【プロローグ】
電車の窓を雨が濡らす程度だったのが、谷峨では本降りで、この先、いったいどうなるんだ。
やってきたバスが、スッカラカンで、こりゃあ 今日は山は貸し切りだ。
喜んだのは良いが、こんな日に山で遊んで、なんて言うの無しだ。
「本棚と下棚」
左 本棚 右 涸棚(普段は水チョロだが今日は違う)
入山届けの呼びかけが胸にひっかかるが、雨の中を山に入る後ろめたさで、吊り橋を小走りに走って山に入るのだ。
徒渉があったら引き返すつもりが、歩行面が流水に洗われる所なんてない状態で、思いの外に沢沿いは快適だ。
靴の中はさすがにぬれてくるが、少しも冷たくなくって、快適と言ってもいいんだ。
今日のコースを思いあぐねていたが、この調子なら予定通りで、見込時間(11時のバス)の変更は不要だ。
徒渉は確かに問題なかったが、堰堤を落下する水音は半端なしで、水の低周波がゴンゴン谷間に鳴り響んだ。
だけどこの程度の雨が、大雨だなんてほざいているとS47大雨に遭遇しただけで、マシラあんたは悶絶死間違いなしだ。
何ていいながらも最初の目的地に着いたのだが、びっくりしたのが隣の涸棚の水の迫力で、こりゃあ どっちが本棚かと分からない言いたくなるんだ。
本棚右隣の涸棚は大瀑布に大変身していた。カメラび雨風でびしょびしょ
涸棚は普段は水量少なく貧弱な滝だが、現時点に限定すれば水雲がドテンを突く勢いで、本棚に勝っていると俺は思うのだ。
背後の山の浅い分が、時々の降雨量を水量に反映する力が強くて、大雨時では大滝に変身する力がつよいんだ。
と涸棚を持ち上げては言うが、当たり前に負けてないのが本棚で、枯れ葉に流木が混じり圧倒的な落水が滝つぼを叩くのだ。
だから水に混じって崩落石が、落ちてくるのが心配で、滝つぼのそばには近づけないんだ。
本棚 言うまでもない
それでも今見ているシーンを忘れないうちにとカメラを取り出すが、シャッターを一回切るその瞬間にレンズは水滴だらけで、重ねて撮ることが出来ないのだ。
水滴付着を少なくしようと構図を決めてからカメラを振りかざすが、滝の水よりも強い雨には無駄な努力のようで、カメラがドンドン湿っぽくなってしまうんだ。
ええい かまうものかとは思うが、雨風に煽られてのシャッター切りは不安定で、何枚か撮るうちにレンズ内部が曇ってしまったのだ。
こんなの見るのが、でももう十分で、さあ、次だ。
下棚は普段はまったりとした滝だが、今日のは荒々しさがはじけるような滝で、5mくらいヒョングる滝なんだ。
下棚を正面から見る。普段と同じに見えますか。マシラには別物の滝に見えるけどね
上の滝から流れる大量の水が、勢いのままに下棚の落ち口で、空中に放出されるのだ。
下棚は普段の清々しい流れと違い大流水が空を舞うような滝に変身
「権現山から畦ヶ丸への山背を超えて一軒小屋へ」
滝の迫力についつい時間を取られてしまったから残りを少々急がねばならないのだが、山頂への分岐を左に見て南の斜面に出ると風に強く煽られて、雨も強く眼鏡は雲って足下がはっきり分からないのだ。
続行しようか、元に戻って帰ろうかと一瞬だけ考えたが、風に煽られたくらいで戻るって「癪じゃね」と考えて、強行突破 続行だ。
風の勢いに押されてならば近道をと考えたが、気がつけばこりゃあマスキ嵐二俣への下降路で、雨の中を沢降りはゴメンこうむるとなれば戻るのだ。
そうなりゃ 11時はあきらめるよりないが、以降の予定はどうって歩きながら考えるので、橋が腐っている仕事道の進捗がますます遅くなるのだ。
途中で木の枝に引っかかって傘の骨が折れるが、山を下るに従って雨の勢いは弱まって来たようで、鬼ヶ石沢の滝を見学する頃には傘は不要だ。
鬼ヶ石沢のF2(雨棚除いたFナンバー)
そして雨と滝の水でずぶ濡れになって着いた一軒小屋、火があるのでもなく濡れた衣服が乾くのでも無いが、どうせ雨の日だから今日は良くて夕方にだれか止まりにくるかどうで、自由に背を伸ばして休ませてもらっても良いのだ。
「地獄棚に雨棚」
普段は感じられない尾根下にあるはずの雨棚が少し道を外すだけで樹間に見えるが、枯れ葉で樹林の間からの80mと地獄棚を感じながらも気にしなければならないのは足の踏ん張りで、尾根の下降は慎重に行うのだ。
3Pの登攀となる涸棚も今日は紅葉の中に落水ありだ
地獄棚の奥の沢の流域は狭いからか水の色は元に戻っているが、怒りが怒髪となるような水煙は正に閻魔様そのもので、たまにはこんな水量の滝もいいものだ。
下降中の尾根から地獄棚 紅葉が盛りだよ 天気はだいぶ良くなった
雨棚方向のゴルジュに入っては見たが、流れ来る様は、まだまだ豪流の様子で、雨滝下の小滝は水に溢れていて、普通にはまず登れない状態だ。
雨棚手前ゴルジュ この手前に崩落物が堆積して山をなしている
それよりも気になるのが、小滝手前には堆積している土石の塊で、上部から何時に崩落があるやも知れないとなれば、これ以上は進めないのだ。
小滝の奥に漂う水煙が、今日の雨棚状態を想像させるということで、さっさと危険地帯を離れるのだ。
地獄棚
【エピローグ】
時間調整は沖箱根のF1と悪沢のF2で済ませるが、カメラは起動はするがレンズ内の一面に水滴が付着した状態で、ちゃんとした画像は撮ることが出来ないのだ。
沖箱根F1
懲りずにシャッターは切るのだが、撮るに従って画像はドンドン惚け方向に進んでいるようで、明るい空が入ると全く何を移しているのか不明状態だ。
谷峨の駅で電車を待っていたが、天気はグングン良くなっているようで、ホームに日が当たったりして、今日はグッドな山歩きだったと思うのだ。
こうして雨の日限定の滝見見物がおわる。
END
写真集です。
自宅6:30〜本厚木6:51〜松田7:23JR〜谷峨7:50バス(乗っていた外国系の高校生の集団は細川橋で下車)〜西丹沢8:30〜本棚見物8:55_9:10〜下棚見物)9:15_25〜権現山作業道入り口9:30〜分岐9:50〜仕事道を鬼ヶ石沢へ10:20〜鬼ヶ石の滝を二つ見物〜一軒小屋(山神様にご挨拶)10:45_11:10〜地獄棚下11:30_11:45〜雨棚ゴルジュ小滝下11:40〜沖箱根F1見物11:50_55〜大滝見物〜大滝沢入口バス停12:25〜悪沢F2見物(バス時間調整を兼ねる)12:45_50〜中川温泉13:05_13バスで〜谷峨13:40_14:03JR〜新松田14:24〜本厚木14:51〜自宅15:10自宅 2009/11/14 雨(谷峨から権現山までの間は雨強く、その後弱くなり12:00頃には止んだ)
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