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『高次の人間性を育み、真の国際人の育成を』



【解説

 武道というと伝統の形式を重んじ、その哲学・思想も諸流派独自のイデオロギー化しているように思います。ゆえに、武道家の営みは絶えず争いを繰り返し、その主張とはかけ離れた活動を行なっているのではないでしょうか。私は、絶望的とも思えるような武道界、状況の中で考えてみました。


 私が導き出したのは、「武道の先駆者の成したことは、高次の技術追求の裏で成された哲学・思想の高次化でなかったか」という思いでした。哲学・思想の高次化とは、高次の人間性の発揮によなされるのだと思います。

 
 日本武道の達人は、精緻な自他一体の技術や哲学を創出するに止まらず、高次の人間性の発揮により、人間や万物を活かす思想を育みました。しかし、日本武道も世界各地の文化の恩恵を被った産物であり、人間の叡智の顕現であると思います。掘り下げていけば、様々な状況下における人間の究極的な思考・判断・行動の結果であり、その本質は普遍性を有し絶えず変遷する状況に対応し進展するものではないでしょうか。


 私は伝統の形式を崩すことを奨励しているのではありません。ただ、あらゆる文化は世界の文化とつながっており、それが発現した地域のみの所有物ではないと考えています。それらは、全ての人達の共有財産ではないかと思うのです。さらに掘り下げれば、あらゆる文化は、世界中の人達の「こころ」とつながるものだと思います。そのような考え方のもと、私が考える日本武道思想の核心である〈自他一体の哲学〉と〈平和思想〉を、世界の人達と共有するべく形式の変革とそれを普及する場の形成を現代武道家の使命と考えています。