人事情報システム開発室   By 松木 剛
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           『人事情報システム開発室』

                       第5章第1話 Jun.20,2005

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読者数:2005/6/20現在⇒228名

━━━━━━━━━━━━━━━━ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━

  1.【第5章】勤怠管理システムの機能

   第1話 「勤怠管理システムの概要」

  2.あとがき

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 このメールマガジンは,人事部の情報システムを担当している方々やシステム
部門の人事情報システムを企画・運営されている方々またシステムインテグレー
タで人事情報システムをビジネスとしている方々を対象としたものです。
 ERPをはじめとする人事情報システムの動向や人事制度の傾向、システムの
要件の変化など、システムの企画や設計にお役にたつ情報をご提供していこうと
考えています。具体的な計画をお持ちの方々、これからこの方面でビジネスをし
ていこうとする方々に有用な情報となるよう努めていきます。 
 尚,講読する際には,等幅フォントにてお読み下さい。
              
                          ITコーディネータ
                          発行責任者 松木 剛
                 E-mail:takeshi.matsuki@mbi.nifty.com

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 1.【第4章】給与システムの機能
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 今回から数回にわたり、「勤怠管理システム」について考えていきます。勤怠
管理は、やはりバリエーションが多く、業種によっても異なりますが、同じ業種
でも企業によって異なる部分が大きいようです。従って、パッケージはたくさん
存在するものの、そのままで使えるケースは希有で、アドオンというより、それ
こそカスタマイズが実施されているケースが多くなっています。

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第1話 「勤怠管理システムの概要」
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1.勤怠管理システムの種類

   勤怠管理システムを利用する目的は、時間管理であるのは勿論ですが、管
  理職や米国でいう「エグゼンプト」、つまり自己の裁量で業務を遂行する社
  員については、利用する機能は限られてきます。

   また特殊な業種においては、時間管理そのものが原価管理に大きく関係し
  ていたりするので,重層的な目的を持っています。

 1)シンプルな勤務管理システム

   機能でいえば、出退勤や時間外勤務の把握、外出や早退、休暇などの管理
  が行なえれば十分なシステムです。

 2)勤務パターンも管理するシステム

   勤務の形態に多くのパターンがあり、交代やシフト管理など、勤務そのも
  のがビジネスのコアであるような、例えば鉄道や運輸、病院、装置産業的な
  製造業などが当てはまります。

 3)勤務実態をコストと見なして管理するシステム

   IT産業もそうですが、建設業やエンジニアリング産業、設計業務など、
  勤務実績がそのものが原価やスケジュール管理に必要な情報となる産業で利
  用される勤務管理システムです。

  これらの分類は、勤怠管理システムの持つ機能のどの部分に焦点をあてて利
 用しているかにかかります。

2.勤怠管理システムの要件

 1)出退勤データなど諸情報の確保

  【出退勤】

    情報システムとして未完成な時代であれば、勤怠管理のコア部分は、タ
   イムカードに象徴される形態です。植木等はちょっと古いですが「サラリ
   ーマンは気楽な家業ときたもんだ,タイムレコーダガチャンと押せば」の
   世界です。出勤時と退勤時の時刻を情報をとして確保するものです。その
   方法などについては後述します。

  【外出、早退などのデータ】

    上記に関係しますが、勤務時間中に外出したり早退したり、所定時間と
    考えられる時間帯に起こる例外値の情報把握です。

  【時間外勤務のデータ】

    勤務規程から出退勤データで確保できるものもありますが、徹夜や徹夜
   明け、代休の処理など、ちょっと面倒臭い処理もあります。通常の所定時
   間帯をはずれた時間で通常勤務する社員もいます。また法定の時間外なの
   かそうでないのかという微妙も対応もあります。時間外勤務に対する手当
   は、割増率がそれぞれ異なりますので、個別に情報を管理する機能が重要
   です。また制度変更などがあった場合に備えて、割増率で管理するよりは、
   時間外手当別に管理する機能が求められます。

  【休暇】

    休暇を取得する場合の申請処理や承認機能が求められます。

  【その他例外データ】

    出張や事故欠勤、病欠など、情報がない日の処理方法など。

 2)カレンダー機能

    企業内でも事業所により出勤日が異なる、職種により異なる等の他、所
   定勤務の時間帯が異なるなど、勤怠管理のベースになるカレンダを持つ必
   要があります。また勤務管理のサイクルとしての締め日の情報もあります。

 3)マスター

    上記のカレンダもマスタの一種ですが、社員や組織、所属、シフトなど
   のマスタを持っている必要があります。勤怠管理システムが人事・給与と
   同一のデータベースで動く本当のERPシステムでは問題としませんが、
   ERPといってもデータベースがバラバラで動くプラットフォームも別と
   いったシステムでは、マスタの同期を取るなどの機能が必要です。当然の
   ことながら、人事異動があれば所属が変わり、場合によっては事業所も変
   わるので修正が必要になります。

 4)原価コードや職務コードの管理

    エンジニアリング企業や設計業務においては、費消した時間は何に使っ
   たのかという情報が必要です。これは、製番とか工事番号(工号)と呼ば
   れて原価のまとまりとして処理されることになるため、社員は自分の業務
   処理をそのグループ毎に分類して登録することを要求されることになりま
   す。これによって、技術者の時間原価がプロジェクトや設計コストとなっ
   て管理されるのです。一部の製造業では、現場の技能員は触っている機械
   の稼働時間をうまく使って作業時間を把握することもありますし、設計に
   関わる技術員のCAD(コンピュータ支援設計システム)作業時間を収集
   するという環境も考えられます。

    またABM(アクティビティベースマネジメント)と呼ばれる、職務毎
   の業務時間を管理して、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)
   や効率化施策に結びつけたり、新しいコスト管理に使ったりすることも要
   求されるようになりつつあります。

 5)ワークフロー機能

    勤怠管理がコンピュータシステムで申請承認を行なう場合には、申請者
   と承認者をリンクする機能、ワークフロー機能が必要となります。この場
   合、汎用的に使う機能全部が必要というわけではありませんので、高度な
   機能でなくても利用はできるものと思われます。

 6)情報機器リンク機能

    出退勤の情報などは、相変わらずタイムレコーダーでやりたいというニ
   ーズもあります。その意味では、市販のタイムレコーダーから情報を吸い
   上げる機能が必要になります。古くはマルチドロップのプロトコルなどの
   対応がありましたが、現在はLANを使うのが主流になっています。


3.パッケージの特色

  冒頭申し上げたように、たくさん発売されている勤怠管理システムの標準機
 能だけで文句なく使える企業は少ないのですが、最終的にはベンダーの経験が
 評価されるということになります。製造業に強いとか鉄道会社に勤怠管理シス
 テムを導入したため、その方面の機能についての管理手法に詳しいなどの、ベ
 ンダーの特性が競争力を決めるようです。従って、パッケージの評価だけでは
 なかなかパートナを決めるのは難しいでしょう。

  市販されているパッケージは、次のような特色でPRしています。

 1)Webベース

   最近は当たり前になりつつありますが、クライアント/サーバではない、
  ブラウザで利用できるものです。軽く動くのが特徴ですが、画面のつくり方
  を工夫しないと、使いづらいシステムになります。

 2)製番毎の時間が把握できるもの

   プロジェクト登録して、個人をそれぞれに紐付けることで、プロジェクト
  毎の費消時間を把握できます。ABMにも利用できる可能性があります。こ
  の場合、自社の生産管理との整合性や協働という問題も起こってきます。

 3)タイムレコーダとセット

   従来のタイムレコーダ製造会社がシステムに進出してきたケースです。当
  初はシステムを売りたいのかタイムレコーダを売りたいのかよく分からなか
  ったケースもありました。ただ、タイムレコーダだけを売る会社も、リンク
  は標準化をしていますので、システム製品としてのバリューは下がっている
  と思われます。つまり、機械じかけはドンドン安くなるので、標準化されて
  いれば、やはりアプリケーションの問題になるのです。

 4)入力デバイスの多様性で勝負する

   上記のタイムレコーダもそうですが、出退勤データの把握については、最
  近ではかなりのバリエーションがあります。例えばパソコンやPOSレジ、
  携帯電話、エクセルシート。そろそろICタグなどの非接触型のデバイスも
  出てきそうな気配です。これらの様々な機器を使って効率的に、かつ柔軟に
  情報収集ができるどいう特徴を売りにしている企業もあります。

 5)ERPパッケージの勤怠管理システム

   ERPパッケージの勤怠管理システムは、専業のパッケージと比べると機
  能的に少し劣るようです。それは開発のスタートが異なるからです。つまり
  ERPパッケージの目的は、エンタープライズ全体のリソースの最適化を優
  先しているため、人事の細かい機能の要求に追いついていないということで
  す。また外国製であるという点も確かに影響しているでしょう。

   例えば、タイムマネジメントという切り口でいえば、プロジェクト毎の時
  間把握という機能に陽が当たり、日本の労務管理の特徴的な機能は後回しに
  なるという現実は確かにあるようです。日本の人事部が、例えば製番管理を
  している企業の人事部であっても、勤怠管理システムは人事部の業務管理的
  なニーズから選択されるのは当然のことで、労務のニーズを捨ててもERP
  の要請を受け入れるということは考えられません。ERPベンダーはその現
  実を率直に受け入れなければ、日本の市場で売れるシステムは永久にできな
  いでしょう。ただ、インターフェース機能が豊富なパッケージでは、うまく
  リンクしてソリューション化するのなどの例も多くなりました。

 ひとついえるのは、勤怠管理システムの導入は、人事・給与システムの導入と
同じ位の労力がかかるということです。それは勤怠管理システムがおよそすべて
の社員が関わるということと、日常の管理そのものであること、またITの性能
がモロに関係者の評価に繋がるという恐ろしさから来るものです。


  次回から、出退勤・休暇・時間外・シフト計画・36協定・回数管理など、
 細かい機能について見ていきます。

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【 2.あとがき 】
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 日本版のERPがどうしてできなかったんだろう、という議論がかつてありま
した。経営者の姿勢の問題ということもありますし、多くは大手ベンダーの問題
だと私的する向きもありました。ただ世界のチャンピォンであるS社についても
専業で、何でもありの日本のコンピュータメーカだからといって、すべてを期待
するのもおかしな話です。

 経営者の姿勢という議論については様々な主張があります。おしなべて民主的
な経営者が多かった日本では、御神輿的経営がERPを必要としていなかった等。
人事管理でも同じ様相があります。つまり「人事は社長の専決事項」という言葉
があるのに、官僚的な人事部は特別な存在ということで時代を越えてきたこと。
職能組織からなる企業では専門化が進んで、特別な存在になりやすいこともあり
ます。ただ、「人事の王政復古」といと大げさですが、今一度原点に帰ってみる
時期にきているのではないかと考えています。情報システムは構造を変えること
ができます。

 ご意見やご批判があれば,是非お寄せください。お待ちしています。(ま)

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ おしらせ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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