り、ブル道を下って沢に入ると橋下に最初の棚がある。


 ところで東沢の水で濡らされる地点の岩はどの沢でもよく滑る。ぬるぬると滑る。平らでも一歩進もうと蹴り出すと反動がかかる反対の足までもが滑る。それくらい、全くよく滑る。滑る。安物運動靴で行く場合には要注意事項である。

 本棚の朱色橋の下の滝はFナンバー着いていない。傾斜もきつくはない。でも十分に滝だと思う。二段の中間に小さいが深い釜をもつ。
 岩は石英閃緑岩だが、水に磨かれた表面には薄く青黒い苔がこびりつき、これがよく滑る。フラットな足置き場だって、立っているからと思っても安心できない。反動をつけるとツルっと来るのだ。それでも傾斜が緩いから我慢できるが、こんなとこフリクションで大丈夫なんて両手を岩から離そうモノならスッテンコロリン間違いなしだろう。
 滝を越えると橋上はナメとなる。ただし、石英閃緑岩のナメと言ったら水に磨かれスラーっとした一枚岩が多いが、ここの沢のは最初から最後まで表面がゴトゴトしていてナメを歩いている気分には浸れないナメである。
 左に僅かな水量に支沢(仮称:信玄の隠し金庫の沢)を見て、少し歩くと岩を打つ水の音が聞こえてきてF1の12m滝となる。
 それほどの高さではないが両岸が高く広がり、一見8m程に見えるが、それは周囲の岸壁が高いから低く見えるのであり、12m程は確実にあるだろう。もちろん、こんな滝の直登はできることではない。それでも最初に来たときには流れの右横から取りつき、ブッシュと滝のコンタクトを登って落ち口に登ったはずなのに、滝下に立ってみれば、そのラインは今の自分にはそこが登れたなんていうことが信じられない程に絶望的に難しくに感じされるのだ。しかし、そのコンタクト部分を外すとなると、滝そのものを登るか、反対に苔の這えた90°を越える傾斜の一枚岩の右上方向だから、ザイルをつけ、ハーケン或いはボルトを埋めでもしないかぎり、とても登れるとは思えない。岩かブッシュが剥がれて落ち、以前に登ったと覚えている部分が険しくなったのかもしれないが、それらしき岩の剥離痕も見えず、でも、それ以外にラインが探せない。
<写真削除 あしからず091103>
F1 12m棚(今回は左から巻く 流れ右の巻き道にはとても入れない)
 二回目に来たときと同じに滝下のナメから左斜面に取りつき、滝側に張り出している5m上の立木に立つ。そこからは剥離した石が積み重なったような小リッジを登る。石には不安定なモノが多く、体の半分くらいの岩が二個ほど谷間に転がる。単独だから落石も気軽なものだが、豪勢に落下する様はパーティーならば後続にぶち当たったらと考えるとヒアヒアものだろう。

 左に小ナメで入り込んでくるカル沢の出会いにはケルンが積んである。今日の水量はカル沢5に本流1程度で、本流はいつもより少なめだと思う。そんな水流だけを見ていると明らかに本流はカル沢である(カル沢=ナメが幾つも続くが顕著な滝はなく、しかし涸れ滝の捲き道は危険でデリケートにバリケート。稜線に直接詰めるルンゼは落石発生時には避けるすべもないベリーデンジャランス)

 貧弱な右の流れ(本流)に入り、相も変わらず滑りやすい岩床を辿る間もなくナメの向こうに左右の斜面を前景にした 「本棚」 が見えてくる。

 「本棚」

本棚25m(今日の水量は少なめ)
 中川流域には本棚が二つある。西の本棚沢の本棚と東の本棚沢の本棚の二つである。二つの沢は西丹沢自然教室のあたりで中川に西と東からそれぞれが合流する。地形的には西のは登山道のすぐ脇にあり、落差も55mと文句なく丹沢を代表する屈指の名瀑だ。東はと言うと西ほど便利な場所にはないので幾分かは人の目に晒されることは少なく、高低差も25mと言われているようにやや低い。しかし、一枚岩がスッ〜と左右に上にと広がった様を滝下から眺めると、岩が上空に延々と延び、空にまで届くのではないかと見えるように大きな岩のすっきり様式を整えた見事な滝だと感じられるのだ。
 滝下から眺めると、その平面に刻まれた滝下左から徐々に右上の落ち口にまで続く岩の窪みがいともたやすく登れるんじゃないかと感じさせる。 しかし、マシラはこの棚をいまだ登ったことがない。さすがに25mと聞くと確保なしでトライするほどの剛胆さを持ち合わせてはいない。実際問題、滝の傾斜は正面からは60°程度かなと緩く思えるが、巻き道の途中から眺めれば、体が感じる平均傾斜度は80°を越えるのではないかと判断できる。岩のフリクションがここまでの岩床のようにヌルヌルのままなのかどうかは知らないが、もしも変わらないとしたら、流れを左から右に横切る辺りは見た目よりもずっと難しい登りになるに違いないと感じる。だから、どうしてもザイル無しではトライが出来ないのである。これからもこの棚をダイレクトに登る機会は無いと思う。
 そんな本棚の巻き道は左。左の砂礫の窪地を登り、滝に近い方の岩リッジに出る。そこで滝を横から鑑賞し、直上しようとすると露岩に上を阻まれる。だから露岩の左手の砂礫窪に飛び降りて、おおよそ落ち口の高さまで登ったら右手に寄っていく。先ほどの露岩の上辺りで急な窪に遮られ、いくらか不安定な部分もあるが、踏み跡が明確にあり、珠洲竹の中を踏んでいけば落ち口から3m程奥まった地点で沢に戻ることが出来る。まあまあ安全な類の巻き道である。
 もしも直登はできないが、もっと「本棚」を楽しみたい と思う向きには、左の巻き道よりは棚の右側がお勧めである。棚右の斜面を5m程上がり、棚とつながるブッシュ帯に入り、灌木に頼りに左へ左へと登り、落ち口の下5m(本来の直登ルートと合流)で棚に入る。そこから二歩ほど慎重な登が必要だが、棚の流れを下から落ち口まで至近の距離で楽しむことが出来るはずである。上部の高度感も素晴らしいと言いながら今日は安直な左の巻き道を登る。

 ナメと小さな滝を通過する。辺りの紅葉はやや盛りが過ぎたのだろうか。木々の葉っぱの半分はおおよそ落ちて無くなり、岩にこびり付く草も黄色から枯れ葉色に変わる最中である。バスを降りたときには雲で一杯だった空に徐々に青みが深くなる。いいぞいいぞ

F3 三段15m傾斜は緩くなるが、本日は下部でスリップしギブアップ
 次は15m程の棚、取り付きの下部3m程がやや急ではるが、その上は二回ほど微妙に傾斜度を変える緩い傾斜に見える15mの棚である。滝壺の左上には小僧の小便よろしく水が噴き出す。その水を一口飲んでから、棚に取りつく。スタンスはそこそこ大きいのがある。決して難しい棚ではなく、前回は楽々と登ったはずだった。ただし、今回の運動靴の底にフリクションがフィットするかと言えば、今までの岩床のぬめりが示すように万全の信頼感をおいておくわけではない。
 だから一歩登って「どうしようかな 行こうか戻ろか」とためらいながらもう二歩ほど登る。その時、左手にしたホールドが「プチッ」と欠けた。たいがいが、こんな風に躊躇しているときには、ろくな事はならずに困った羽目に陥るのさ。 それに連動して左足が滑る。そうなっては落ちる体はとめられない。ズルッと2m滑ってというか、飛び降りてというか、着地した所から勢いが付いた体は3m程走って止まった。落ちた下に尖った石が無かったことも、滑って転げることは無く「あれっッ」との一声くらいの悲鳴で終わったのはラッキーだった。 それも半場落ちることを意識していたから出来たことかもしれない。こんな場合には滑った地点から再び登ろうというのは無理である。滑った地点からの登行をあきらめ、もう3m右上から棚に入ろうと思ったが、体が「また滑るかも」と怖がって棚の中に踏むこめない。簡単に見えたこの棚が登れないのだ。これでは本当に滝見歩きの山歩きになってしまうが、落ちて怪我をするよりはマシだ思って我慢しよ。右側の砂礫を登り、落ち口の倍くらいの高さまで登ってから踏み跡をたどってガクガクした一枚の岩床の沢に戻る。
 そのガクガクの岩肌の沢が正面の岩に押しやられて左に方向を曲げる。正面岩の手前からは岩は乾いて小滝状に重なる。上を見れば見覚えのある小岩塔が、その右には20mの棚が見えてくる。棚の水量は少ないが、遮るもののない青色の空からダイレクトに落ちてくるように見える様は秋の景色に似合っている。小滝岩を二つ三つと登ると20m滝の下である。
 もしも、この場所を一番気持ちよく登るとしたら左手の岩塔を登るべきだと思う。下部5m程は易しい。左下は切れ落ちていて高度差は20mは越えるだろう。小テラスで背後を振り返って見れば、あの朱色の橋が見えそうにも思える見晴らしの良さだ。(実際は見えない)しかし、その先からはのっぺりしてきて難しくなる。岩肌の中央にボルトが埋め込まれているから、それを頼りにすれば残り10mを登り切れるのだろうが、まだ行ったことはない。


F4 右20m(霧になって下まで水届かず) 左 岩塔 登るのは中央の急なルンゼ
 20m棚は空中に水をまき散らし、下部では霧になって辺りを舞う程の急逆傾斜だから、登るとなると相当に時間がかかるだろう。だから通常は岩塔と棚の中間の岩窪を登ることになる。大巻きをするならともかく他には巻き道は見あたらない。ところが、この中央ルンゼがマシラは苦手である。前回も怖い思いを覚えがある。両岸が近いから左右の岩を使うことも出来るし、ホールドはしっかりしたのがあるから、登るにはどうってことないと思えるが、今日はそうは行かなかった。何たって岩が寒いのだ。両方を覆われて日が差し込むことのないルンゼの中は寒い。その寒いルンゼの中の水に濡れた岩はゾッとするほどに寒い。氷は張っていないが氷を掴んでいるがごとくに寒いのだ。寒さに慣れていないマシラの手の感覚がすぐに麻痺してくるのがわかる。手袋は持っているが、綿手だから、このような濡れた場所では役に立たない。
 そんな状況の下で傾斜度は見た目以上にきついので、ホールドスタンスの確認は絶対に必要だ。ホールドはしっかりとしているが、少し浅め。そんな時は万が一を考えて、しっかりと指先に力を入れる必要がある。それなのに寒い。目の前のホールドは確かに岩を掴んでいるように見えるが指先には岩を掴んでいるという感覚が脳みそに伝わってこない。だから肩に力が入りこわばる。ハーケンに捨て縄がかかる地点から二歩目は右に一歩トラバースするのだが、足元が傾斜しているので滑らないためには、いっそう指で体重を支えきらないとならないが、指がきちんと岩を掴んでいるようにはどうも思えないのだ。
 困ったことだ。口に指を入れて暖め、指がジンジンしてきたところで一歩を登る。もう三歩登って灌木帯に入ってようやく一息入れる。体が寒さになじんでいる冬期ならこんな事は無いだろうけど初冬だとなかなか体の反応が悪い。
 そこからは根のしっかりした珠洲竹を頼りに登ると自然に20m棚の落ち口に導いてくれる。目の上には既に45mの涸棚が見える。全く休み間もない。

 東沢は西丹沢自然教室あたりから始まり、檜洞丸山頂までの流程は約6kmであり、丹沢では大きな沢の一つだと思う。しかしツツジ新道が東沢に出会うまでが約4km、そこから砂防堤地帯を2km近く歩いて林道にかかる朱色の橋に着く。沢歩きはそこから始まるので橋から山頂までは1kmちょっという流程になるから、実質的な距離は思いの外に短い。実際、今日も出会いの橋からはF1、本棚、15m滝・・・・というように一つ棚を巻いたら次の棚が目の前に見えるというように、ごく短い区間に次から次へと棚が出現して、さっき出会いだったのに、もう最後の本棚というような感じるのだった。マシラの場合は砂防堤地帯は林道を使うので、その分でもだいぶ沢を短く感じてしまうのかもしれないが。

45m涸棚 中央のカンテ凹状を登るらしい マシラは見るだけだ
 厳密には登ったことが無いから分からないが、見た目には純層の乾いた岩が下部から落ち口まで続いている。だが、落ち口下の左に上がり気味の10m程の部分はいっそう傾斜を増すのが分かるくせに、その部分に良いホールドがあるかどうかは50m先の下からは見えるわけがない。
 そうだから、そこまで登ってから「この先は怖いので登れません。下降具もありません」という事態に陥らないためにも、見るだけの大棚にとどめるのだが、フラットシューズでも持参してくれば快適な登攀を約束してくれるかもしれないぞと思う気持ちもある。もしもパートナーがいれば、いなくとも自己確保の手段を講じることが可能ならば是非とも登ってみたい棚の一つである。山頂に近いところで高度感に浸りながら、背後に富士山を背負い、その割に、おそらく難度はそれほどでもないオールドクライマー向きの快適な登攀が楽しめるだろう。三道具を持たないマシラは、そんな自分の登る姿を想像するだけである。

 棚下からは棚の右を巻く。右上がりの長いランペを100m直進し、ランペが珠洲竹に消えた地点からは右に左に少しずつ歩の方向を切り替え、珠洲竹の中に先行者の踏み跡を追い、灌木も何カ所か頼りに50m程直上する。傾斜が少し弛んだら左ひだりへと歩を進める。砂地の小窪を二個ほど横切り、再び珠洲竹に入る。ここにも踏み跡はある。そして涸棚45m上のもう一つの涸棚15m?の上の見晴らしの良い地点でで沢に戻ることになる。
 今までの狭い沢から一気に広がった日のさす緩やかな岩床河原の雰囲気は、もうこの先に厳しい登りが無いこともあり、周辺の景色に見とれ、気を休めて一本つけたくなる場所である。

 この地点からは顕著な滝はもう出てはこない。淡々と角のとがった岩の河原を歩き、時折急になったら四肢を使い登る。そんなことを二回ほど繰り返すと稜線が見えてくる。石の間に稜線からこぼれ落ちた赤砂が混じるようになり、砂がやがて石を覆い尽くすと草の斜面と砂の沢との境界に達して、それを一登りすると稜線だ。目の前に木道が伸び、山頂までは100mと歩かないで着く。雲一つなしとは言えないが、富士山の右下には南アルプスの山々の襞々に埋まった雪の筋までもがくっきりと見える絶景の山頂を暫くの時間だが独り占めできるのは嬉しいことだ。青ヶ岳山荘も客を送り出しひっそりしている。

稜線だけ霧氷だ(左の高い部分は蛭ヶ岳)
 さて、帰路 たまには少し歩いてみようと蛭ヶ岳〜丹沢山〜三峰〜宮ヶ瀬のメジャーコースを選ぶ。
 臼ヶ岳〜ミカゲ沢の頭の付近は一筋の雲がそこらあたりだけをなぞって描いた一筆書きの霧氷地帯になっている。1500mより上の地点には霧氷はない。水筒無しの歩行者であるマシラには水分補給の点では喉が渇いたら枝をスッ〜と一こすりすると手に一杯の氷が手にはいるので大助かりである。しかし、ゴツゴツした登山道は膝に悪く、神ノ川乗越付近で左膝に違和感が出てくる。やはり登山道はマシラには体質的に合わないらしい。

<写真削除 あしからず091103>
霧氷に覆われた登山道を歩く(臼ヶ岳付近)
 丹沢山までに行き会った登山者は外人さん、それにもう三パーティほどだった。スパッツをつけ、防寒着を羽織り、冬の山歩き姿の人たちである。道は霜が解けたらしく概ねドロッっていて、確かにスパッツをつけると登山靴の汚れは防げるだろうがマシラの運動靴は元々グジュグジュに濡れているから、それは無用だ。
 三峰では会ったのが家族連れパティーのみと静かな山歩きが楽しめる。

 左膝をカバーして歩いたら右膝も痛くなり、急下降する場所では減速しての歩行を余儀なくされる。が、松小屋の頭付近から高畑山〜宮ヶ瀬の間には急なアップダウンは少なく、歩く人の少ない道には柔らかい葉っぱが積もり膝に易しく、そんな平坦地の緩慢な歩きで痛んだ膝を休めながら進める。湖が見えてからはの木々は彩りも鮮やかに目を癒やしてくれる。
 やがて宮ヶ瀬宮の平バス停に着く。 檜洞丸からは四時間30分程かかったことになる。もしも膝が痛くなかった若いときならば、檜洞丸から更に1時間は短縮できると強がりを言うのだが今のマシラの膝は30分の連続ダウンに耐える力がないから、それって所詮昔の幻影を引きずってホラを吹いているだけなんだ。フィットネス診断での骨格筋%がアスリート並と称しても、それはトレーニングの結果ではなくて、お医者に言われている体重コントロールと制限された筋トレが見せる偽りの結果でしかないのだ。だから、ここからは空席だらけの座席に大の字になって座れるだろうと思っていたのが、行楽の人たちで満杯のバスがやってきたときには、正直言ってがっかりした。おまけに52分の予定が3分ほど早くやってきたものだから、身支度する暇もなくバスに乗り込む姿はあわてふためいたようにも、よろよろに疲れ果てていたようにも思えて情けなかった。

 そんなだから、とてもとても夕方から会社に行けるような状態ではなかったね。電話一本で状況確認は済ましたことにする。たとえ行ったところで、何か一つでも変わらないっていうことも確かな事実なんだが、それでも一昨日には行くといった約束を実行できないのは何時もいつも後ろめたい。

 ということで週末はちゃんと仕事するから勘弁してくれよと重ねて言い訳しておこう。




参考:前回 東沢・本棚沢(中川) 
 周辺1.石棚沢(中川東沢)
 周辺2カル沢(中川東沢支流)
 周辺3ユイバシ沢(中川東沢)
 周辺4石棚沢(中川)
 周辺5隠し金庫沢(仮称)
 周辺6ヤビキ沢


自宅4:50〜本厚木5:16〜新松田5:55富士急バス〜西丹沢自然教室(バス終点)7:05〜ツツジ新道7:10〜P855 7:30〜林道〜朱色の橋(本棚沢出会)7:55〜F1 8:05〜本棚8:30_40〜20m棚9:10〜45m涸棚9:30_棚上9:45〜稜線10:15〜檜洞丸10:20_30〜神ノ川乗越10:55〜蛭ヶ岳11:50_12:00〜鬼ヶ石の頭12:10〜丹沢山12:45〜三峰〜宮ヶ瀬(宮の平バス停)14:45_52神奈中バス〜及川15:20頃〜自宅15:40 本厚木駅に朝方自転車デポしたことを思い出し回収に行く。結局のところ自宅着は16:40分
 バスの窓にポツリポツと雨粒が着いたが、西丹沢自然教室に着くころには雲は薄くなり、沢に入る頃から青空が見え始め、檜洞丸山頂では遠く南アルプスの山々まで見渡せるすっきりとした天気になった。それからも天気は良くなり、宮ヶ瀬でバスに乗るころには紅葉をバックに仏果山が青い空に雲一つ無く浮かび上がるほどの上天気に、バスの乗客であるおばさんたちも思わず「丹沢って綺麗」と言わせしめる最高の山歩きの一日となったのだ。
 


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