ジョギング遍路

 

 

0.ジョギング前史

 

 小学校低学年の頃、100メートル走などの短距離では必ず1位になりました。年次が上になると、クラスで数名がリレーの選手に選ばれますが、私は必ず選ばれました。「走れば速い」−それが私自身のアイデンティティだったように思います。しかし、その夢が砕かれたのが小学校6年生時(1975年度)に実施された長距離走で、いわゆる「ドベ」に近い結果でした。ただ、のちに私を励ます経験になったことが、同じ6年生時に自由参加の形で取り組んだ「名古屋まで走ろう」で、小学校のグランドを走った周回数を所定の用紙に塗りつぶすものでした。このとき最高何周走ったかは覚えていませんが、走ることの楽しさ・自信を私に授けてくれたと今でも思っております。(実際、周回数を記録して“○○まで走った”という自己満足を抱く作業を今もしております。)

 

高校1・2年次の2月実施のマラソン大会では、規定の時間内(約11キロ・70分以内)に走ることができず、「追走」の常連者でした。「一番遅く、しかし真面目に走る生徒」ということで、走っている最中に地元テレビ局の実況中継でインタビューを受けたこともあります。

 大学時代、毎年6月実施のナイトハイク(理工学部のある水道橋校舎から文系学部のある多摩校舎までの約50キロを歩く)に参加しました。1年次(1982年)はアクシデント(落ちたメガネが割れて)のため下宿付近の調布でリタイアし、2年次は完歩、3年次は天候のため中止、4年次は教育実習のため不参加という関わり方をしました。しばしば新宿からの終電を逃して下宿先(三重県人寮「昭和学寮」)の武蔵境までを歩いた時、「ゆうべはナイトハイクをした」などと同寮生に言ったこともあります。

 

1.ジョギング本格史

 

 私がジョギングらしいことをはじめたのは、1995年夏のことです。体重が増え、どうしようもない状態になったので、その改善策として、夏休みに入ったころ、2校目のI高校のグランドを走ることにしました。最初は3周(900m)。3周走るのも大変なもので、夏休み終わり頃もようやく8周走ることができるといった程度のものでした。やがて、走った周回数を記録し、勤務校の所在地である鈴鹿市から東京までの距離を走ることにしました。そして、その年末の32歳直前に達成し、翌年1月には66周を走るほどでした。体重は開始時マイナス15s。成長期以来の軽少値を記録しました。

 

 以後何度かジョギングに専念し、それなりの成果もありましたが、40歳をこえた今、体重を落とすだけでなく、自分自身を追求する修行の一つとして2005年4月中旬から始めています。時間的には、早朝6時頃からで、場所は勤務校のグランドです。思えば、初夏にジョギングに専念するのは初めてのことで、休みの日も自宅近くのアスファルトの道路などを利用し、毎日9q走ることを目標にしています。梅雨の季節、雨水対策のコスチュームでのぞむことにしています。目にする色とりどりの青葉若葉は実に美しく感じられます。太古から根づく生命の息吹、そして宇宙に通じる大気を体全体で受けとめて、その中に自分を溶け込ませたい。

 西国遍路にあやかり、これをジョギング遍路と自分で名づけました。西国遍路は、弘法大師=空海ゆかりの霊場をめぐるものです。女性史研究家として名高い高群逸枝(たかむれいつえ、1894-1964)は、1918年、24歳のとき西国巡礼の旅に出て『娘巡礼記』を公刊しています。最近では、朝日新聞の「天声人語」などで知られる辰野和男氏(岩波新書『四国遍路』)や政治家の菅直人氏も遍路の旅をしています。

 私の走る速度はとても遅く、300メートル/2分30秒(2minutes and 30seconds)ですから、時速7.2kmということになります。これでは歩く速度に近いのですが、できる限りゆっくり・長く走ることに心がけています。

 

2.一つの通過点

 

 7月5日早朝。4月18日に始めて以来、勤務校最寄りの西日野駅<三重県四日市市>から東京駅まで(406Km)の距離分を走破しました。梅雨の季節、雨でぬかるんだグランドにかえて自宅近くのアスファルト道路で走ることを思いついた甲斐がありました。降る雨に体を溶け込ませつつも、走路を這うカタツムリを避けながら走りました。

 自宅で風呂に入り、出勤。K先生にこのことを告げたところ、「新幹線代が浮きましたネェ」との慰労の言葉。しかし、正直な思い、新幹線で東京まで、「追憶」の旅に出たいという衝動をおさえることができません。心の中で、「いえいえ、一つ無駄な旅に新幹線代を費やすことになりました」とつぶやいていました。

 

 2005-04-18以来、本日(2005-07-22)現在、1周300m換算で1706周(511.8km)走破。

 

 

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